2014年2月12日水曜日

maigoishi『Encounter』(2013)

EncounterEncounter
(2013/12/04)
maigoishi

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ユニークで魅力的なエレクトロニカ系アーティストの作品をリリースしているレーベル「elegantdisc」から昨年アルバムデビューした、若干22歳の新人コンポーザー/トラックメイカー maigoishiの1stアルバム。両親譲りというジャズ、エレクトロニカ嗜好に、光田康典氏や植松伸夫氏などの90年代ゲーム・ミュージックからの影響も取り込んだ颯爽としたエレクトロニック・フュージョンを展開しており、そのハイブリッドなサウンドはとにかく気持ち良くツボにハマってきます。各ジャンルの美味しい部分を選りすぐり、巧みにミックスして独自のサウンドを作り上げていくセンスの冴えはなるほど新世代的。

エレクトリック・ギターが切れ込むハード・フュージョンと軽快なピアノ・ジャズの二つのパートをクラブ・ジャズ・スタイルでまとめ上げたオープニング曲"Aftershock"は、氏の才気が如実に伺えるキラーチューンであります(ちなみに、シュレッドなギタープレイで客演しているのは、マーティー・フリードマンのアシスタントであるArise Enmi(延味有瀬)氏)。小気味良い変拍子をオリエンタルなムードと絡めて聴かせる"Dream Dancing"や、キース・エマーソン、というよりは松谷卓を思い起こさせる、プログレタッチのピアノ・フュージョン"Diastrophism"のしなやかな力強さも耳を惹きます。また、抜けの良さが光る"Midnight Vision"や、澄み切った夜空のようなイメージを湛えた"Zuan Wu"からは、maigoishi氏がフェイバリットに挙げている光田康典氏の作風に通じるものを感じました。彼のゲーム・ミュージック原体験には、光田氏の「クロノトリガー」や、デヴィッド・ワイズ氏の「スーパードンキーコング2」があるのだとか。そのことを踏まえると、情景が浮かぶようなサウンド作りも少なからず納得がいきます。

声明や笛、鼓などをバックに織り込み、厳かな情緒と風景を演出する"Shishi-Odoshi"、散りばめられた和のエッセンスとゆったりとしたメロディラインがさながら桃源郷のようなイメージを描き出す"Footprints of Giant Asian"、シューティングゲームで使用されてもおかしくない疾走ドラムンベース"Qinglong"など、耳馴染みの良さに特化しつつもイージーリスニングに堕することなく、一味二味とスパイスの効いたスタイリッシュな楽曲が目白押し。ピアノ・インストゥルメンタル、ゲーム・ミュージックなどを好むリスナーにも強くオススメしたいです。



maigoishi『Encounter』 - elegantdisc
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