2015年5月3日日曜日

過剰と洗練を併せ持つボストン気鋭のプログレッシヴ・メタル・バンド、華麗にデビュー ― Native Construct『Quiet World』(2015)



 名門バークリー音楽大学に在籍したプレイヤーたちによって2011年に結成されたアメリカはボストンのプログレッシヴ・メタル・バンド Native Construct。現行メンバーはRobert Edens(Vocals)、Myles Yang(Guitar)、Max Harchik(Bass)の三人。ミクスチャーな作曲センスと確かなテクニックで以前より動向が気にかかっていたバンドのひとつなのですが、2014年にめでたくMetal Bladeレーベルと契約を交わし、先日デビューアルバムをリリースいたしました。本国での反応はなかなかのようで、リリース直後にハード・ミュージック部門と新人部門にそれぞれチャートインしたとのこと。ちなみに、来たる5月20日にはMARQUEE/AVALONから国内盤でも出ます。こちらはMetal Blade盤よりボーナストラックが1曲追加収録されるそうですよ。

 コンセプト・ストーリーに基づく本作は、バンドのセルフ・プロデュース。また、共同エンジニアにはBETWEEN THE BURIED AND MEやCANVAS SOLARISなどでの仕事で知られるJamie Kingの名前があります。楽曲は2011年から2013年にかけて制作されております。方向性はユニークかつ多彩で、プログレッシヴ・メタルの器にミュージカル、シンフォニック、ジャズ、ラテンのフレーバーがあらん限りに投げこまれております。一見混沌としているようですが、華麗なコーラスワークと可変の効いたアレンジがしっかりと(時には過剰に)加えられているため、雑食性以上に洗練されたイメージを感じさせてくれるのがポイント。オーケストレーション全開のシンフォニックな曲調のなかで思いっきりブラストビートをかます展開に度肝を抜かれる"The Spark of the Archon"や、爽やかなピアノとラテン/フュージョン・タッチのギターをフィーチャーした、アルバムのラストを飾る12分半のド派手に込み入った大曲"Chromatic Aberration"は出色です。以前デモ版がbandcampで公開されておりましたが、ともにきっちりとビルドアップされて本作に収められております。アレンジの妙と絢爛な曲調の一方で、三人編成ゆえのサウンドのパワー不足を感じる場面や、曲の出来のムラもあるのですが、それは今後に期待しましょう。バンドもその点はわかっているようで、現在ドラマーとセカンドギタリストを探しているようです。



https://www.facebook.com/NativeConstruct
http://www.metalblade.com/nativeconstruct/

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