2013年10月26日土曜日

Olof Gustafsson、Magnus Walterstad「Benefactor」(Amiga CD32/1994)

良BGMばかりで思わず聴き入ってしまいました。スウェーデンのDigital Illusions(現在のEA Digital Illusions CE <通称 DICE>)による制作、かのロジャー・ディーンが社名ロゴをデザインしたことでも知られるPsygnosis(現在のSCE Studio Liverpool)の販売による、94年発表のAMIGA CD32ソフト「ベネファクター」。主人公のベン・E・ファクターを操り、"メリー・メン"という宇宙人たちを敵の魔の手から救出する一方で、彼らの能力を駆使しつつステージを攻略していくという内容のパズル・アクション・ゲームであります(シグノシス社のヒット作「レミングス」のちょっとした発展型といったところ)。コンポーザーはOlof GustafssonMagnus Walterstadの二人。Olof Gustafsson氏はDigital Illusions創設メンバーの一人であり、後に世界各国のコンポーザー(日本からは古代祐三氏が参加されておりました)が結集して制作された架空のファンタジーRPGのサウンドトラック・プロジェクト「メレグノン」にも名を連ねております。Magnus Walterstad氏は現在まで続く人気タイトルである「Battlefield」シリーズのサウンド・ディレクターを務めている人物。



Amiga CD32 - Wikipedia
Benefactor (video game) - Wikipedia
Olof Gustafsson - Wikipedia
Magnus Walterstad - IMDb

TANGERINE DREAM『Optical Race』(1988)

オプチカル・レース(紙ジャケット仕様)オプチカル・レース(紙ジャケット仕様)
(2009/09/09)
タンジェリン・ドリーム

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ジャーマン・エレクトロニック・ミュージックの大家 タンジェリン・ドリームの88年作品。クリストファー・フランケが脱退し、エドガー・フローゼポール・ハスリンガーの二人体制で制作されたオリジナル・アルバムであり、元メンバーのピーター・バウマンが主宰するレーベル「Private Music」への移籍後 初となるアルバムでもあります。個人的にタンジェリン・ドリームは70年代の大作エレクトロ/アンビエントな作風よりも、80年代に入ってコンパクトでキャッチーな路線を目指していくようになってからの作風に多分に惹かれるのですが、中でも本作は琴線にクリティカル・ヒットした1枚。この時期のタンジェリン・ドリームの一連の作品は、80年代後期~90年代初頭のゲーム・ミュージックの源流の一つではないかと思っております。

アルバムは平均4~5分程度の十の楽曲で構成されており、ポップに躍動するエレクトロ・プログレ・テイストと、落ち着いたトーンのニューエイジ・テイストが程よく混ざり合った仕上がり。淡々としながらもリリシズムを感じさせるメロディを、巧みに盛り込まれた起伏と併せて聴かせる「Merakesh」「Optical Race」。聴き触りは爽やかながらパーカッシヴなバッキングの間を縫うようにしてチェンバロがメリハリのある旋律を奏でる「Atlas Eyes」。煌びやかに歌い上げられるノスタルジックなメロディで締められるラストナンバー「Ghazal (Love Song)」などが特に耳を惹きます。適度にスリリングな流れをキープして澱みなく聴かせる構成もさることながら、しみじみとした味わいもあるコンパクトな良作。





TANGERINE DREAM - Official Site
TANGERINE DREAM - Wikipedia
「Optical Race」- Wikipedia

2013年10月25日金曜日

DADA(泉陸奥彦&小西健司) 『DADA』(1981) / 『城壁/鏡の中の家』(1994)

DADA(紙ジャケット仕様)DADA(紙ジャケット仕様)
(2013/10/09)
ダダ

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 後にジャズ・ロック・バンドKENNEDYを結成、コナミ矩形波倶楽部の一員としての活動を経て、現在はコナミデジタルエンタテイメント所属のコンポーザーの一人である泉陸奥彦(Gr.Syn.Violin.Noise)。後に4-Dを結成し、90年代にはP-MODELに加入する小西健司(Syn.Noise)。彼ら二人によって70年代に結成され、70年代後半から80年代初頭にかけて関西圏で活動していたのがこの「ダダ」。マニアックな存在ながら、二人の活動の原点を知る上では欠かせないユニットです。ダダの音楽性は一口でいうと実験的なエレクトロニック・ミュージック。空間をつんざく歪んだギター、ロマンティックでメランコリックなシンセサイザーの織り成すフレーズは、テリエ・リピダル(ECMレコードでの活動で知られるジャズ・ギタリスト)やヴァンゲリスの作品からの影響が色濃く、また、楽曲の持つ静謐さにはTANGERINE DREAMやFRIPP&ENOのような印象を感じさせます。先ごろキングレコードより紙ジャケット仕様で再発された『DADA』は、彼らの2ndアルバムにしてラストアルバムとなった作品で、上記のような趣向にさらに実験的ニューウェーヴ志向も加わり、ストレンジかつバランスもとれた内容になっています。ギラギラとしたビートやドラマティックなフレーズを打ち出した「Perpetual Motion」「America」。滴り落ちる水滴をイメージさせるミニマルな小品「Stainless Mama」。激しく駆け巡るギターと強度のあるモーグシンセの絡みが秀逸な「飛行船 Part 3」。テープコラージュ、ユーモラスなSEサンプリングを散りばめた「A.T.B」「ジロ君のお誕生日会」、そして淡い光で包み込んでゆくような展開が感動的な長尺のラストナンバー「アルルの太陽」と、バランスもさることながらアルバムの流れも非常に良く、当時のお二人の意欲と野心がヒシヒシと伝わってくる作品に仕上がっています。





城壁 スペシャル・ライヴ(紙ジャケット仕様)城壁 スペシャル・ライヴ(紙ジャケット仕様)
(2013/09/25)
ダダ

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 先ごろマーキー/ベル・アンティークよりリリースされた『城壁/鏡の中の家』は、94年に同レーベルからリリースされた『城壁~スペシャルイシューVol.1』の改訂版。79年にライヴ会場限定で販売していた両A面カセットテープアルバムの収録内容に沿った上でのCD化となっており、1曲目に泉氏が作曲した約24分の「城壁」、2曲目に小西氏の作曲による約31分の「鏡の中の家」を収めています。「城壁」は、センチメンタルなメロディとミニマリズムで濃密な空間を演出していくシンセサイザー・インスト。時折ギターが唸りと共に切れ込んでくる場面もあり、ゆるやかな中にもある種の緊張感も孕んだ大曲です。日本のメディテーショナル・ミュージックの偉大なる先達であるファー・イースト・ファミリー・バンドに近いところも感じました。「鏡の中の家」は今回初めて聴いたのですが、小西氏がマイク・オールドフィールドの『Ommadawn』から色濃く影響を受けて制作したというだけあって、メディテーショナルな中にも牧歌的なテイストが顔を覗かせる仕上がりになっています。こういう曲も書かれるのか、と、少々意外に感じつつも、興味深く聴き入ってしまいました。

ちなみに、94年にリリースされた盤は、自主レーベル"Vanity"よりリリースされた1stアルバム『浄』と、前述の『DADA』の間、つまり78年から81年の間に制作されたデモテープの音源(中には「飛行船 Part 1&2」や、「アルルの太陽」のプロトタイプ版も含まれていました)を収録した全10曲入りという内容でした。詳しい曲目については、こちらを参照のこと。
★bemani series soundtrack list -「城壁~スペシャルイシューVol.1」
http://bemanicd.web.fc2.com/extra/castlewall.html

泉陸奥彦:Wikipedia
4-D mode1 OFFICIAL WEBSITE

All About【4-D再編!小西健司さんへの質問】

2013年10月23日水曜日

辻横由佳『スペースバズーカ』『メタルコンバット』(SFC/1993)

任天堂から1993年にスーパースコープ対応のスーパーファミコン用ソフトとして発表されたガンシューティングゲーム「スペースバズーカ」(海外タイトルは"BATTLE CLASH")。開発は、ファイアーエムブレムシリーズで知られるインテリジェントシステムズ。コンポーザーは、ファイアーエムブレムの全シリーズの楽曲に関わられている辻横由佳さんです。近未来SF的な世界観の作品だけあって、曲調もハードでトリッキーなものが多く、FEシリーズとは一味違う作風になっているのが興味深いなと思います。

●インテリジェントシステムズ - SPACEBAZOOKA[BATTLE CLASH] HOME PAGE
http://www.intsys.co.jp/game/clash/



また、同年に「メタルコンバット(Metal Combat:Falcon's Revenge)」というタイトルで続編が出ているのですが、こちらは欧米のみでのリリース。楽曲は前作に引き続き辻横さんが担当されており、曲調も前作以上にヴァリエーションが増えております。総曲数はなんと57曲。聴き応え十分で、日本未発売というのがつくづく惜しまれます。

●インテリジェントシステムズ - メタルコンバットホームページ/METAL COMBAT HOME PAGE
http://www.intsys.co.jp/game/clash2/index.html




【余談】
辻横さんの作風には少なからずプログレ的なニュアンスが伺えるものがあるのですが(FEサントラのライナーでプログレが好きだとおっしゃられていたという話も)、それっぽい曲をいくつかチョイスしてみました。

■ファイアーエムブレム外伝 - Enemy Attack


■メタルコンバット - Map 1


■ファイアーエムブレム 封印の剣 - ベルンの名のもとに


■ファイアーエムブレム 烈火の剣 - 静かに、そしてしなやかに



辻横由佳:Wikipedia

2013年10月22日火曜日

Seventh Key - I Will Survive (Official Video)

KANSASのビリー・グリアーが率いるプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド SEVENTH KEY。結成は2001年と結構前で、アルバムもこれまでにスタジオ作品2枚、ライヴ作品1枚を発表しているのだけど、近々3rdアルバムをリリースすると知り、今回初めて聴いた。スティーヴ・ウォルシュのソロとはまた一味違う感じのキャッチーさで貫き通された、キーボード・オリエンテッドなプログレ・ハードでとても参った。つまるところ超ツボ。いいわあこれ。



Seventh Key - Wikipedia

SEVENTH KEYのギタリストであるマイク・スラマーは、ビリーと共にスティーヴ・ウォルシュが80年代に結成したバンド STREETSに参加していた。そう考えると、SEVENTH KEYはある意味後身バンドと言えるのかもしれない。



STREETSが解散して、90年代にMike Slamerが参加したメロディック・ハード・ロック・バンドSteelhouse Lane。アルバム2枚で解散してしまったけど、その2枚のアルバムはAVEX傘下のハード・ロック/ヘヴィメタル専門レーベル「ベアナックル」から国内盤が出ていた。

2013年10月21日月曜日

デレク・シェリニアン リスペクトなカナダの新鋭キーボーディスト Nathan Frost



カナダの鍵盤奏者 ネイサン・フロストのデビュー作。デレク・シェリニアン、ヴァージル・ドナティ、マルコ・ミンネマン、タカ・ミナミノ、マルコ・スフォーリがゲスト参加した1枚。内容は、デレク・シェリニアンのソロ作品に通じるプログレメタル。一番最初にコンタクトを取った相手もデレクだそうな。

WORLD TRADE再発

ワールド・トレイド(紙ジャケット仕様)ワールド・トレイド(紙ジャケット仕様)
(2013/12/25)
ワールド・トレイド、ワールド・トレード 他

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ブルース・ゴウディとビリー・シャーウッドらによって結成され、90年代に活動していたプログレ・ハード・バンド WORLD TRADEのアルバム、紙ジャケットで再発するのだなあ。STONE FURY KINGDOM COMEも同じく再発。ゴウディの関連作品的な流れでコレも入ったのかしら。WORLD TRADEは実はちゃんと聴いていない。音が予想できるのと、中古盤屋に安値ですっ転がってるイメージがあるから聴こうと思えばいつでも聴けるんじゃね、っつう身もフタもない理由で。MAGNA CARTAレコードから出てたのよねえ。





2013年10月20日日曜日

NICK MARINO BAND

今年のラウドパーク、トリのイングヴェイが色々な意味で凄まじいパフォーマンスを見せ付けたようで、後日の音楽系ニュースサイトではライブレポートがどのように書かれるのか気になるところでございます。また、現在のイングヴェイ・バンドのベーシスト Ralph Ciavolinoの立ち振る舞いがあまりにも涙ぐましかったようで、タイムラインのツイートを眺めているだけでも非常に良い人かつ苦労人なのだなというのがひしひしと伝わってきました。ある意味、これで株を上げたことになるのかしらん…?

思わず、今のイングヴェイ・バンドのメンバーについて調べてしまいました。ちなみに、日本版Wikipediaが多分メンバー変遷について一番詳しいと思います(英語版の方は2011年以降のラインナップが載っていないので)。

イングヴェイ・マルムスティーンのメンバー変遷 - Wikipedia

バックバンドのメンバーであるNick Marino(Vo/kbd)、Ralph Ciavolino(b)、Patrik Johansson(dr)の3人は、イングヴェイ・バンドとは別にネオクラシカル系バンドを組んでおり、NICK MARINO BAND名義で2010年にイングヴェイのレーベルであるRISING FORCE RECORDSからアルバムを1枚リリースしております。アルバムのプロデュースは、勿論インギー。現在のバンドのギタリストはGhee-Yehというチリ出身の人です。

http://nzmband.com/

RISING FORCE RECORDS - NICK MARINO BAND
http://www.risingforcerecords.com/nickmarino.html

こちらはPV。


もし、今後メンバー3人がインギーからクビを宣告されたら、このバンドでやっていくのでしょうか。

2013年10月19日土曜日

フランシス・ダナリーの新作ソロアルバム『Frankenstein Monster』がリリース

元IT BITESのフランシス・ダナリーの新作ソロアルバム『Frankenstein Monster』が先ごろリリースされた。bandcampで全曲試聴できる。



また、フランシスの公式YouTubeアカウントが、1990年にジョン・ベックと来日してアコースティック・ライヴを行った時の音源(約70分)を先月アップロードしている。機材トラブル周りのアナウンスも入っていて面白い。



2013年10月18日金曜日

グリム童話 金の鳥

87年の東映まんがまつりで公開されたもの。音楽担当、クニ河内氏なんだな。かなりファンキー。


2013年10月17日木曜日

Tigran Hamasyan、Ari Hoenig

MESHUGGAH、TOOL好きなアルメニア人若手ジャズピアニスト Tigran Hamasyanか。面白い人もいたもんだなあ。てかこれ、2年前のインタビューなのか。

http://tower.jp/article/feature/2011/11/21/eg_tigranhamasyan/3

ティグラン・ハマシアンって今年の5月に来日してたのね。一緒にやってるAri Hoenig(アリ・ホーニグ)がリーダーのトリオという編成で。

http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artist/ari-hoenig/

クァルテット編成の曲。演奏の趣がジャズ→ジャズ・ロック→プログレという感じで変貌してゆく。澱みなく高まりを見せていくテンションが心地よい。


2013年10月15日火曜日

CIRCLE OF ILLUSION『Jeremias - Foreshadow Of Forgotten Realms』(2013)

JeremaisJeremais
(2013/08/19)
Circle of Illusion

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ドイツの新興プログレ・レーベル「GENERATION PROG」が送り出した、オーストラリア出身のプログレッシヴ・メタル・バンド CIRCLE OF ILLUSIONのデビューアルバム。バンドメンバーは総勢8名。ヴァイオリニストを擁していて、3人のヴォーカリスト(男性1人、女性2人)がいるという、なかなかに気合の入った編成です(何故かギタリストだけ白塗りメイクをしているのが気になるのですが、あえて深く突っ込まないことにします)。バンドのフロントマンはキーボーディストのGerald Peterで、彼が全面的に作編曲を担当しております。アルバムは、男性ヴォーカリストのTaris Brownが書き下ろしたファンタジックなストーリーに基づくトータル約80分のコンセプト作品になっており、各ヴォーカリストがキャラクターを演じつつ劇的に展開されてゆきます。サウンドはDREAM THEATER影響下のプログレッシヴ・メタルをベースに、オーケストレーションを盛り込んでドラマティックに組み立てられており、アルイエン・ルカッセン率いるオランダのプログレッシヴ・メタル・オペラ・プロジェクトAYREONにも通じる大仰さがあります。また、アルバムの序盤から中盤にかけて目立つのがR&B/ジャズ/ファンク的なアレンジ。"The Beginning" "The Run" "The Memory Returns"の3曲は脂が載っており、次から次へとめまぐるしく変わるアレンジと熱の入ったヴォーカルの掛け合い、そしてシンフォニックな盛り上がりと、アレンジ・構成の妙で一際楽しませてくれます。アルバム後半に入ると尺をいたずらに引き伸ばしているように感じるところもあり、前半と比べると明らかに精細を欠いているのが惜しまれるところですが、バンドのユニークな音楽性は十分に印象付けられました。ここからどのように発展していくか、今後の楽しみとしたいところです。意表を突いたサウンド、過剰なサウンドが好きな手合いは、今のうちにツバをつけておきましょう。



CIRCLE OF ILLUSION - Official Site
CIRCLE OF ILLUSION - ProgArchives

2013年10月12日土曜日

チリのテクニカル・ジャズ・フュージョン・バンド FULANOのライヴ映像(2012年)

80年代半ば頃に結成され、現在までに4枚のスタジオ・アルバムと1枚のライヴ・アルバムを残しているチリのジャズ・ロック/フュージョン・バンド FULANO。彼らの2012年のライヴ動画(約40分)をYouTudeで見つけた。



こっちは現地の音楽番組の映像なのかしら。ライヴとメンバーへのインタビュー、併せて約1時間。



ちなみに、FULANOの87年発表の1stアルバム『Fulano』と、89年発表の2ndアルバム『En El Bunker』はiTunesで買える。CDは多分廃盤。

『Lo Mejor(Fulano)』
fulano1.jpg
https://itunes.apple.com/jp/album/lo-mejor/id595037172

『En El Bunker』
fulano2.jpg
https://itunes.apple.com/jp/album/en-el-bunker/id594252450

FULANO - ProgArchives

2013年10月10日木曜日

聖剣伝説2 海外トリビュート参加者 Travis Morgan(ex.ATHEIST)について

海外の有志たちが総力を結集した
聖剣伝説2トリビュート/アレンジアルバム『Spectrum Of Mana』

http://www.spectrumofmana.com/
http://spectrumofmana.bandcamp.com/album/spectrum-of-mana


今回はトリビュート参加者の一人であるTravis Morgan氏にスポットを当てたエントリでございます。氏は今回のアルバムに演奏・編曲で10曲以上にクレジットされている他、プロジェクト周りの映像編集を担当されております。ズバ抜けたセンスを感じさせるプログレッシヴ・メタル・アレンジで、アルバムでの存在感もピカイチでありましたが、それもそのはず、実は彼はアメリカのエクストリーム・プログレ・メタル・バンド ATHEISTに2011年から2012年の間にメンバーとして在籍していたという経歴の持ち主なのです。また、2009年頃にはテクニカル・ハードコア・バンド PSYOPUSのツアーサポートメンバーとして活動していたとのこと(ATHEISTと一緒にツアーで回っていたようです)。







そんなTravis氏のYouTubeアカウントでは、自身によるATHEIST、MESHUGGAHや、GORGUTS、CASIOPEAの楽曲のカヴァー演奏の他、ゲーム音楽のアレンジ、カヴァー演奏などの動画もアップロードされております。
https://www.youtube.com/user/bassistofclosson

ロックマン3の一連の楽曲を30分近くに渡りベースで弾き通す動画は必見。



こちらは、Travis氏によるデスメタルソロプロジェクト Sunken Colony。RTSゲームの「StarCraft」にインスパイアされた4曲入りEP。GORGUTSのカヴァー入りです。


こちらは、ドイツのチップチューン・コア・デュオ Stern Fucking Zeitの曲をTravis氏がテクニカル・デスメタルでアレンジしたもの。



『Spectrum Of Mana』に収録されている、Travis Morgan(b)とNate Horsfall(dr)のデュオによるアレンジ版"鋼鉄の罠"。その演奏映像です。


Travis Morgan氏への単独インタビュー。


2013年10月6日日曜日

Pacific RimのメインテーマとBLACK SABBATHの"IRON MAN"

ワクワク感がハンパない「パシフィック・リム」のメインテーマ。劇場でこのテーマを聴いた時、初めて聴いた気がせず、とめどなく湧き上がる高揚感と共にどこか懐かしさと親近感も覚えたのですが、最近になってその理由がわかりました。BLACK SABBATHの"IRON MAN"のリフの展開に似てるんですよね。あのデロデロ感。鋼鉄に覆われた人型巨大機動兵器イェーガーは、ある意味"IRON MAN"と言えますし、パシフィック・リムの劇伴を担当したRamin Djawadi氏は、映画版「アイアンマン」の劇伴も担当されておりますし、そう考えてみるとなかなか面白いものがありますね。





海外ゲームミュージックアレンジャーによる聖剣伝説2トリビュートアルバム『Spectrum Of Mana』(2013)

先月末、海外の有志たちによって、聖剣伝説2トリビュート/アレンジアルバムが発表されました。その名も『Spectrum Of Mana』

http://www.spectrumofmana.com/
http://spectrumofmana.bandcamp.com/album/spectrum-of-mana


なんと全49曲。CDにして3枚組のヴォリュームです。公式サイトにて、全曲無料でダウンロードできます。また、有料になりますが、パッケージでの販売も行っております。海外のゲーム・ミュージック アレンジコンペ「Dwelling of Duels」の常連参加者や、各地で活動されているゲーム・ミュージック・カヴァーバンドのメンバーの人達が、有名/無名を問わず多数参加されており、その顔ぶれを見るだけでも圧巻の一言。中には、アメリカのプログレッシヴ・メタル・バンド ATHEISTの元ベーシストまで名を連ねております。

『Spectrum Of Mana』の各DISCについて簡単にその傾向を説明いたしますと、「WAR」と題されたDISC 1は、Heavy Metal/Progressive Metal路線のハードでアグレッシヴな"動"の楽曲が中心。「PEACE」と題されたDISC 2は"静"の楽曲が中心でAcoustic/Chorus/Folk/Ambient/Post Rockなどのアレンジでしっとりと聴かせてくれます。そしてDISC 3「SPIRIT」は、力作・大作アレンジが連なっており、トリビュート参加者の総力を結集させた内容になっております。激しいものから緩やかなものまで、海外ファンの聖剣2に対する愛がこれでもかと詰め込まれた、一大トリビュート作品。原作ファンはもちろん、音楽好きにも是非ともオススメであります。以下、個人的にお気に入りのアレンジをチョイス。




ベースとドラムによる、"鋼鉄の罠"の硬質なインストゥルメンタル・アレンジ。ベースは元ATHEISTのTravis Morgan氏。ドラムは、本職ミュージシャンで、Permanent Midknightというメロディック・メタル・バンドでも活動しているAdam Henry氏。




エンディング曲"最後から二番目の真実"のDjent/Progressive Metalアレンジ。うーん、大胆。




"呪術師"のエクストリームなProgressive Metalアレンジ。禍々しさ増幅。ドラムをプレイしているKevin Lawrence氏はメトロイドのメタルカヴァーバンドMETROID METALのメンバー。Yes,Mayhemというオルタナティヴ・ロック・バンドでも活動されています。




ゲーム音楽をフォーク・ロックでアレンジする米国の新鋭バンドThe Second Storyによる、"不思議なお話を"アレンジ。味わい深い。




お洒落でまったりとしたアレンジに定評のあるゲーム音楽カヴァーバンド The OneUpsのギタリスト Tim Yarbrough氏による、"森が教えてくれたこと"アレンジ。ふと聴いていて、「このギターのトーンのまろやかさはもしや…」と思ったら やはりTim氏でありました。




聖剣伝説2のサウンドトラックには収録されていない、セーブ画面時のBGM[ http://youtu.be/1WuypCGy_bk ]のアレンジ。ゲーム音楽をProgressive Metalテイストでアレンジするバンド Armcannonのキーボーディスト Chris Dlugosz氏をフィーチャーし、短いながらもテンション高めのキーボード・プログレ・アレンジになっています。




"浄夜"のProgressive Rock/Post Rockアレンジ。アトモスフェリックな路線を強めた90年代以降のモダンProgな香りも感じさせます。悪魔城シリーズのアレンジアルバムやDwelling Of Duelsの参加でも知られるOmigadriveことGlenn Elliott氏がアレンジを、METROID METALのStemage氏がリズムギターとギターソロを、メトロイドアレンジアルバム「Harmony of a Hunter」参加者のJoshua Cortese氏がピアノを、Cory Johnson氏がベースとクリーンギターをそれぞれ担当しています。




今回の聖剣2トリビュートの目玉曲の一つ。屈指の名曲"子午線の祀り"の、三部構成・トータル12分に及ぶ大作アレンジ。7人編成のバンドに加え、30名近い演者がリレー形式でソロを回していくという圧巻の内容。アレンジはOmigadrive氏と、先ごろTHE BLACK MAGESの3rdアルバムへもゲスト参加した Prince of DarknessことTony Dickinson氏の二人。演奏者の一覧はコチラ