2016年2月22日月曜日

謎多き日本人キーボーディストによる、クラシカル・プログレ&トイポップの珠玉 ― Netherland Dwarf

Moi Moi
Moi Moi
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Netherland Dwarf
Musea Records France (2011-07-04)
売り上げランキング: 711,127


 ウサギの品種のひとつであるネザーランド・ドワーフをユニット名に冠した、日本のインストゥルメンタル・ユニット Netherland Dwarf。プロフィールは謎に包まれており、2008年ごろより活動をはじめたソロユニットであること、インタビューから、Electric Light OrchestraやVangelis、Emerson, Lake & PalmerやCOLLEGIUM MUSICUM、セバスチャン・ハーディーなどから影響を受けたということがわかるのみです。2010年にレコーディングしたアルバム『Moi Moi』を、2011年夏にフランスのMUSEA Recordsから全世界流通でリリース。作風はメロトロンのサンプリングも多用した、マルチ録音によるキーボード・プログレ&シンフォニック・ロック。多少の打ち込みっぽさはあるものの、全編を包み込むやわらかでファンタジックな雰囲気や、勢いのあるドラマティックな曲展開が十分過ぎるほどにフォローしており、とりわけポストロック meets シンフォニック・ロックといった趣でオープニングを飾る大曲"Alone In the Blizzard Dawn"や、シャープな爽快感に特化した"Salad Bowl" "Netherland Dwarf"の畳みかけは必聴。ミハイル・グリンカによるオペラ「ルスランとリュドミラ」序曲や、ヘンデルのオラトリオ 〈メサイア〉HWV 56 「ハレルヤ・コーラス」、カミーユ・サン=サーンスのオペラ〈サムソンとデリラ〉より「バッカナール」、ハイドンの交響曲第104番ニ長調〈ロンドン〉第四楽章のダイナミックなカヴァー・アレンジも収録されており、「バッカナール」には、スウェーデンのプログレッシヴ・ロック・バンド KAIPAのフロントマン/キーボーディストのハンス・ルンディンがゲスト参加もしております。




 その後、ユニットは2012年に『may the piper』、2014年に『tortoise walks forever』という二枚のアルバムをそれぞれフリーダウンロードでリリース。こちらはどちらもメロトロンを中心にしたミニマル・トイポップ作品で、キュートで人なつっこい箱庭的世界観がより追求された仕上がりです。





Netherland Dwarf Interview
(from Progressive Rock Music Forum|2011.11.23)

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https://netherlanddwarf.bandcamp.com/