2016年2月23日火曜日

「フロントミッションシリーズ ガンハザード」 発売20周年を祝して



http://www.square-enix.co.jp/fm/gh/
https://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_fmg/


 機動兵器「ヴァンダー・パンツァー(ヴァンツァー)」を駆る戦略シミュレーションRPG〈フロントミッション〉シリーズ第一作目は1995年2月24日に発売されました。そして、シリーズ開始から一年後の1996年2月23日に、「フロントミッションシリーズ ガンハザード」が発売。つまり、今年で20周年を迎えます。「そうですか、それはよかったです。今日はお祝いですな」(by ホセ市長)。大手ゲーム情報系サイトでこのフロントミッション異端の存在のアニバーサリーを取り上げるところは、おそらくどこもないでしょう。「もうガマンならん!」(by オーウェン大統領)ので、わたしが独自に祝わせていただきます。ところで、「ガンハザードで好きなヴァンツァーは?」 と聞かれたら、シルバーファングやドラグーン……と、いいたいところですが、ルークのファイアツォークですね。超火力特化、いいじゃないですか。ロマンですよロマン。初回プレイ時にラスボスで詰んでどうしようもなくなり、数年後にリベンジしてようやくエンディングにたどり着いたというありさまでしたが、今となってはいい思い出です。

「フロントミッション ファースト」に次いでリリースされたガンハザードですが、ヴァンツァーは登場するものの、世界観や歴史はまったく異なるため、外伝とも違う形のパラレルな存在として扱われております。これが、本作が孤高の存在たるゆえん。ゲームシステムがシミュレーションではなく、横スクロールアクションであるところも趣を異にしております。スクウェアから声がかかり、開発に携わった大宮ソフト(日本コンピュータシステム/メサイヤより独立する形で1993年に設立。ガンハザードは「ロードモナーク とことん戦闘伝説」(1994年/日本ファルコム)の次に手がけた二番目のタイトル)が、『重装機兵レイノス』(1990年)や『重装機兵ヴァルケン』(1992年)で培ったノウハウを活かしたというのもポイント。創立者である鈴木英夫氏はガンハザードのプログラマー/ディレクターとしてクレジットされています。

「ガンハザード」― 大宮ソフト


▼ガンハザード「ストーリー」
 軌道エレベーター“アトラス” 21世紀初頭に引き起こされた 世界的資源紛争の悲劇を教訓に大西洋上に建設された巨大な塔。人類はこのアトラスから得られる宇宙からの資源を共有することで恒久の平和を手に入れるはずであった。しかし……アトラスの完成を前に新たなるエネルギーを知り得た人類は 平和と協調のシンボルのはずだったこの塔から次第に目を離していく。時を同じくして、世界の各地で再び紛争や革命が頻発しはじめた。それはあたかも、見捨てられたアトラスが人類に雷を放ったかのようであった。そしてここベルゲン共和国にも、新たな戦火が上がろうとしていた……。

軌道エレベーター ― アトラス開発研究機構 (from 天網.net)




 ストーリーの主軸となるのは「アトラス」という軌道エレベーター。軌道エレベーター構想を扱ったもっとも有名な作品であり嚆矢となったものは、チャールズ・シェフィールドの『星ぼしに架ける橋』と、アーサー・C・クラークの『楽園の泉』(この二作はともに1979年発表)。その後、エンタメ作品でもポピュラーなガジェットとして扱われるのですが、わたしが初めて軌道エレベーターの存在を知ったのは本作でした。『公式ファンブック』のスタッフ座談会によると、アニメでは既にいくつかあったものの、ゲーム作品ではまだ扱っていなかったモチーフ、ということで軌道エレベーターの設定が選ばれたようです。アトラスはストーリー終盤でプレイヤーに牙をむくわけですが、突入前イベント・突入後イベントはともに屈指のアツさです。……後者の方はプレイ次第で別の意味でアツいことになりますが。


▼ガンハザード「キャラクター」
イカれたキャラクターたちを紹介するぜ!





 今なお根強い(一部カルト的なまでに)人気を誇るガンハザードを語る上でどうしても避けては通れないのが、敵味方キャラクター問わず妙に印象に残るセリフ回し。「ヒレツなマネばかりしおって もうがまんならん!」「爆撃しようか!」「ヒャア がまんできねぇ 0だ!」「そんなことをすれば海が汚染されるぞ!」などなど、枚挙にいとまがありません。そして、ガマンが足りない人が多い。それは主人公のアルベルトも同様で、アルハリの地上戦艦ガレオンの長く苦しい構造をくぐり抜け、来た道をまた戻り、弾薬も尽きかけ装甲もボロボロの状態でようやく地上に出たと思えば、「いや、この艦をたたく!」と言い放ち、そのままボス戦に突入という流れに泣かされたプレイヤーも多いはず。かくいうわたしもこのときばかりはアルベルトの正気を本気で疑いました。そもそもアルベルト軍曹は生身でも強い。伝家の宝刀「しゃがみ」で敵ヴァンツァーのたいていの弾丸を避けてしまうため、下手しなくても強い。攻略次第ではジェットパックで軌道エレベーターに突入し、生身で大気圏を突破できてしまう最強のワンマンアーミーなのですから、主人公補正というレベルじゃないです。というか、プレイヤーが生身で攻略することを想定してイベントシーンをちゃんとつくった(セリフも用意してある)スタッフもスタッフですよ。『ガンハザード 公式ファンブック』のスタッフインタビューでは、そのあたりの経緯も少しばかりうかがうことができます。


▼ガンハザード「ウェポン」


 習熟度システムにより、メインウェポン、サブウェポンともに性能にちょっと難があっても、使っているうちにそこそこ使えるようになるのがイイところ。さらに妙な愛着まで湧いてくる。やりこみプレイのしがいがあります。真上にしか発射できないアッパーバルカンは習熟度マックスでとんでもない威力を誇るようになる(ラスボス戦でも大活躍)ので、熟練プレイヤーのあいだでは禁止されることもしばしば。また、生身状態でのデフォルト武器であるハンドグレネードは習熟度マックスになると「同時に二個ぶん投げる」ようになるという大きなメリットがあるのですが、冷静に考えるとトンデモないことしてますね……。


▼ガンハザード「プロモーション」


「――ドラマはいつも、最前線でつくられる」。ガンハザード発売前に流れたTVCM(30秒)。ナレーターは中田譲治氏。燃える実物大ヴァンツァー(下半身基礎部分だけで6メートルあったとのことなので、全長は10メートルくらいでしょうか)、そして実写アルベルト。けっこうお金がかかっております。撮影場所は、アメリカ・ネヴァダ州のトノパという、軍の演習場などがある広大な砂漠地帯。監督は、当時「ロマンシング・サガ3」などのCMも手がけられていた臺佳彦氏(近年は『The World of GOLDEN EGGS』のディレクター/プロデューサー、映画『Present for You』の監督なども務められております)。映像はMisha Suslov。美術は「ターミネーター2」や「ロボコップ」などを担当したClarence Major。放映期間は1996年2月11日、2月16日~25日の計11日間。また、50秒のトレイラー映像も存在します。


▼ガンハザード「関連書籍/CD」

「ファミリーコンピュータマガジン 1996年2月9日号(No.3)」



 カゲミツの存在に大きくスポットを当てた記事。彼(?)はゲーム本編である条件を満たさないと加入しない、いわゆる隠しキャラクターですが、ゲーム発売前に存在が明かされていたということがわかります。また、ガンハザードのTVCM撮影レポートが載っており、現場の写真は全く同じものが後述の『公式ファンブック』にも使用されています。


『フロントミッションシリーズ ガンハザード オリジナルサウンドトラック』
作曲:植松伸夫&光田康典(仲野順也・浜渦正志)
ポリスター(1996年2月25日発売)

ガンハザード ― オリジナル・サウンドトラック
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 二枚組サウンドトラック。メインコンポーザーは植松伸夫氏と光田康典氏のお二人。また、仲野順也氏と浜渦正志氏が数曲担当されており、メインコンポーザー、サブコンポーザー共に豪華な顔ぶれのもとに制作されております。植松曲の一部は、この翌年に発表される「ファイナルファンタジーVII」の楽曲の雰囲気に繋がるものがあり(のどかな村落のテーマ「Centkrich」や、焦燥感を煽る「Warning Two」あたりを聴くとそれがよく伺えます)。一方の光田氏の楽曲も、ファンファーレ調の「Emotion」や、他の楽曲の旋律のモチーフを重ねて徐々に盛り上がっていく「Trial Zone」は、前年に発表された「クロノトリガー」に、イベント戦闘などで流れる「A Running Fight」は同年にサテラビューで配信された「ラジカルドリーマーズ」の楽曲を髣髴とさせる雰囲気をそれぞれ持っています。両氏の作風の変遷や違いを味わうことができるという点でも興味深いですし、スクウェア黄金期の充実ぶりも感じられる一枚です。

GUN HAZARD Original Soundtrack - プロキオンスタジオ


『ガンハザード 公式ガイドブック』
編集:ファミ通編集部
アスペクト(1996年3月26日刊行)

FRONT MISSION ガンハザード公式ガイドブック (ファミ通)
ファミ通編集部
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 いわゆる「大丈夫。ファミ通の攻略本だよ」。「Characters」「Wanzers」「Playing」「Stageguide」「Other data」の五つのパートで構成された全160ページ(A5判)。各ステージ攻略の簡潔なコメントが付された「Stage guide」は読みやすく、大丈夫なことは大丈夫なのだけれども、可もなく不可もない内容ともいえます。それ以外のパートはゲーム説明書に毛が生えた程度のもので、いまひとつかも。とにかくサクッと攻略したいんだという向きへの一冊。でも、後ろのページにある「敵ヴァンツァー一覧」には、「リアカー引いて戦う石焼き芋型ヴァンツァー」「男気満点の体育会系ヴァンツァー」といった、気が利いているんだか利いてないんだかなライターの一言コメントがちょっと楽しかったりもします。


『フロントミッションシリーズ ガンハザード 公式ファンブック』
監修:スクウェア|執筆:有限会社ディラック
アスペクト(1996年4月8日刊行)



「ファミ通ファンブック」シリーズ。全128ページ。判型がA4ということもあり、ヴァンツァーのジオラマは本書が一番見ごたえあり。また、本書の執筆者のなかに作家としても知られる高橋敏也氏の名前があり、ジオラマに付されたショートストーリーは氏によるものと思われます。ファンブックということで種々の企画ページがありますが、作りは緩め。ページ数稼ぎのような企画(クイズとか)もそこそこあるものの、「ヴァンツァー搭乗禁止」「買い物禁止」「短時間で突っ切る」といった縛りプレイ/やりこみプレイレポートや、TVCM撮影こぼれ話、ラジオドラマCMのシナリオ(全10話/1995年10月末から9週間にわたりニッポン放送でオンエアされたそうな)サウンドチーム(植松伸夫・光田康典・赤尾実)各氏への三つの質問や、大宮ソフトスタッフ(鈴木英夫・神宮孝行・只隈圭介・斉藤智晴・小林功一郎・中井覺)の対談ロングインタビューが目玉。対談では「傑怪老」こと只隈氏が大宮ソフトの「飯炊き係」であるという話や、クラークで同人誌を一冊つくってくれないかなと斉藤氏がこぼすくだり、キャラクターのセリフづくりでやたらテンションが上がった話など、ニヤリとできるネタが満載。巻末にはポストカードもついております。さらに、表紙カヴァーを外すと……。

フロントミッションシリーズ ガンハザード スタッフロール
本作の後、大宮ソフトのスタッフ陣は「カルドセプト」の第一作目を制作。


『フロントミッションシリーズ ガンハザード ミリタリーガイド』
NTT出版(1996年4月25日刊行)



「基礎知識」「世界設定」「キャラクター」「ストーリー」「データ」の五章で構成された、全223ページ(A5判)。キャラクターやヴァンツァー、兵装・アイテムの設定画も網羅し、各ステージのシナリオ面でのフォローも十分。巻末にはプロデューサーの前田靖幸氏、音楽担当の植松伸夫氏・光田康典氏をはじめ、プログラマーやグラフィックデザイナーら十数名の制作スタッフコメントを掲載。隅から隅までガッツリ攻略したい向きに必携の、情報量満載な一冊です。


『ガンハザード 鉄脚の傭兵』
著:山口宏
アスペクト(1996年6月7日刊行)

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 アスペクトノベルズより刊行された、アニメ脚本家の山口宏氏によるノベライズ。「プロローグ」「鋼鉄の掟」「鉄壁の友情」「氷点下の追撃」「エピローグ」の五編を収録。ゲーム本編を見事に補完する理想的なノベライズ作品であり、アルベルトと、ゲーム本編冒頭のエルトダール港でミサイルの直撃を受けてあっけなく死んでしまうレロスのキャラクターを掘り下げ、彼とアルベルトの新兵時代の友情を描いた『氷点下の追撃』は随一の内容。エルトダール港のシーンへと繋がるというストーリーの趣向もニクい。「鉄壁の友情」は、ブレンダとサカタの二人のフレンドシップを描くというドタバタエピソード。「鋼鉄の掟」は、本編のアルハリでのミッション以前の出来事としてルヴェンがクリムゾンブロウのビショップと一戦を交えるエピソードで、一対六のヴァンツァー戦という構図もじつにスリリング。ビショップの戦闘狂っぷりもしっかり書かれており、全国一千万人のガマンできないビショップ ファンの皆様も必見。


『フロントミッションシリーズ ガンハザード』
画:松田大秀
アスキー出版局(1996年11月22日刊行)

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 コミカライズ版ガンハザード。〈月刊コミックビーム〉1996年4月号~9月号にかけて連載された六話をまとめた短篇集。作画はミリタリーイラストでおなじみの松田大秀氏。ブレンダ、ルヴェン、サカタ、アニタ、クリムゾンブロウ、ロイスの前日譚を収録。本編の主人公であるアルベルトの大きな出番はぶっちゃけカヴァー絵くらいにしかなく、徹底的にサイドキャラクターを掘り下げた内容で潔いです。とくに、ジェノスとロイスの兄妹の決裂のキッカケと和解を描いた最終話は、ジェノスが主人公と言っていいくらいの内容。また、サカタのエピソードでは、彼と因縁浅からぬ関係を持つ御手洗というオリジナルキャラと、オリジナルシールドヴァンツァー「暁」が登場。当然、どちらもゲーム本編には出てこないのですが、こういったのもまたコミカライズの醍醐味。楽しめる内容です。前述の『鉄脚の傭兵』ともども、この二冊はレロスを犠牲にしてでも入手していただきたい。


『楽しいバイエル併用 ガンハザード』
ドレミ出版社(1998年12月刊行)

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 ゲーム発売から二年半以上経ったころに刊行された、ガンハザード関連書籍のなかでも、かなりイレギュラーな存在。なおかつ、関連書籍のなかでもっとも入手難易度が高い超プレミアアイテム。わたしも現物はお目にかけたことがありません。「楽しいバイエル併用」はフロントミッションファースト、セカンドでも刊行されましたが、いずれもどれほど市場に出回っていたのでしょうか、とても気になります。


■①『スクウェア・エニックス バトル・トラックス Vol.1』
スクウェア・エニックス(2007年5月9日リリース)

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■②『クリスマス・コレクションズ II music from SQUARE ENIX』
スクウェア・エニックス(2013年11月27日リリース)

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■③『CURE SQ Vol.1 “Holiay”』特典CD
スクウェア・エニックス(店舗限定購入特典)

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 上記三枚はコンピレーション。①には"Genoce"が収録。②には浜渦正志氏みずからによる"焦燥"のアレンジヴァージョンが収録。③はタワーレコード限定特典CD。NOVOISKIによる"碧空"のアレンジが収録されています。

スクエニクリスマスアレンジCD第2弾リリース記念 浜渦正志インタビュー!


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