2014年11月11日火曜日

チップチューン×プログレッシヴ・デスメタル 驚愕の悪魔合体アルバム ― Norrin Radd『Anomaly』(2010)

Norrin RaddことMatt Creamerはアメリカのインディーズレーベル「II MUSIC (PAUSE)」を拠点として、コンピレーションの楽曲提供やアルバムのリリースを行っているカナダ・バンクーバーのコンポーザーです。ちなみにNorrin Raddという名前はマーベルコミックスの「ファンタスティック・フォー」に登場するシルバーサーファー(後に単独シリーズ化)の本名に由来するもの。Matt氏の作曲活動はおそらく十代のころから始まっており、2002年から2007年にかけて氏が制作した8bit曲をまとめたアルバム『Melodia di Infinita』(2007)でソロデビュー。同作は18分に及ぶ大作メドレーも収録したアルバムであり、若き才気のほとばしりも感じさせる内容です。

『Melodia di Infinita』(フリーダウンロード作品)

http://www.iimusic.net/catalog/2007/08/melodia-di-infinita


2010年には魂斗羅4の海外勢によるアレンジアルバム『Rocked 'n' Loaded』にも参加。オリジナル作曲者のひとりであるvirtことJake Kaufmanを筆頭に、SnappleMan、ARMCANNONのDanimal Cannon、Prince of DarknessことTony Dickinson、norgといった面々と共演しています。




そしてその一ヶ月後にリリースされたのが、今回のメインタイトルに上がっているこの『Anomary』。死と再生をトータルコンセプトにしたアルバムです。NES由来のチップチューンサウンドにグロウル/スクリーム ヴォーカルを載せる悪魔合体的アイデアをやってしまったのが本作であり、その着想はいたってシンプルながら激烈なインパクトを持って聴き手に一撃をかましてくれます。なお、"Proton Decay"はドイツのプログレッシヴ・メタル・バンドであるDisillusionの"And The Mirror Cracked"のちょっとしたカヴァーも含む1曲。また"Spinning"はノルウェー屈指のプログレッシヴ・メタル・バンド SPIRAL ARCHITECTの同名曲の丸ごとチップチューンカヴァーとなっています。




その後、2012年にはVblank Entertainmentの2Dアクションゲーム「Retro City Rampage」のサウンドトラックをvirt、Freaky DNAとの競作で制作。2013年4月にはロシアのチップチューンレーベル Ubiktuneからリリースされた、チップチューン特化のインターネットラジオ「Noise Channel Radio」の企画コンピレーションアルバム『Noisechan & Nugget: Adventures in Chiptunes』(name your price)に参加。同月にはMatt氏が初めて全楽曲を担当することになった、FDG Entertainment開発のiOS用2Dドットアクションゲーム「Slayin」のサウンドトラックもリリース(name your price)されています。NESサウンドによるメロディアスなチップチューン揃いの一枚。







そして先月10月21日には、Savory Games開発のiOS用ターン制ストラテジーゲーム「Swap Heroes」のサウンドトラック(name your price)がリリース。氏の二作目の単独サントラ作品であるこちらはスーパーファミコンサウンドを基調にした壮大かつファンタジックな雰囲気の楽曲をメインに仕上げられております。



http://mattcreameraudio.com/