2018年2月12日月曜日

Music Works of Garoad ―「VA-11 HALL-A」のコンポーザー、Garoad氏について

VA-11 Hall-A (ヴァルハラ) - PSVita
アクティブゲーミングメディア (2017-11-16)
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「梅本竜に大谷幸、日本のアニメやゲームに多大な影響を受けた「VA-11 Hall-A」コンポーザー特別インタビュー」
(from IGN JAPAN|2018.01.21)

「ベネズエラ製サイバーパンク・バーテンダーADV「VA-11 HALL-A」のサントラが、深夜都市へとその身を誘う」
(2016.02.11)



 アメリカ・アラバマ州出身の 「Garoad」ことマイケル・ケリー氏は、ベネズエラのインディーズデベロッパー「Sukeban Games」によるサイバーパンク・バーテンダー・シミュレーションゲーム「VA-11 HALL-A」(ヴァルハラ)の音楽を手がけたことで一躍注目を集めるコンポーザーです。2014年リリースの同作のプロローグ版サウンドトラック『Sounds From The Future』、2016年リリースの本編(日本版パッケージは2017年11月)サウンドトラック『Second Round』、そして2017年リリースの『Bonus Tracks Collection』に至るまで、深夜都市のクレバーなイメージとアダルティーなムードを演出する楽曲を提供しており、いずれも煌びやかなメロディが彩るシンセ・ポップ/アンビエント/AOR/フュージョンが楽しめる作品に仕上がっております(ちなみに『Sounds From The Future』に収録されている「Strictly Business」「Spirit Potion」の2曲のみ、スウェーデン出身のギタリスト デヴィッド・ナイマン氏が担当されています)。


『VA-11 HALL-A Prologue OST - Sounds From The Future』(2014年8月)



『VA-11 HALL-A - Second Round』(2016年1月)



 また、『Sounds From The Future』『Second Round』から20曲をセレクトした二枚組レコード盤サントラが海外のBlack Screen Recordsよりリリースされております。1st、2ndプレスは瞬く間に完売しており、現在は3rdプレス盤が入手可能。ちなみに日本版パッケージの初回限定版特典の16曲入りサントラCDとは曲数も収録曲も異なります(14曲は共通)。CD盤に収録の「Dusk」「Snow Fall」の2曲はLP盤サントラには未収録。一方、LP盤サントラ収録の「Heart of the City」「Skyline」「A New Frontier」「Digital Drive」「You've Got Me」「Believe in Me Who Believes in You」の6曲はCD盤には未収録です。


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『VA-11 HALL-A EX - Bonus Tracks Collection』(2017年9月)



「VA-11 HALL-A」レコード盤サントラにダウンロードコードとして付属していたボーナストラック・コレクションは単体で配信リリース(4ドル)されています。アドリアナ・フィゲロアによるヴォーカル曲や、SenzaFine、FamilyJules、insaneintherainによるリミックス/アレンジをふくむ全10曲。


「The Silver Case (Lunar Phase Remix)」(2017年10月)



 Garoad氏の音楽的なインスピレーションのひとつには、高田雅史氏(「シルバー事件」「花と太陽と雨と」「ダンガンロンパ」「サイコブレイク」etc)の存在があり、2017年10月にはOCRemix経由で「シルバー事件」のメインテーマのリミックス「The Silver Case (Lunar Phase Remix)」をアップされています。同リミックスは「VA-11 HALL-A」のゲーム内ジュークボックスでも聴くことができます。


「Look Around You」「Attack On Apollo」(2018年1月)
 2018年1月13日にGaroad氏はVA-11 HALL-Aのお蔵入りトラック2曲をアップしました。





「Interview with Garoad」
(from WHIMSICALLY THEORETICAL|2016.05.23)

「VA-11 HALL-A」がsteamで配信リリースされる直前のロングインタビュー。幼少期にプレイしたゼルダの伝説(神々のトライフォース)の闇の世界のテーマが、ゲームミュージックを初めて意識した曲であること。そのあとにスーパーマリオ64のウォーターランドのテーマや、ウェーブレース64、ファイナルファンタジー、女神転生、デジタルデビルサーガ、サイレントヒルシリーズのサウンドに大きく影響を受けたこと。初めて書いた曲が「Warp Rift」というタイトルであるということ。そのほか、川井憲次、山岡晃、浜渦正志、目黒将司、細江慎治、トレント・レズナーといった名前を影響元として挙げています。また、複数のインディーズコンポーザーからなるグループサイト「Indie Loop Garden」に登録されていたGaroad氏のプロフィールページには、後に「VA-11 HALL-A」のサントラ曲となる「The City that Never Sleeps」がサンプルとしてあがっていました。

 さらに年をさかのぼると、Garoad氏は10年ほど前に「The Tsunami Effect」という名義で活動を行っており、音楽系ポータルサイト「ReverbNation」でのアーティストページには、当時制作したオリジナル曲「Astro Dreaming」「Mecha Trails」「Star Gazer」「One Road」「A Hero's Loneliness」が登録されております。また、2008年に海外の有志が企画したスーパーマリオRPGの3枚組トリビュートアレンジアルバム『Heavy Troopa is Ready to Launch!』に、3曲のアレンジトラック「Weapons Factory」「Grandpa and the Delightful Tadpoles」「Fight Against Monsters」を提供しています。









 近年のGaroad氏の活動に話を戻すと、サウンドトラック以外ではこれまでに3枚のEP/アルバムをコンスタントなペースでリリースしています。清涼感あふれるエレクトロ・フュージョン/アダルトコンテンポラリー路線のオリジナル曲を収録。


『Sukeban EP』(2015年8月)



『Blue』(2016年4月)



『Passenger EP』(2017年6月)



 Garoad氏の今後のゲームミュージックコンポーザーとしての活動には、Pixel Arc Studios開発の2Dアクション「Bushiden」や、Baroque Decay開発による2Dサバイバルホラーゲーム「Yuppie Psycho」があります。「Yuppie Psycho」のスコアは、氏のsoundcloudで現在デモヴァージョンが5曲アップされており、よりサスペンスフルなシンセサイザースコアを聴くことができます。




https://www.facebook.com/garoadmusic