2017年11月19日日曜日

Major Parkinson『Blackbox』(2017)

 2003年に結成されたノルウェー・ベルゲンを拠点とするアヴァン・ロック・バンド メジャー・パーキンソン。2004年にセルフタイトルEPをリリースし、その後、RED HOT CHILI PEPPERSやTOOL、SYSTEM OF A DOWNなど数々のバンドのアルバムに携わりヒットさせてきたプロデューサー シルヴィア・マッシーのもと、2008年にセルフタイトルのフルアルバム『Major Parkinson』で正式デビュー。同作は好意的レビューで迎えられ、2010年には二作目となる『Songs from a Solitary Home』をリリースしています。その後、2011年にアルフ・ボルゲ、2014年にアンドレ・ルンドと、オリジナルメンバーのギタリスト二人が脱退するものの、より音楽性を先鋭化させ、2014年にリリースした三作目『Twilight Cinema』で一層の評価を確立。その勢いで2015年にライヴアルバム『Live at Ricks』をものしてもいます。2016年には新たにヴァイオリニストをふくむ三人のメンバーが加入し、現行ラインナップは七名。





 バンドの音楽性(とくに初期)の根幹には、フィンランドで1960年代に隆した「Rautalanka」(いわゆるベンチャーズやシャドウズなどのスタイルをとった、軽快なギターサウンドをメインにしたインストゥルメンタル・ロック)からの影響があり、また、フロントマンでリードヴォーカリストのジョン・イーヴァル・コルボスはシャドウズのハンク・マーヴィンとイギリスのエキセントリック・ポップ・バンド CARDIACSからの影響を公言しているところからも、目指す方向性がうかがえます。ロカビリー、カントリー、プログレッシヴ・ロック、パンク、ハードコアなど複数ジャンルのミクスチャーである一方で、アメリカのMr.Bungleやフランスの6:33といったミクスチャー勢の狂暴性やメタリックな要素はほとんどないのもポイント。むしろ、同じノルウェーのKaizers Orchestraに近い、時にキャバレースタイルのようないかがわしさと、愛嬌すら感じさせるポップセンスがたっぷり詰まっています。アジるようなヴォーカルパフォーマンスがこれでもかと絡みつき、独特の高揚感のある仕上がり。





 バンドとしての脂がたっぷりと乗り、満を持しての四作目である本作『Blackbox』は、管弦楽器隊&ホーンセクション+α、十名のコーラス隊を贅沢に起用して妖しいシネマティック・ロックに磨きをかけた意欲作。ギターサウンドはぐぐっと後退し、よりシンセサイザーの濃度を高めたことでニューロマンティックな趣向も顔を出し、厚みを増した男女混声のヴォーカル/コーラスとダイナミックに一体となったミクスチャーサウンドを聴かせます。ゲテモノになってもまずおかしくないストロングスタイルなのですが、先の大規模起用もあってしなやかさも相当にキープされており、ユニーク極まるバランスで成立。改めて、バンドの卓越した手腕のなせるわざといったところです。「Night Hitcher」「Blackbox」でディープな闇をグリグリグリグリ広げたかとえば、「Before the Helmets」「Strawberry Suicide」ではクラシックな正統派歌ものバラードを聴かせ、かと思えば「Isabel - A Report to an Academy」ではブッといエレクトロ・チェンバー・ロックとでもいうようなドスを効かせ、「Madeleine Crumbles」ではダンサブルなのにアンニュイという情緒不安定ぶり。そして最大の眼目は、シングルカットもされた10分越えの大曲「Baseball」。美しくも醜い、そんな矛盾を孕んだかのような魅力渦巻くロックオペラであり、聴けば聴くほどバンドの生み出した深淵に吸い込まれそうになります。


http://www.majorparkinson.com/


Interview with Major Parkinson
(from Sideburns Movement.|2014.01.14)

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