2017年12月10日日曜日

Hans Zimmer『Live in Prague』(2017)


http://www.hanszimmerlive.com/liveinprague/
 
「レインマン」(1988)、「ライオン・キング」(1994)、「グラディエーター」(2000)〈パイレーツ・オブ・カリビアン〉シリーズ(2003~)、「ラスト・サムライ」(2003)〈ダークナイト〉トリロジー(2005~2012)、「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)、「インセプション」(2010)、「インターステラー」(2014)、そして今年の「ダンケルク」「ブレードランナー2049」に至るまで、手がけた映画サウンドトラックは150以上。受賞歴・ノミネート歴多数。1989年に設立したMedia Venturesを前身とする音楽制作プロダクション「Remote Control」からは、マーク・マンシーナ、トレヴァー・ラビン、ローン・バルフェ、ヘンリー・ジャックマン、ラミン・ジャヴァディ、ベンジャミン・ウォルフィッシュなど多数のコンポーザーを輩出し、映画音楽制作における一つの方法論をも確立。当代トップクラスのコンポーザーとして不動の地位を築き上げたハンス・ジマー。彼はイギリス・ロンドン公演を皮切りに、2016年4月6日から6月5日にかけて大規模なコンサートツアーをヨーロッパで数十公演行っており、同ツアーから5月7日のチェコ・プラハ「O2 Arena」でのパフォーマンスを収録したライヴアルバムが本作。2枚組CDのほか、4枚組LP、DVD/Blu-rayの各ヴァージョンでリリースされています。
http://www.eagle-rock.com/2017/08/hans-zimmer-live-in-prague/


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 ライナーノーツを映画プロデューサーのジェレミー・トーマスが書いており、なぜ、ロンドンやベルリンではなくプラハのライヴをシューティングしたのかということについての見解を書いてもいるのですが、プラハはヨーロッパの文化の中心地であり、フランツ・カフカやミロス・フォアマン、ヴァーツラフ・ハヴェルを輩出した地である。ヴァーツラフ・ハヴェルは大統領となったあとにフランク・ザッパを特別な大使として信任していて――ところでザッパといえばマザーズ・オブ・インヴェンションだが、バンドのトランぺッターの一人であったブルース・ファウラーは、ジマーのサウンドトラックの主要オーケストレイターを長年に渡って務めていて……といった具合で、なかなか粋な内容でした。ライヴのレビューも簡潔かつ的確であり、まことに素晴らしいテキストです。


Live in Prague
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 一言でいって、最強のライヴアルバムです。ニック・グレニー=スミス(音楽ディレクターも兼任)、スティーヴ・マッツァロ、アンドリュー・カヴィンスキ、ネイサン・ストルネッタ、リチャード・ハーヴェイといった「Remote Control」の仲間たちをはじめ、ARISTOCRATSやスティーヴン・ウィルソン・バンドでもその技巧を振るうガスリー・ゴーヴァン、オルタナティヴ・ロック・バンド INCUBUSのマイク・アインジガー、そして「インセプション」「アメイジング・スパイダーマン2」のサントラに客演したThe Smithのジョニー・マーといったギタリストたち。ヨランダ・チャールズ、サットナム・ラムゴートラ、ティナ・グオ、アン・マリ―・シンプソンといった、セッションプレイヤーであり、スコアのレコーディングメンバーである面々。〈ライオンキング〉のプロデューサー/コンポーザー/アレンジャーであるリーボ・M、ヴォーカリストであるブイ・ザマらを擁した20名以上の大編成バンドに、チェコ・ナショナル・シンフォニー・オーケストラとコーラス隊を迎えた総勢72名の巨大編成のもと、とてつもないスケールのエピック・ミュージックが濃縮されております。まさにハンス・ジマーがこれまでに築き上げてきた一大帝国の軌跡といっても過言ではありません。こちらの予想のはるか上をいく興奮と感動にただただ打ち震えるばかり。




「ドライビング Miss デイジー」「シャーロック・ホームズ」「マダガスカル」の三作を巧みな流れで仕上げた軽快なオープニングメドレーから既に見事なつかみ。続く「クリムゾン・タイド」「天使と悪魔」の二部構成メドレーは相当な破壊力で、ガスリーのギターが泣き、重厚なパーカッション&ドラムソロにクワイアコーラスとストリングスが入り乱れ、結果的にシンフォニック・ロックやメタルオペラ系リスナーにもガンガンに刺さるパフォーマンスが繰り広げられます。「グラディエーター」メドレーは、リサ・ジェラルドのオリジナルをシャリナ・ラッセルが歌い上げ、「ダ・ヴィンチ・コード」"Chevaliers De Sangreal"は、ルサンダ・パンフィニのヴァイオリンが哀切の響きを奏で、「ライオン・キング」"Circle of Life (Prelude)" "King of Pride Rock"では。リーボ・Mとブイ・ザマが力強いデュオ・ヴォーカルを披露。





「パイレーツ・オブ・カリビアン」4曲メドレーは、サットナム・ラムゴートラのパーカッション、ティナ・グオのエレクトリック・チェロ、スティーヴ・マッツァロの12弦ギターをフィーチャー。焦らしに焦らして、満を持しての"He's A Pirate"がやってくる瞬間のカタルシスは絶大です。ここから「トゥル―・ロマンス」「レインマン」「マン・オブ・スティール」「シン・レッド・ライン」そして「アメイジング・スパイダーマン2」のメインテーマ連発を経て、「ダークナイト」からの5曲を混ぜたメドレーは強迫的なコーラス/チャントがヘヴィなリフとともに執拗に押し寄せるアレンジとなっており、さらにエグみを増しています。"Aurora"は2012年にコロラド州デンバー郊外オーロラの映画館で起こった銃乱射事件を受けて、被害者遺族のためのチャリティとして制作したオリジナル曲。オーラスは、壮大で静謐なサウンドスケープが繰り広げられる「インターステラー」メドレーと、マイク・アインジガーとジョニー・マーによるギターユニゾンも盛り込まれた「インセプション」メドレー。アンサンブルの総力を結集したダイナミックな2つのメドレーでコンサートは締めくくられます。なお、今年は5月のフィンランド・ヘルシンキ公演を皮切りに、10月には韓国のオリンピックスタジアムに至るまで数十公演のツアーを行いました。4月のコーチェラ・フェスティバルにも出演し、ジョニー・マーの息子であるナイル・マーがギターを弾いていたほか、6月のパリ公演ではヴァイオリニストのディディエ・ロックウッドがゲスト参加していたもよう。見ごたえのある圧巻のパフォーマンスを、ぜひとも日本でもやってほしいものです。



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『Live In Prague』

Hans Zimmer (guitar, banjo, piano)

Yolanda Charles(electric bass)
Mike Einziger (guitar)
Nick Glennie-Smith (keyboards)
Guthrie Govan (guitar)
Tina Guo (electric cello)
Richard Harvey (Woodwinds)
Andrew Kawczynski (synthesizer)
Gary Kettel (percussion)
Lucy Landymoor (percussion)
Holly Madge (percussion)
Johnny Marr (guitar)
Steve Mazzaro (keyboards, guitar)
Lebo M (vocals)
Rusanda Panfili (violin)
Andy Pask (upright Bass)
Satnam Ramgotra (drums, tabla)
Czarina Russell (vocals, tubular bells)
Ann Marie Simpson (violin)
Nathan Stornetta (mallet kat)
Mel Wesson (synthesizer)
Buyi Zama (vocals)

Czech National Symphony Orchestra & Choir(Orchestra & Choir)

Director: Peter Asher
Musical Director: Nick Glennie-Smith

Recorded at The O2 Arena, Plague

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《DISC 1》

1. Medley:
(a) Driving (「ドライビング Miss デイジー」)
(b) Discombobulate (「シャーロック・ホームズ」)
(c) Zoosters Breakout (「マダガスカル」)


2. Medley:
(a) Crimson Tide(「クリムゾン・タイド」)
(b) 160 BPM (「天使と悪魔」)


3. Gladiator Medley:(「グラディエーター」)
(a) The Wheat
(b) The Battle
(c) Elysium
(d) Now We are Free


4. Chevaliers De Sangreal (「ダ・ヴィンチ・コード」)

5. The Lion King Medley:(「ライオン・キング」)
(a) Circle of Life (Prelude)
(b) King of Pride Rock


6. Pirates Of The Caribbean Medley:(「パイレーツ・オブ・カリビアン」)
(a) Captain Jack Sparrow
(b) One Day
(c) Up Is Down
(d) He's a Pirate


7. You're So Cool (「トゥル―・ロマンス」)

8. Main Theme(「レインマン」)


《DISC 2》

1. What are You Going to Do When You are not Saving the World (「マン・オブ・スティール」)

2. Journey to the Line (「シン・レッド・ライン」)

3. The Electro Suite (「アメイジング・スパイダーマン2」)

4. The Dark Knight Medley:(「ダークナイト」)
(a) Why So Serious?
(b) Like a Dog Chasing Cars
(c) Why Do We Fall
(d) Introduce a Little Anarchy
(e) The Fire Rises


5. Aurora

6. Interstellar Medley:(「インターステラー」)
(a) Day One
(b) Cornfield Chase
(c) No Time for Caution
(d) Stay


7. Inception Medley:(「インセプション」)
(a) Half Remembered Dream
(b) Dream is Collapsing
(c) Mombasa
(d) Time


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【関連記事】
Hans Zimmer Early Works ― スタジオミュージシャン時代のハンス・ジマーの足跡をたどる
1970年代半ばごろに、ジマーは渡英してスタジオミュージシャンとして活動しはじめるのですが、そのころに関わったアルバムにはどんなものがあるのか、1985年ごろまでのものを調べてみました。


Hans Zimmer & Richard Harvey『The Little Prince(リトルプリンス 星の王子さまと私)OST』(2015)
リチャード・ハーヴェイはプログレッシヴ・ロック・バンド GRYPHONで70年代に活動し、同バンド解散後はジマーのスコアやオーケストレーションなどに数多く携わっております。2009年の再結成GRYPHONに加入して現在もメンバーとして活動中のグラハム・プレスケットも、ジマーとは80年代からの盟友。1995年に公開された映画「愛に迷った時」のスコアはジマーとグラハムの共作です。また、リチャードは2016年に再度GRYPHONを脱退しますが、後任メンバーとして加入したキース・トンプソンとローリー・マクファーレンはリチャード・トンプソンやマイケル・ナイマンとも仕事歴のある面々です。

Hans Zimmer & Benjamin Wallfisch『Blade Runner 2049 OST』(2017)

2017年12月8日金曜日

峰岸透、藤井志帆、永松亮『Splatoon2 ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune2-』(2017)

Splatoon2 ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune2-
スプラトゥーン2
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 任天堂のWiiU用ソフト「スプラトゥーン」の続編であり、2017年7月にNintendo Switch専用ソフトとして発売された「スプラトゥーン2」のサウンドトラック。BGMは、前作の峰岸透氏、藤井志帆さんに、今回新たに永松亮氏(「New スーパーマリオブラザーズ Wii」「Nintendo Land」「ゼルダの伝説 神々のトライフォース2」)が加わった三人体制。それぞれが担当されたユニット曲は、峰岸氏はWet Floor(12曲)、Cala Marley(1曲)、テンタクルズ(13曲)、OCTOTOOL(8曲)。永松氏はFrom Bottom(3曲)、カレントリップ(2曲)、DJ Real Sole(1曲)、クマサン商会(6曲)、ω-3(3曲)、OCTOTOOL(3曲)、DJ Octavio(2曲)、シオカラーズ(1曲)。藤井さんはテンタクルズ(1曲)、OCTOTOOL(1曲)、DJ Octavio(2曲)、シオカラーズ(2曲)といった割合。永松氏が本作に新風を運んだのは間違いありません。

https://itou190.amebaownd.com/
http://www.alice-official.club/

 ライナーノーツにはWet Floorのメンバーとテンタクルズのイイダのそれぞれのインタビュー記事を収録。前作でもイカにも「それっぽい」凝り方をしていましたが、本作でも同様のノリです(ちなみに、イイダのインタビューでシオカラーズの"イマ・ヌラネバー!"はSquid Squadの"Now or Never!"のカヴァーだということがシレっと明かされています。てっきりSquid Squadがシオカラーズをカヴァーしたものだと思っていたのですが、逆だったという)。MC&ヴォーカルのヒメと、DJ&トラックメイカー&ヴォーカルのイイダの二人によるテンタクルズは、その編成とスタイルから こしじまとしこ&中田ヤスタカのエレクトロポップユニットであるcapsuleを思い起こす人も多いのではないかと。シオカラーズの"イマ・ヌラネバー!"のカヴァーをふくめ、アッパーチューンからchillなナンバーまで充実しています。ヒメのCV&ヴォーカルを担当されている いとうりなさんは、元GRAPEVINEの西原誠氏率いるバンド RINA & THEFREAKSのヴォーカルであり、イイダのCV&ヴォーカルを担当されているAliceさんもシンガーソングライターとして活動されている実力派であります。





 OCTOTOOLとDJ Octavioは前作から引き続き登場。前作ではロシア・アヴァンギャルドとクラフトワークを足したようなヴィジュアルイメージだったOCTOTOOLは、今回はYMOの『増殖 - X∞Multiplies』のパロディヴィジュアルを打ち出しております。Wet Floorは、短めのトラックやジングルのほか、7月にタワーレコード限定で発売されたEP『Inkoming!』にも収録された"Inkoming!" "Rip Entry" "Endolphin Surge"に、七拍子のリフで押す"Don't Slip"、ブレイクが気持ち良い"Undertow"、そして"Inkoming!"のデモヴァージョン(Cloud Demo)と、前作のSquid Squadの"Now or Never!"のカヴァーに、短めのトラックやジングルを収録。先のEPではペンギンラッシュやエドガー・サリヴァン、Pollyannaなどのインディーズバンドからの選抜メンバーで構成された「Wet Floor Shibuya」によるスタジオライヴヴァージョンが収録されてもいましたが、サントラ版のレコーディングバンドはLIV MOONの黒田晃年氏(guitar)のCube-rayのIKUO氏(bass)、Venomstripの山崎慶氏(drums)。リズム隊はそのままT.M.RevolutionやBREAKERZのサポートメンバーでもあります。





「Squid Squad」「Wet Floor」はニューウェイヴ・ロック、「Hightide Era」はピアノ・エモ、「ABXY」はチップチューン・パンクとカテゴライズするなら、アップデートで新たに追加されたバトルBGMのバンドである「From Bottom」「カレントリップ」「ω-3」はいずれもよりテクニカル&クロスオーヴァーな方向性を強めたものになった感があります。「From Bottom」はヴァイオリンをフロントに据えたフォーキーなミクスチャーロックサウンドであり、まさに一気呵成と呼ぶにふさわしいパンキッシュな疾走感で貫通しています。演奏はジャンルクロスオーヴァーなヴァイオリニストである真部裕氏。また、前作のSquid SquadではドラムスにHi-STANDARDやチャットモンチーの恒岡章氏が起用されていましたが、From Bottomではロックバンド すかんちの小畑ポンプ氏が起用されていて驚きました。CMでROLLY氏がナレーションを担当されているがゆえの縁なのか、それとも企画の中の人にすかんち好きがいるのか。





「カレントリップ」はピアノとトランペットが強力な主張を繰り広げるブラス・ジャズ・ロック・バンド。湯本淳希氏が速いパッセージで激しい高音を吹きまくっており、非常にエキセントリックな印象。インタビューによると、永松氏はあえてトランペットらしくない表現をたくさん取り入れ、「演奏の奥に人が見えそうで見えないように」心掛けたとのこと。さらに「ω-3」はチェロ(演奏は徳澤青弦氏)&ティンパニ&DJという変則的スタイルのトリオというところもユニークなのですが、16分の31拍子の"竜穴"に度肝を抜かれました。プログレ、ジャズ・ロックやレコメン系のバンドもかくやといった変拍子(例えばビル・ブルーフォードの「Hell's Bells」は16分の19拍子、上原ひろみの「Alive」は16分の27拍子です)であり、一層の異彩を放っております。「前作から2年後」のイカ世界のシーンの進化と変化が、三者三様のバンドのサウンドで思いきり示されており、スリリングな面白味を見事に付加しているといえます。




「ヒトを感じさせないイカらしさ。『スプラトゥーン2』アップデートの新曲に迫るサウンドスタッフインタビュー。新曲入りのサントラトラックリストも公開!」
(from ファミ通.com|2017.11.24)

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『Splatoon 2 ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune2-』
[EBCD-10004-5|2017.11.29|KADOKAWA/entarbrain]

《Composed by》
峰岸透:
【Disc1】Track 1~11、17~23、33、34
【Disc2】Track 1~13、15~20、24、25、48

永松亮:
【Disc1】Track 12~16、24~32
【Disc2】Track 14、22、23、26~28、47

藤井志帆:
【Disc1】Track 33
【Disc2】Track 13、21、26~29

《Sound Effects by》
山本高久:【Disc1】Track 33/【Disc2】Track 30、31、33~39、44、46
木田充洋:【Disc1】Track 20
安田拓朗:【Disc1】Track 20/【Disc2】Track 32
辻勇旗:【Disc2】Track 40~43
郷原繁利:【Disc2】Track 45

《Performers》
竹内浩明(vocal)【Disc1】Track 2~7
渡部沙智子(vocal)【Disc1】Track 2~7
いとうりな(vocal & voice [ヒメ])【Disc1】Track 33/【Disc2】Track 1、3~6、8、44
Alice(vocal & voice [イイダ])【Disc1】Track 33/【Disc2】Track 1、3~5、44
keity.pop(vocal & voice [アオリ])【Disc2】Track 25~29
菊間まり(vocal & voice [ホタル])【Disc2】Track 27~29
黒田晃年(electric guitar)【Disc1】Track 1~7、9、11、17
IKUO(electric bass)【Disc1】Track 1~7、9、11、17
山崎慶(drums)【Disc1】Track 1~7、9、11、17
小畑ポンプ(drums)【Disc1】Track 12~14
MIZUKI(drums)【Disc1】Track 15、16
真部裕(violin)【Disc1】Track 12~14
徳澤青弦(cello)【Disc1】Track 27~29
湯本淳希(trumpet)【Disc1】Track 15~16
桑原あい(piano)【Disc1】Track 15~16


《DISC 1》

01.Opening / Wet Floor
02.Inkoming! / Wet Floor
03.Rip Entry / Wet Floor
04.Undertow / Wet Floor
05.Don't Slip / Wet Floor
06.Endolphin Surge / Wet Floor
07.Now or Never! / Wet Floor
08.バトル 勝ちジングル / Wet Floor
09.Turf Master / Wet Floor
10.バトル 負けジングル / Wet Floor
11.Ink Another Day / Wet Floor
12.Shipwreckin' ~沈まばもろとも~ / From Bottom
13.Fins & Fiddles ~深海の喜劇~ / From Bottom
14.Seafoam Shanty ~荒波ロデオ~ / From Bottom
15.可憐なタクティクス / カレントリップ
16.不意打ちのセオリー / カレントリップ
17.Inkoming! (Cloud Demo) / Wet Floor
18.ハイカラスクエア 初回入場
19.ハイカラスクエア チュートリアル
20.ハイカラスクエア
21.Without a Dop Doubt
22.イカッチャ
23.Ika Jamaica(DIY Remix) / Cala Marley
24.New You / DJ Real Sole
25.カガヤクンデス・マーチ / クマサン商会
26.サーモンラン オープニング / クマサン商会
27.膏肓 / ω-3
28.囂々 / ω-3
29.竜穴 / ω-3
30.サーモンラン 成功ジングル / クマサン商会
31.サーモンラン 失敗ジングル / クマサン商会
32.キット・モット / クマサン商会
33.ハイカラニュース / テンタクルズ
34.フェス お題発表 / テンタクルズ


《Disc2》

01.ウルトラ・カラーパルス / テンタクルズ
02.フェスマッチ オープニング / テンタクルズ
03.フルスロットル・テンタクル / テンタクルズ
04.リップル・リフレイン / テンタクルズ
05.レッド・ホット・エゴイスト / テンタクルズ
06.イマ・ヌラネバー! / テンタクルズ
07.フェスマッチ 勝ちジングル / テンタクルズ
08.フェスティバル・ゼスト / テンタクルズ
09.フェスマッチ 負けジングル / テンタクルズ
10.パーティーズ・オーバー / テンタクルズ
11.フェス 最終結果発表 / テンタクルズ
12.ゲットジングル
13.スミソアエの朝
14.タコツボキャニオン / OCTOTOOL
15.Eighteen-Legged Concerto / OCTOTOOL
16.The Girl from High-Color / OCTOTOOL
17.Buoyant Boogie / OCTOTOOL
18.Shooting Starfish / OCTOTOOL
19.Tentacular Circus / OCTOTOOL
20.Cephaloparade / OCTOTOOL
21.Tacozones Rendezvouz / OCTOTOOL
22.戦略タコツボ兵器 登場 / OCTOTOOL
23.Octarmaments / OCTOTOOL
24.ヒーローモード つづく! / OCTOTOOL
25.ヒーローモード Miss!! / OCTOTOOL
26.トキメキ☆ボムラッシュ / DJ Octavio feat. AORI
27.ボムラッシュの夜 / DJ Octavio feat. AORI vs ホタル
28.濃口シオカラ節 / シオカラーズ
29.あさってColor / シオカラーズ
30.SE: スプラマニューバー
31.SE: スプラチャージャー
32.SE: パラシェルター
33.SE: ロボットボム
34.SE: マルチミサイル
35.SE: インクアーマー
36.SE: ハイパープレッサー
37.SE: ジェットパック
38.SE: スーパーチャクチ
39.SE: イカスフィア
40.SE: 声(ボーイ)カモン
41.SE: 声(ボーイ)悦び
42.SE: 声(ガール)カモン
43.SE: 声(ガール)悦び
44.SE: 声(テンタクルズ)キメ台詞
45.SE: ガチヤグラが往く
46.SE: 金イクラ奉納
47.Get The Shining Future!(クマサン商会 バイト募集ビデオBGM) / クマサン商会
48.2017.1 PV SoundTrack


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噛むほどに味が出る、イカ世界のスルメ盤 ― 峰岸透、藤井志帆『Splatoon O.S.T -Splatune-』(2015)

シオカラーズファンへの「スルメ盤」 ― 『SPLATOON LIVE IN MAKUHARI ―シオカライブ―』(2016)

現実のインディーズシーンともクロスする、タワレコ×スプラトゥーンコラボ企画 ― Wet Floor『Inkoming!』(2017)

2017年12月7日木曜日

缶チューハイの史学 9%チューハイの史学

 ストロングゼロがインターネットミーム化しつつある昨今。ただ度数9%のチューハイを飲みたいのであれば、氷結ストロング、もぎたて、タカラcanチューハイドライ、ウィルキンソンハード無糖ドライetc……と選択肢はそれなりに多くあるのだけども、ストロングゼロはとにかく店頭で目につきやすく入手も容易であり、ストロングでゼロというのが直感的で、全部カタカナなので通りがよく、ミーム化する条件の揃いっぷりはダントツだなあとは思います。しかし一口にストロングゼロとはいっても、「-196℃」の派生シリーズとして「ストロングゼロ ダブルレモン」が初登場したのは2009年2月であり、ぼちぼち9年目にさしかかろうとしています。大元の「-196℃」ブランドの販売開始は2005年からなので、2000年代以降のチューハイであるというのは間違いないでしょう。ミーム化させるのもいいですが、100年飲み継がれればひとかどの歴史になるので、あと92年、皆さんにはストロングゼロを飲み継いでいっていただきたいと私は思います。

 缶チューハイ全般の史学はここいらで一旦まとめられてもいいのではと個人的に思うところがあります。1983年1月に宝酒造が「タカラcanチューハイ」の商品化プロジェクトに着手して翌1984年1月24日に発売(その間、サントリーが「タコハイ」、東洋醸造が瓶入りの「ハイリッキー」【※後にハイリキに改名。東洋醸造は1992年に旭化成工業株式会社と合併。さらに2002年に旭化成からアサヒのブランドに移行】を発売してから、じつに30余年が経っております。草創期のチューハイブームを経て、90年代にはアルコール度数低めの甘い果物系チューハイが人気を博し、1999年3月にはサントリーが再参入して安価な「スーパーチューハイ」で攻勢をかけ、低価格化の流れに。さらに2001年7月にキリンが缶チューハイに参入し、度数6%の「氷結果汁」で一気にシェアを拡大。2000年前半の話題をさらいます(2002年3月に「氷結」に名義変更)。そして2000年代半ばから度数7%以上の「ストロング」系チューハイが続々と出始め……というのがざっとした流れでしょうか。


「タカラcanチューハイ誕生プロジェクト」(宝酒造)
「チューハイ“ハイリキ”その歴史を紐解きます。」(アサヒ)


 度数7~8%固定から度数9%固定の間の壁の突破というのは間違いなく缶チューハイ史に残るトピックのひとつだと思いますが、ここ数年どのような度数9%チューハイがあったのか、そして最初に度数9%を打ち出したのは何か、ふと興味をそそられたので色々と調べてみました。おそらく嚆矢となったのは、前述の「ハイリキ」が発売25周年を迎えた2008年7月に、アサヒビールが記念商品として発売した「ハイリキナイン」。同商品は翌2009年1月31日まで販売されたようです。ハイリキはその後、2013年3月に「ハイリキ ザ・スペシャル」としてリニューアル。当初のラインナップのうちグレープフルーツとカシスオレンジは度数9%に設定されていました。現在も市場に出回っているのはカシスオレンジのみです。2009年7月には、サンガリアから度数9%「ストロングチューハイタイム ゼロ レモン」が発売。このシリーズは現在も販売されております。



「『チューハイ ハイリキ9(ナイン)』新発売」
(アサヒ 2008年3月17日付)

「アサヒハイリキザ・スペシャルカシスオレンジ 」(アサヒ)
「ストロングチューハイタイム ゼロ レモン」 (食@新製品)
「チューハイタイム」(サンガリア)





 2009年2月、ストロングゼロシリーズ第一弾の「ストロングゼロ ダブルレモン」が発売。このときの度数は8%。ちなみに、ストロングゼロが登場する少し前に販売を開始した「ゼロドライ」は度数5~6%どまりで、2011年1月にリニューアルするものの、その後ストロングゼロに取って代わられるような形で消滅してしまいます。2010年7月、“限定”をうたった「ストロングゼロ スーパーストロング レモン×ライム」が登場し、ここで度数9%のブレイクスルーを一時的に果たします。 さらに2010年12月、200mlサイズ缶に度数12%という「ストロングゼロ スーパーショット」を限定販売。一時的に一ケタの壁まで突破してしまうものの、サントリーはその後一度も本品を再販していないので、ある意味伝説の存在となりました。時代が早すぎた感があります。



「石原さとみ、レスラー蝶野を挑発」
(Livedoor News 2009年2月4日付)

「糖類ゼロのサントリーチューハイ「-196℃ ゼロドライ」 リニューアルして本日発売します」
(SUNTORY 2011年1月18日付)

「アルコール9%、ガツンと効く缶チューハイ」
(J-CASTトレンド 2010年7月2日付)

「サントリー史上最高!アルコール度数12%の“強刺激チューハイ”発売」
(東京ウォーカー 2010年10月20日付)


 2011年7月、アサヒが度数9%の「スパークス(SPARX)」を、刺激的レモン/爽快系グレープフルーツの2種で発売。その後数種類のフレーバーを販売するものの、2012年10月に「刺激的ワインスパークリング」が最後となったようです。




「『アサヒ スパークス』“刺激的・爽快系チューハイ”としてリニューアル」
(アサヒ 2011年8月9日付)

「『アサヒスパークス刺激的ワインスパークリング』新発売」
(アサヒ 2012年8月29日付)



 度数が9%に固定されたのはキリンの方が早く、「氷結ストロング」の2013年12月からの製造ぶんの「シチリア産レモン」「グレープフルーツ」「ドライライム」を皮切りにして続々と登場した新フレーバーは、期間限定ものを含めてすべて9%です。サントリーの「ストロングゼロ ダブルレモン」が度数9%固定となったのは2014年12月に通算5度目のリニューアルを果たして以降。2016年12月の通算6度目のリニューアル後にすべてのフレーバーが度数9%固定となります。2017年2月には、「果実まるGOD」「神ってるほどの果実感」というキャッチコピーが打ち出され、現在にいたります。また、アサヒは2016年4月に度数9%固定の「もぎたて」を発売。収穫後24時間以内に搾汁された果汁のみを使用したフレッシュ感をウリのひとつにしてヒットさせています。



「キリン 氷結ストロング 沖縄産シークヮーサー<期間限定>」を新発売
(キリン 2014年1月10日付)

「「-196℃ ストロングゼロ」〈ダブルレモン〉〈ダブルグレープフルーツ〉リニューアル新発売」
(SUNTORY 2014年10月7日付)

「~サントリー「-196℃ ストロングゼロ」新TV-CM~」
(SUNTORY 2017年2月7日付)

「徹底的に新鮮!「アサヒもぎたて」登場」
(アサヒ 2017年2月18日)




 9%ストロング系がもてはやされているとはいえ、「タカラcanチューハイ レモン」は80年代からずっと度数8%でやってきているということは忘れてはいけないと思います。最近の強めのチューハイはウォッカベースですが、タカラcanチューハイはずっと焼酎ベースのクラシックなスタイル。シンプルでうまいです。割高ではありますが、そこがまた練達の老騎士感がある。そして2016年9月には度数9%の「タカラcanチューハイドライ」が登場しております。人工甘味料はもちろん不使用。ブランド的に考えれば、これが間違いなく当代最強の存在ではないかと。店頭で見つけづらいのがネックですが、そこは公式サイトなどのネット通販で買いましょう。また、人工甘味料不使用のものでは、「ストロングゼロ〈DRY〉」のほかに、今年6月にアサヒから出たばかりの「ウィルキンソンハード無糖ドライ」にも頼もしさを感じてほしいですね。9月には「ウィルキンソンハード無糖レモン」も出ました。おいしいですよ。虚無に呑まれない程度に飲みましょう。




「元祖辛口チューハイ 愛され続けて30年目 記念缶が登場~タカラcanチューハイ〈レモン〉発売30年記念缶 新発売」
(宝酒造 2013年3月6日付)

「タカラcanチューハイ<ドライ> 新発売」
(宝酒造 2016年8月31日付)

「「-196℃ ストロングゼロ」〈DRY〉リニューアル新発売」
(SUNTORY 2015年8月4日付)

「ジンベースで、“キリリ”とした味わい! 炭酸強めで、“甘くない”「無糖」RTD」
(アサヒ 2017年5月17日付)


▼本記事の執筆には「K氏の葡萄酒的日常」を非常に参考にさせていただきました。2000年7月のサイト立ち上げから現在まで、一般的に販売されているあらゆるワイン、ビール系飲料、缶チューハイ、カクテル、日本酒、焼酎等のテイスティングを独自に行って詳細にレビューされているK氏の情報集積量は圧巻というほかなく、ブログやtwitterやfacebookに一切頼らず、すべてを昔ながらのホームページ形式で完結させてコツコツと日々情報を更新されている姿勢もたゆまぬ実直さを感じます。こういった人が歴史の細部を伝え残していくのではないでしょうか。かくありたいものです。

http://www.wine-life.info/index.html


▼また、酒と文化に関する数々の情報やコラムが掲載されている「酒文化研究所」のテキストも非常に参考にさせていただいた。読み応えのあるテキストが多く、おすすめです。

http://www.sakebunka.co.jp/archive/letter/index.html


【その他参考資料】
「低価格競争で活性化する缶チューハイ市場」
(《財界にっぽん》1999年7月)

「低価格品の快走で発泡酒にマッタ―新規ユーザーも呑み込み低アル市場に新局面―」
(《企業と広告》2000年6月)

「タカラcanチューハイ」-居酒屋の味をいつでもどこででも飲んでもらいたい
(J-Net21 2011年12月16日付)

「-196℃ ストロングゼロ」「-196℃ ストロングゼロ〈DRY〉」―「やってみなはれ」の精神があればこそ| 飲食品でヒット商品をつくる
(J-Net21 2014年3月5日付)

「「どうせ売れない」を覆した「もぎたて」大ヒットの理由」
(ITmedia 2017年4月3日付)

「酒文化研究所ホームページ」

【缶チューハイの国際化】缶チューハイ誕生から30年 海外へ飛び出て市場をつくる日
(「酒文化研究所」レター第5号 2013年5月)※リンク先PDF

【酒類の消費動向】チューハイは第3のビールと並ぶふだんの酒- 家計調査2015年より
 (「酒文化研究所」レター第44号 2016年8月)※リンク先PDF

永井隆『アサヒビール30年目の逆襲』
(2017年4月25日 日本経済新聞出版社刊)

アサヒビール 30年目の逆襲
永井 隆
日本経済新聞出版社
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2017年12月5日火曜日

Hans Zimmer & Benjamin Wallfisch『Blade Runner 2049 Original Motion Picture Soundtrack』(2017)


http://www.bladerunner2049.jp/

「ブレードランナー2049」を観ました(2週間前に)。率直に言って、めちゃくちゃ良かったです。都市、廃墟、建物、瓦礫群の強い「画」が次から次へとくるし、長時間を感じさせないてんこ盛りなもてなしの良さもあるし、切なく染み入る強めの余韻もあるしで、ウェルメイド、かつブッ刺さるポイントのオンパレード。ビッグタイトルの続編であるということ、一本の新作であるということ、双方を成立させなければならないという無茶ぶりもいいところなオーダーをよくぞここまで、と、ヴィルヌーヴ監督には感謝しかないです。体裁もさることながら、フィリップ・K・ディックの作風やモチーフへの目くばせもあちこちにありました。一つだけ言っておくと、ディックが二卵性双生児の兄妹の片割れとして生まれた(妹は生後しばらくして死去)ということを知っていると、途中でハッとなると思います。先に公開された三本の短編(「ブラックアウト2022」「2036:ネクサス・ドーン」 「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」)の存在も導入としての役割を見事に果たしていましたし、「大停電」という設定で旧作からのテクノロジー的断絶を設けたのは、未来図の限界を設定してしまったことにもなりますが、うまく効いていたと思います。生身の人間とアンドロイドの関係性にさらに高性能ホログラムも交わってくる構図にしたのも、ウォレス社製ヒューマンホログラムであるジョイのON/OFF時のリングトーンがプロコフィエフの「ピーターと狼」だったり、「正常性試験」でウラジミール・ナボコフの『青白い炎』(膨大な註釈と索引がついた999行の長編詩)の一節(704~707行)からの引用があったり、「動物」のモチーフなど、含みやくすぐりが多いのも楽しめました。


BLADE RUNNER 2049 (SOUNDTRACK) [2CD]
HANS ZIMMER & BENJAMIN WALLFISCH
EPIC (2017-11-17)
売り上げランキング: 456


 サウンドトラックは、「プリズナーズ」「ボーダーライン」「メッセージ」でヴィルヌーヴ監督とタッグを組んでいるヨハン・ヨハンソンが担当する予定でしたが、2017年7月にハンス・ジマーベンジャミン・ウォルフィッシュが追加スコアを手がけるという発表がされ、8月にヨハンソンの降板が発表されました。交代の経緯については、9月末のアル・アラビヤ英語版の記事でヴィルヌーヴ監督がコメントしていたのですが、制作の過程で最終的に前作のヴァンゲリスの作風に寄せる必要性を感じた監督と、ヨハンソンとの間で方向性が合わなくなったのが一因としてあるようです。とはいえ監督は「本当に素晴らしい作曲家だし、彼と再び仕事ができればと願っている」とコメントしており、完全に決裂したというわけでもなさそうです。また、ヨハンソン側は契約の関係でこの件についてのコメントができないことになっているようなので、そちらからの今後も言及はないと思われます。ジマーに話が持ち込まれたのは、2016年4月からの大規模コンサートツアーに出る直前だったとのこと。ウォルフィッシュは、ジマーのRemote Control Productionsにおいても近年とくに台頭著しいメンバーであり、近作では「ドリーム」「アナベル 死霊人形の誕生」「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のスコアをメインで手がけているほか、クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」におけるエドワード・エルガー「エニグマ変奏曲」のアレンジスコア「Variation 15」(オリジナルのエニグマ変奏曲が全14楽章であることを受けてのタイトル)も彼の手によるものです。


「EXCLUSIVE: Villeneuve reveals why he wanted David Bowie in Blade Runner 2049」
(from AlArabiya English|2017.09.28)

「Blade Runner 2049: How Hans Zimmer and Benjamin Wallfisch followed up the most influential sci-fi score of all time」
(from FACT MAG|2017.10.20)





 メロディをとことん排し、抽象の極北を往くシンセサイザー・ドローン(一部ではチェロとギターが参加)であり、降板したヨハンソンが得意とする作風にどこか寄りそった印象もあります。寄せては返し、叩きつけ、さらに渦巻く「Sea Wall」の音の壁は圧巻。一方で旧作の「Tears in the Rain」のカヴァーや、「Mesa」「Blade Runner」(エンドタイトル)など、ゆるやかに光が差しこむかのようにたち込める終盤のスコアのメランコリックなムードやモチーフは、監督のコメントにもありましたが明確にヴァンゲリスのイメージを踏襲した印象です。また、かつてヴァンゲリスは旧作のスコアにおいて盟友でありAphrodite's Childの個性派ヴォーカリストとして知られたデミス・ルソスを起用していましたが、本作の「Wallace」などで耳にすることができる、さながら幽冥の境に在るようなヴォーカリゼーションは、アカペラグループ Pentatonixの元メンバーであるアヴィ・カプランによるものであることを記しておきます。

2017年12月4日月曜日

リリース情報・備忘録 2017年11月









































































































































































2017年12月3日日曜日

GROUP 87『Group 87』(1980)


http://isham.com/
http://www.imdb.com/name/nm0006142/

「ネバー・クライ・ウルフ」(1983)を皮切りに、「リバー・ランズ・スルー・イット」(1992)、「ブレイド」(1998)、「ブラック・ダリア」(2006)、「ミスト」(2007)、「ザ・コンサルタント」(2016)など、数々の映画劇伴を手がけるコンポーザーであり、1990年にリリースしたソロアルバム『Mark Isham(幻想秘夜)』で1991年にグラミー賞のニューエイジアルバム部門を、テレビドラマ「EZ Streets」のメインテーマ音楽で1997年にプライムタイム・エミー賞を受賞しているトランペット奏者/シンセサイザープログラマーのマーク・アイシャム。彼が1980年にレコーディングしたバンド「グループ87」のアルバムが、11月末にソニーミュージックのジャズ/フュージョン1000円シリーズで期間限定再発しました。かつて2000年に一度だけ海外でリマスター再発がされましたが、その後長らくプレミア化していただけあって、今回の日本初CD化はまたとないチャンスであります(音源自体は2000年のリマスター音源を使用)。


グループ87(期間生産限定盤)
Group 87
SMJ (2017-11-29)
売り上げランキング: 3,457


 DEVOのマーク・マザーズボウ、Pop Will Eat Itselfのクリント・マンセル、Apparat Organ Quartetのヨハン・ヨハンソン、RED HOT CHILI PEPPERSのクリフ・マルティネスなど、バンドマンから本格的に映画音楽の道に進み、ひとかどのポジションを築くミュージシャンは今となってはそう珍しくないですが、アイシャムの場合はウィンダム・ヒルやECMレーベルとのかかわりや、アート・ランディやファラオ・サンダース、ヴァン・モリソンやデヴィッド・シルヴィアン、デヴィッド・トーンらとの共演など、単一ジャンルで括ることのできない活動があり、なかなかにユニークな立ち位置であります。このGROUP 87も、パトリック・オハーン(bass)、ピーター・マウニュ(guitar, keyboard, violin)、テリー・ボジオ(drums)、ピーター・ウルフ(piano)といった、フランク・ザッパやビリー・コブハムのバンドで鳴らした錚々たるメンバーで構成されています。ただ、基本メンバーはアイシャム、オハーン、マウニュの三人であり、ボジオとウルフはあくまでサポートメンバーとしての参加だったようです(レコード会社の思惑としては五人組としてデビューさせたかったようですが、そうは問屋がおろさなかった模様)。

 インスピレーションとなったのはブライアン・イーノやテリエ・リピダル、TALKING HEADSやWEATHER REPORTとのことですが、プログレッシヴ・ロックが下火となり、ジャズ/フュージョンがさらなる台頭をみせはじめる1980年といういわゆる端境期であることもポイントでしょう。「Magnificent Clockworks」「Moving Sidewalks」におけるポップなフュージョン・プログレ感。「Sublime Feline」のヘヴィ・ジャズ・ロック路線。さらに「Frontiers: 1856」「While The City Sleeps」ではニューエイジミュージックの肌触りもあり、かなり絶妙なバランスで成り立ったアルバムであることがわかりますし、本作から数年後にアイシャムがウィンダム・ヒルからソロアルバムをリリースする布石にもなっているともいえます。ジャンルが多様化し、細分化した今なら、より広く受け入れられるサウンドではないでしょうか。そういう意味でも、本作は「買い」です。

 その後、ボジオが在籍するMissing Personsに参加するためにグループからオハーンが脱退、アイシャムと同様にヴァン・モリソンのアルバムでプレイしていたドラマーのピーター・ヴァン・フックを新メンバーとして迎え、1984年に二枚目のアルバム『A Career In Dada Processing』をリリース。こちらはよりストレートなニューウェイヴ/シンセポップに寄せた内容でしたがヒットにはつながらず、ほどなくしてグループはその活動を終えます。その後、ピーターはMike + The Mechanicsに加入。このあたりも時代を感じさせます。


Career in Dada Processing
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Group 87
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 GROUP 87解散後のアイシャムの活動には、自らのミュージシャンキャリアの出発点ともいえるRubisa Patrolのアート・ランディ(70年代後半にECMからリリースされた『Rubisa Patrol』『Desert Marauders』の二作にアイシャムは参加しています)と連名で発表した『We Begin』(1987)。また、デヴィッド・トーンがECMよりリリースしたソロアルバム『Cloud About Mercury』(1987)にトニー・レヴィン、ビル・ブルーフォードと共に参加しています。ECMのカタログは先ごろストリーミング配信が一斉解禁されたこともあり、この機会にぜひ聴いてみてください。




2017年12月2日土曜日

edited by Steven Wilson『Last Day of June Soundtrack』(2017)



http://store.steampowered.com/app/635320/Last_Day_of_June/

Last Day of June soundtrack to be released 1st December|Steven Wilson HQ
stevenwilsonhq.com/sw/last-day-june-soundtrack-released-1st-december/





 スティーヴン・ウィルソン"Drive Home"に着想を得て、イタリアのデベロッパー「Ovosonico」が手がけたアドベンチャー&パズルゲーム「Last Day of June」。夏の終わりの8月31日付で配信が開始された本作はウィルソンみずから音楽を担当していることでも話題になりましたが、さる12月1日付でサウンドトラックが配信されました。収録曲は2008年から2016年にかけて発表された1st~4thソロアルバムとEP『4 1/2』に、ウィルソンが並行して活動を展開しているユニット Bass Communionの諸作からそれぞれ選曲された全15曲。インストゥルメンタル版 or エディット版として全曲に本人が手を入れており、オルタナティヴ・ヴァージョンともいえる趣すら感じますし、ソロ活動の変則的ベストアルバムともいえる内容です。明らかにアンビエント/ドローン路線の楽曲はBass Communionによるものですが、リリース数が膨大な上にアブストラクトな長尺曲の多いユニットゆえ、元の収録アルバムを突き止めるのはなかなかに難易度が高いです。とりあえず「The Crib」と「There Must Be A Way」の2曲は判明しております。また、海外のスティーヴン・ウィルソンガチ勢によると、どうも「Haze 1402」「Ghosts On Magnetic Tape V」「Loss Part 2」の断片も使われているという情報があり、「Suspended In Me」「I'm Still Here...」「Suspended In You」「Deceive」がいずれかに当てはまるものと思われます。





Edited by Steven Wilson『Last Day of June Soundtrack』
Tracklist

1. Some Things Cannot Be Changed
2. That Day by The Pier
3. There Must Be A Way
4. The Last Day Of June
5. Suspended In Me
6. Driving Home
7. I’m Still Here…
8. The Boy Who Lost His Friends
9. The Crib
10. Time For A New Start
11. Suspended In You
12. Under The Shadow Of My Father
13. Accept
14. Deceive
15. Together, Forever Again





1. Some Things Cannot Be Changed(2:58)
▼オリジナル「Belle de Jour」(2:59)
Steven Wilson『Grace For Drowning』(2011)収録。
つまりフルサイズです。

2. That Day by The Pier(3:58)
▼オリジナル「Year of the Plague」(4:15)
Steven Wilson『4 1/2』(2016)収録。

3. There Must Be A Way(1:17)
▼オリジナル「Haze Shrapnel」(12:51)
Bass Communion & Freiband『Haze Shrapnel』(2008)収録。
オランダのドローン/アンビエントアーティスト Freibandとのスプリットシングルの表題曲。

4. The Last Day Of June(8:18)
▼オリジナル「Routine」(8:58)
Steven Wilson『Hand.Cannot. Erase.』(2015)収録。

5. Suspended In Me(1:09)
Bass Communion『Ghosts On Magnetic Tape』(2006)の収録曲?

6. Driving Home(1:39)
▼オリジナル「The Raven that Refused to Sing」(7:57)
Steven Wilson『The Raven That Refused To Sing (And Other Stories) 』(2013)収録。
ストリングスが入ってくる中盤からの抜粋。

7. I'm Still Here...(1:35)
Bass Communion

8. The Boy Who Lost His Friends(2:16)
▼オリジナル「Deform to Form a Star」(7:51)
Steven Wilson『Grace For Drowning』(2011)収録。
中盤、終盤からの抜粋。

9. The Crib(1:05)
▼オリジナル「After Dark」(9:30)
Bass Communionのレア音源/リミックスを四枚組に収めたBOXセット『Untitled』(2014)のDISC 3「Reconstructions」に収録。2003年のトラックを、ロンドンの音響デュオユニット Darkroomがリミックスしたヴァージョン。



10. Time For A New Start(3:27)
▼オリジナル「Insurgentes」(3:55)
Steven Wilson『Insurgentes』(2008)収録。

11. Suspended In You(1:18)
Bass Communion

12. Under The Shadow Of My Father(1:29)
▼オリジナル「Track One」(4:16)
Steven Wilson『Grace For Drowning』(2011)収録。
終盤のギターソロパートからの抜粋。

13. Accept(4:13)
▼オリジナル「Veneno Para Las Hadas」(5:57)
Steven Wilson『Insurgentes』(2008)収録。

14. Deceive(1:07)
Bass Communion

15. Together, Forever Again(3:52)
▼オリジナル「Significant Other」(4:31)
Steven Wilson『Insurgentes』(2008)収録。



Insurgentes
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Grace for Drowning
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The Raven That Refused To Sing
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Hand.Cannot.Erase
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Steven Wilson
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4 1/2
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Steven Wilson
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Haze Shrapnel
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Loss
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Bass Communion
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