2016年11月5日土曜日

ピコ太郎 a.k.a. 古坂大魔王の「デジタルお祭りエンターテインメント」ユニット ― ノーボトム!『HAL+』(2006)




 YouTubeで恐ろしいまでの再生回数をたたき出し、“ビルボードトップ100入りした「世界最短曲」”としてでギネス記録にも登録された「PPAP」で大ブレイク中のピコ太郎。そのプロデューサーである古坂大魔王さんのテクノユニットのアルバムを入手しました! ピコ太郎さんはよきプロデューサーに恵まれましたね………などとすっとぼけてみましたが、ピコ太郎こと古坂大魔王氏がお笑いコンビ(トリオ)の「底抜けAIR-LINE」の人だったということも、その後身が現在も続くテクノユニットで、古坂氏がシンセ、テクノフリークだということもつい最近まで知りませんでした。「ボキャブラ天国」時代のイメージで止まっていました。

古坂大魔王的リズムネタ考察
(from 古坂大魔王のブログんだい魔くん!|2015.03.19)

 しかしながら古坂氏、調べれば調べるほどに興味深い活動を続けてきた人だなと。めぐりめぐってジャスティン・ビーバーの目に止まり、全世界規模で拡散されたことで爆発的にブレイクしたピコ太郎のあの方向性も、古今のリズムネタを考察・研究した上でのものだったようですから、これまでの芸人活動と音楽活動が予想のナナメはるか上を行くとんでもない形で日の目を見て、なにはともかくおめでとうございます、という気持ちです。ちなみに、かつて存在していたノーボトム!の公式サイトのプロフィールでは、趣味のひとつに「シンセいじり」を、好きなアーティストとして「PRODIGY、Perfume、椎名林檎、UNDERWORLD、The Chemical Brothers、ATARI TEENAGE RIOT、Atomic Hooligan、BENNIE K、ニルギリス、Fat Boy Slim、BON-BON-BLANCO、Futureshock、Gwen Stefani、Hardfloor」を挙げていましたが、PRODIGY、ATARI TEENAGE RIOT、椎名林檎は今でもTwitterのプロフィールに挙げていますね。そういった嗜好をみるにつけ、途中からごんぶとなアッパーチューンに豹変するピコ太郎の"ロミータ・ハシミコフ"は、そこそこに「地」を出した曲といえなくもないですね。





 底抜けAIR-LINEの後身であり、NBR(NEW BUSHIDOU RAVERS)の前身であるノーボトム!は「デジタルお祭りエンターテインメント」ユニットとして2001年に結成。現存しているノーボトム!のmuzieプロフィールページによると、初期メンバーは古坂大魔王(vo)、忍丸(vj)、NAON(co)、たかみくん(dj)の四名。当初は底抜けAIR-LINEの活動と並行していたようですが、2003年ごろにはほぼ音楽活動を一本化(底抜けAIR-LINEは2005年に事実上解散)。改名前までにシングルを六~七枚、アルバムを四枚リリースしています。「和」のメロディとの融合は彼らのコンセプトのひとつであり、2004年にエイベックスからリリースされた『祭場trax』は、ねぶた祭り(青森)meets サンバな"サンバ・ジャ・ネイヨ・ネブタ・ダヨ"を皮切りに、さんさ踊り(盛岡)、郡上踊り(岐阜)など各地の祭囃子をクラブミュージックとミックスしたアルバム。また、2004年にアーケードで稼動(その後2006年に家庭用ソフト化)した「ポップンミュージック12いろは」に吉幾三"俺ら東京さいぐだ"のリミックスと"TIN-DON-DANCE"を提供。二曲とも2005年リリースの二枚組アルバム『SFエンニチ』に収録されているほか、2006年にカップリングシングルになっています。当時ライヴでも定番の一曲だったという"TIN DON-DANCE"は、チンドン屋の滝乃家一二三の口上と"竹に雀"のサンプリングを冒頭に配し、「TB!」のシャウトのあとにTB-303のブリブリアシッドなベースラインがフィーチャーされるスーパーキャッチーなテクノ・チンドンチューンです。





 pop'n music12|MUSIC CHARACTERS|チンドンダンス|ノーボトム!
http://www.konami.jp/bemani/popn/gs/12/character/3_tindon_frame.html




HAL+
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ノーボトム!
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https://itunes.apple.com/jp/album/hal/id136811716

 そしてノーボトム!名義での最後のアルバムとなったのが本作『HAL+ (ハルタス)』。リリース元は、フォーサイドが2005年に立ち上げた「get over the records」。ここはJ-POPのトランス/ハードコア/ダンス系カヴァー/コンピレーションを多数リリースしていたレーベルでしたが、2007年に活動を停止しています。この時のメンバーは古坂氏(vocal, BGV, comedy performance)のほか、KEnT@(chorus, BGV, comedy performance)、Hiro(BGV, GR [guitar jamisen])、Yu-Ten(和太鼓 ※サポート)の四名。電気グルーヴからの影響も感じさせる冒頭のコミカルなアッパーチューン"サクラ" "ITOKO" "WAKE UP FIRE"を皮切りに、スキあらばコントとパロディを織り交ぜながらテクノ、トランス、レイヴ、ハードコア、デジロック、ラガ、ヒップホップ、チップチューン、民謡etcetcとなんでもアリに展開した盛りだくさんな内容。3つの「NBSM」は、ラジオパーソナリティによるリクエストの形をとった一分半のショートコント。タイトルの「カミキル・ブラザーズ」「居酒屋ニューオーダー」「フロデジジィ」はいずれも古坂氏の敬愛するCHEMICAL BROTHERS、NEW ORDER、PRODIGYの音ネタのパロディでもあります(それ以前にはUNDERWORLDやDAFT PUNKのパロディもやっていました)。個人的にグッときたのが"カラスと与兵衛"で、ぐうたら者と一羽のカラスが入れ替わるというストーリーの民話(おそらく創作)をベースにした和楽器テクノ。オチがちゃんと民話っぽいのもうまいなと。二曲のボーナストラックのうちのひとつ"夏の日の2093"(タイトルはCLASS"夏の日の1993"のオマージュ)も秀逸で、『未知との遭遇』の五音の交信音をちりばめながら、スウィートなエレポップからディープなハードトランスへと変貌するギャップも強烈な一曲です。


 
ちなみに、"ITOKO"は昨年リミックス版がアップされています。


 その後、2008年5月にノーボトム!からNBR(New Bushidou Ravers)に正式改名。同年に13曲入り1stアルバム『Fuji Electrock Festival』をリリース。同作には"TIN-DON-DANCE"のニューヴァージョン"TIN-DON-DANCE Leo"も収録されています。2009年には「アルプス一万尺」のレイヴヴァージョンなどを収録した11曲入り2ndアルバム『Anvil』をリリース。当時、mihimaru GTやニルギリスからの推薦コメントが寄せられてもいました。こちらは現在もAmazon MP3やiTunesなどで購入可能です。また、ノーボトム!のmyspaceアカウントではNBRのアルバム『Fuji Electrock Festival』『Anvil』のサンプルが10曲ほど置いてあります。

https://myspace.com/nobottom







 時期を同じくして古坂氏はDJ KOSAKAとしての音楽活動だけでなく、ピンでの芸人活動を再開。地方のお祭りイベント、芸人と音楽の混合DJイベントなどへの積極的な参加や、AAA"唇からロマンチカ" "Samuraiheart -侍魂-"のリミックス提供、mihimaru GTとの「ラジマルGT!」での共同パーソナリティーやライブゲスト、"Wasshoi!!" "ドス恋"などの楽曲コラボ、そのほか大和女組BANANA、SCANDAL、アイドル妖怪カワユシなどに作詞・作編曲・プロデュースで参加もされていました。2010年にはモンスターハンターの公式クラブリミックスアルバム『モンスターハンター ダンサブル』も手がけています。ちなみに、YouTubeには「Daimaou Project」「digitaltrend」なる古坂大魔王関係のアカウントが二つほどあり、古いライヴ映像や趣味のリミックスなど、相当数の投稿が確認できます。

 「モンスターハンター ダンサブル ~モンスターハンター・クラブミックス」発売! - CAPCOM (2010.03)
http://www.capcom.co.jp/monsterhunter/goods_other137.html

https://www.youtube.com/channel/UCrfvAifgZaELtv66zyuoECA
https://www.youtube.com/user/digitaltrend


 【ノーボトム!/NBR ディスコグラフィ】
〇はシングル ▽はアルバム *はリミックス/コンピ等

《ノーボトム!》

▽『ノーボトム!ワン』(2002)
〇『古坂大魔王とたかみくん』(2002)
〇『GO!GO!タイルマーン』(2002.03)
〇『ドドンパ』(2003.03)
*『ドドンパ HARDCORE REMIX』(2003)
〇『サンバ・ジャ・ネイヨ・ネブタ・ダヨ』(2003)
▽『祭場trax』(2004.07)
*『トリビュート・トゥ・サンダーバード』(2005.08)
▽『SFエンニチ』(2005.08)
▽『HAL+』(2006.06)
〇『俺ら東京さいぐだ (I'LL GO TO TOKYO!)/TIN-DON DANCE』(2006.08)
*『MATUREMIX』(2007.10)
〇『X'mas DISCO』(2007.12)

《NBR (New Bushidou Ravers)》

▽『Fuji Electrock Festival』(2008)
https://www.amazon.co.jp/dp/B004F86PQQ

▽『Anvil』(2009)
https://www.amazon.co.jp/dp/B004EC1Y1O
https://itunes.apple.com/jp/album/anvil/id325993726

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