2013年1月24日木曜日

再生ハイパーべるーヴ『ぱんださんようちえん』(2002)




 長らく廃盤となっていたアルバムでありましたが、先日ダウンロード販売が開始されたとのことで、5年半前に旧ブログに書いたレビューを大幅に書き直して上げてみる。サイドプロテアみらゐ氏、studioCampanellabermei.inazawa氏、TOx2RO氏の三者が中心となって制作された、サークル「再生ハイパーべるーヴ」の2002年作品。ぐつぐつにゃーにゃー♪にゃーにゃーぐつぐつ♪のリフレインが頭にこびり付いて離れなくなってしまう、電波ソングの金字塔「猫鍋」(9thNight制作の同人ゲーム「ねこなべ」テーマソング)が収録されているのが本作であります。みらゐ氏とbermei氏による楽曲、TOx2RO氏による詞、そしてSakuraさん、園田まひるさん、茶太さん、霜月はるかさんをはじめとした多数のヴォイス/ヴォーカルが、三位一体となって心地良く脳みそを蕩かせるぱんださんワールドへ連れて行ってくれる、ユニークでハッピー極まりないアルバムです。

 のっけから幼女扮するSakuraさんと謎の外野(?)が微笑ましくもすっとぼけたやりとりを繰り広げる「PANDA-RIDE」と、キュートな曲調に"ぱんださんはにんげんおそうよ"と物騒な詞、バックでひたすら連呼される「にゃーにゃー♪」で、どんどん頭が沸いてくる「ぱんださんようちえん」、この2曲でいきなり聴き手はノックアウトされること必至。アッパーでへべれけな電波テクノ「かたつむりさん」、茶太さんのヴォーカルが素敵なポップス「嘘ツキ鏡」や、町でうわさのワイルドなじいさんについて歌った詞のヘンテコっぷりに思わず噴き出してしまう「ワイルドじいさん」、矢野顕子っぽいのほほんとしたテイストの「腹筋体操第一」や、オルガンの音色が心地良く転がるレゲエ調の「pink metallic crusaders」、霜月さんヴォーカルのシンフォニックなポップス「ウチュウのひと」、お洒落でスタイリッシュなエレクトロニカ/クラブ・ジャズ「berceau」「blue plastic resistance」と、ネタも交えつつ聴き応えも十分、聴き入ってしまいます。かと思えば「はじめてのぱんださん」「きもだめし」「P.Y.」など、随所で差し挟まれるスネークマンショーばりのショートコントなトラックが、アルバムの印象をカオスな方向に差し向けております。総じておかしなテンションなのがまた何とも言えない(笑)「もう限界」あたりは特にキマっております。高い完成度の楽曲と、電波とおふざけが炸裂しまくったコント、この月とスッポンもかくやという物凄いギャップに最初は困惑させられますが、慣れるとこの構成がしっくり来てしまうからなんとも不思議。中毒性高し。考えたら負けです。向こうも「ナニが面白いのか、ナニが寒いのか、ナニをやりたいのか、もうわからないです」とか楽曲中で言っちゃったりしているので、我々は頭をカラッポにしてサウンドに身を委ねるまでです。ほら、だんだんきもちよくなってきたでしょう…?まごうことなき怪作であり、愉快な迷作であり、愛すべきハッピーな名作。それがぱんださんようちえんなのです。



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