2018年4月19日木曜日

トルクメニスタンの超絶ジャズ・ロック・バンド Гунеш(GUNESH)のデビューアルバムが初の再発



  Гунеш(GUNESH)は、1970年にトルクメニスタンの首都アシガバートで結成されたグループ。当初は国営テレビ/ラジオ局所属のヴォーカル・グループだったそうですが、次第に若手のスタジオミュージシャンが多数出入りするようになり、70年代中期より凄腕パーカッショニスト/ドラマー リシャド・シャフィ(Rishad Shafi)をアンサンブルの中心とするアンサンブルへ変貌。ジャズ・ロックと中央アジアの民族音楽、そして濃厚なヴォーカルを融合させたパワフルなスタイルのサウンドでソ連周辺の音楽フェスなどに出演し、活動範囲を広げてゆきます。1stアルバム『Гунеш』に先駆けて、ソ連のMelodiyaレーベルより二枚のシングルがリリースされたのですが、それはなんとABBAとのスプリットシングルでした。1984年にはキーボーディストのオレグ・コロレフ(Oleg Korolev)をバンドリーダーに迎えた2ndアルバム『Вижу Землю(I See Earth)』をリリース。シンセサイザーやヴァイオリンをフィーチャーすることによりアンサンブルのスピード感と強靭さはさらに増し、超絶技巧に裏打ちされたモダンなエスニック・フュージョンを志向した一枚になっています。この時期のバンドの演奏は映像で観るとなおのこと凄いです。ニコニコしながら手数を繰り出すリシャド氏のパフォーマンスは痛快で、一度観たら忘れられないインパクトがあります。





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 その後、リシャド氏はロシア圏のみならず世界各国をツアーするなど着々とキャリアを積み重ね、確固たる地位を確立。2000年前後にはモスクワのBoheme Musicより『Rishad Shafi Presents Gunesh』『45° In A Shadow』がリリースされました。前作は1stアルバムから選曲された6曲と2ndアルバムの全曲をカップリングで収録した(ほぼ)2in1アルバムであり、後作は1984年から1990年にかけてアシガバート、タシュケント、モスクワの三か国三都市で録音された音源をまとめたコンピレーションアルバム。『Rishad Shafi Presents Gunesh』はプログレ系のディスクガイドでもちょくちょく名前の挙がる一枚であります。リシャド氏は2009年11月に56歳で亡くなりましたが、パフォーマンスは晩年においても快活そのもので、衰え知らずであったことがうかがえます。








 そして今年、2018年3月1日にオーストリアの「Presch Media GmbH」から『Гунеш』が、LP・CD・デジタルの各フォーマットで再発リリースされました。『Rishad Shafi Presents Gunesh』ではカットされていた3曲目の「Акжа Кепдери」と6曲目の「Ялан」を、これでようやく聴くことができます(といっても2曲ともホーンセクションを前面に押し出したムーディーな歌ものなので、カットされた理由もうなづけるものがあるのですが)。まずは4曲目の「Восточный Сувенир」の一聴を是非オススメしたいところ。ブラス・ファンク・ジャズ・ロックの極致です。なお『Вижу Землю(I See Earth)』も、今年に入ってサンクトペテルブルグのSoviet Grailより再発LP盤が出ています(配信リリースは今のところありません)。





http://www.gunesh.net/
http://www.rishad-shafi.ru/