2010年12月29日水曜日

2010年マイベストアルバム10選

気の利いたコメントのひとつやふたつも付け加えたいところですが、取り急ぎ。各レビュー記事へのリンクも張っておきます。ホント駆け込みで申し訳ない。

1:MOON SAFARI「Lover's End」
Lover's End
Lover's End
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Moon Safari
Progrock Records (2012-06-05)
売り上げランキング: 88,338



2:LIGHT BRINGER「Midnight Circus」
Midnight Circus(ミッドナイト・サーカス)
LIGHT BRINGER(ライトブリンガー)
Lovely Rock Records / Vithmicstar (2010-05-29)
売り上げランキング: 185,071



3:kamomekamome「Happy Rebirthday To You」
Happy Rebirthday To You
Happy Rebirthday To You
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KAMOMEKAMOME
SPACE SHOWER MUSIC (2010-06-02)
売り上げランキング: 85,098



4:Lino Cannavacciuolo「Pausilypon」
Pausilypon
Pausilypon
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Lucky Planets (2012-04-27)



5:高梨康治「FAIRY TAIL オリジナルサウンドトラック Vol.1」
「FAIRY TAIL」ORIGINAL SOUNDTRACK VOL.1
高梨康治 TVサントラ
ポニーキャニオン (2010-01-06)
売り上げランキング: 19,119



6:Sadesper Record(WATCHMAN/NARASAKI)他「はなまる幼稚園 ベストアルバム Childhood Memories」
はなまるなベストアルバム  childhood memories
TVサントラ 土田先生(日野聡) 草野先生(水原薫) 杏(真堂圭) 山本先生(葉月絵理乃) 小梅(MAKO) 柊(高垣彩陽) さつき(廣田詩夢) 雛菊(伊瀬茉莉也) 川代先生(若林直美) 桜(本名陽子)
キングレコード (2010-03-31)
売り上げランキング: 68,415



7:Peridot Foresta(Sei-Peridot[SeikoP])「Trees Of Origin」












8:ジギタリス「Ars Magna ~大いなる作業~」
Ars Magna(アルス・マグナ)~大いなる作業~
ジギタリス
SMD (2010-05-12)
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9:天地雅楽「天壌無窮 - Heaven and Earth Forever -」
天壌無窮(Heaven and Earth Forever)
天地雅楽 ハイブリッド (2011-09-21)
売り上げランキング: 714



10:elephant 9「Walk The Nile」
Atlantis
Atlantis
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Elephant9 With Reine Fiske
Rune Grammofon (UK) (2012-11-06)
売り上げランキング: 119,609

2010年12月25日土曜日

Keith Emerson『The Christmas Album』(1988)

Christmas AlbumChristmas Album
(2012/12/18)
Keith Emerson

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 毎年クリスマスになると聴きたくなる愛着のある1枚、というものは誰にでもあると思いますが、自分にとってはコレがそう。キース・エマーソンがファンに送るクリスマス・プレゼントとして、'88年に自主レーベルよりひっそりとリリースした(当初はメジャー・レーベルよりリリースされる予定だったそうですが、タイミングを逸してしまったため自主ルートになったとのこと)クリスマス・アルバム。トラディショナル・キャロルやバッハのクリスマス・オラトリオのカヴァーを中心に、エマーソンのオリジナル曲も交えた構成で、EL&Pでのアグレッシヴなスタイルとはまた違ったエマーソンの魅力が味わえる、落ち着いた趣と手作り感たっぷりの小粒な内容です。煌びやかな音で満たされた「Variaton On"O Little Town Of Bethlehem"(おお、ベツレヘムよ)」「Snowman's Land」、子供達の可愛らしいコーラスが聴ける「Chaptain Starship Christmas」(実はイアン・ペイス(dr)、ゲイリー・ムーア(Gr)がゲスト参加しています。録音自体は'82年にされていたそうな)。幻想的な風情を感じさせる、ガブリエル・グロヴレーズ(フランスの作曲家)のカヴァー「Petites Litanies De Jesus(イエスのための小さな賛美歌)」。ゴスペルをフィーチュアし、ジャジーなアレンジを施した「Silent Night」も、実にエマーソンらしいナンバー。ちなみに、'95年にリリースされた本作の再編集盤には、プロコフィエフの「組曲:キージェ中尉」の第4曲「Troika」のアレンジが追加収録されています。


2010年12月23日木曜日

5/4TAKEPOD『Tir-na-n-Og』(2005)

現在はデッドボールPとして活躍する槙タケポン氏のサークル「5/4TAKEPOD」が2005年の末に発表(コミックマーケット69にて頒布)した、オリジナル・プログレ組曲を収録したアルバム。ケルト神話に登場する常若の国"ティル・ナ・ノーグ"をコンセプトにした、20分に渡る全七部構成の一大長編タイトル曲に加え、いくつかの小曲を収めた1枚。キース・エマーソンとリック・ウェイクマンとジョーダン・ルーデスと桜庭統を足して4で割ってさらにモダンな味付けを加えたようなパワフルなキーボード・プログレ・サウンドをブッ放す、変拍子あり、ポリリズムあり、シンフォニック・ロックあり、ダイナミズムありの、プログレのオイシイ所が全て味わえるストロングな一枚です。

 風鈴の音にピアノが絡む静的なインスト「Land's dawn(地の誕生)」から、ハイテンションなキーボードサウンドが堰を切ったように雪崩れ込む「Manannan mac Lir(海神マナナーン・マクリル)」の繋ぎは非常にカタルシスを感じる流れ。赤子の鳴き声に導かれ、不気味なメロディラインと変拍子が満載の「Black Annis(人喰い妖婆ブラック・アニス)」。一転して落ち着いた穏やかな雰囲気の「Avalon(林檎の島アヴァロン)」。ポリリズムも絡めてミステリアスなムードの「Morgan le fay(妖精モルガン・ル・フェ)」。最高潮にテンションの高まりを見せる、RPGボス戦的イメージのダイナミックなキラーチューン「Midir(地下の神ミディール)」。そして最後を飾る「Mag Mell(歓びの野マグ・メルド)」にてバシッと大団円。風鈴の音が再び登場し、オープニングへと再び回帰する趣向も。これだけでもかなりの満足感が得られますが、組曲以外の楽曲もキャラの立った曲ばかりで、秀逸な内容。ツクツクボーシの鳴き声をサンプリングしてギターリフとガチンコの拮抗をさせる、疾走感と暑苦しさに溢れたプログレ・メタル・インスト「セミロック」。トロピカルな南国風インスト「暫く忘れないこの罪悪感」。タイトルとは裏腹に非常にシリアス&クラシカルなピアノ・インスト「ポケットの中でチョコレートが融けた」。シンセベースがバックでうねうねトグロを巻く洒落たインストゥルメンタル「こんなにも頼りない僕らの神」。半ば悪ノリ気味な妖しい先住民族儀式風インスト「急性胃炎」。フュージョン・テイストな「Neet1993」など、ユニークな曲が並んでおります。リリースから5年近く経ってもまだなお色褪せない同人プログレの傑作。



かなり昔からプログレ(特にイタリアン・プログレ)好きを公言しているタケポン氏ですが、氏のハイテンションなプログレ・アレンジは、『Tir-na-n-Og』と同時期、またはそれ以前に発表されていたスクウェア作品やアリスソフトなどのゲームミュージックのアレンジ・アルバムなどでも炸裂しております。クロノトリガーアレンジアルバム『Chrono Corridor』や、スクウェア作品アレンジ・アルバム『S II』は個人的にオススメの作品。特に後者の作品のハイライトとなっている、イタリアン・プログレ的解釈も交えて?大仰な一大組曲と化した「妖星乱舞」の高密度アレンジは必聴モノであります。



『Tir-n-na-Og』:試聴
5/4 TAKEPOD:公式

ASCII.jp:「生まれたときからロックンロール」デッドボールPかく語りき

2010年12月19日日曜日

MOON SAFARI『Lover's End』(2010)

Lover's EndLover's End
(2012/06/05)
Moon Safari

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 スウェーデンの若手プログレッシヴ・ロック・バンド:ムーン・サファリの3rdアルバム。THE FLOWER KINGSのキーボーディストであるトマス・ボディーンの肝煎りで発表された2005年の1stアルバム『A Doorway To Summer』、30分の大曲も含め、トータル100分を越える意欲的な内容で若手バンドらしいエネルギーに溢れたシンフォニック・ロックを2枚組に渡ってガッツリと展開した2008年の2ndアルバム『blomljud』と、充実したリリースを続けている彼らの魅力は、美麗なコーラス・ハーモニーを軸に、テクニカルなパートやアコースティックなパートを効果的に織り込んだ楽曲作りにあります。今回のアルバムはそれらのセンスが前二作以上に満開の開花を見せ、まさに「化けた」といっても過言ではない内容です。

 楽曲が幾分かコンパクトな志向(といっても10分を越える楽曲はありますが)になったのと、シンフォニックな要素を抑えてとことんまでポップでキャッチーに振り切ったのが大きな要因と言えましょうが、それにしてもここまでの目覚ましい変化は正直ビックリ。同じスウェーデンのプログレ・ハード・ポップ・バンドであるA.C.T(最近活動がご無沙汰気味でちょっと残念)の3rdアルバム『Last Epic』に匹敵する、もしくはそれ以上にネアカなプログレの極致がここにあります。

 ハートウォーミングなコーラスとフレッシュなアコースティック・ギターの音色で彩られたオープニング「Lover's End,Pt.I」でいきなり至福の音世界にどっぷりと浸れること間違いなしですが、そこから切れ目なく繋がる14分近い大曲「A Kid Called Panic」がまた凄い。まだアルバム2曲目だというのに既にクライマックス級の盛り上がりを見せるのがこの曲。キーボード/メロトロンの厚みのあるフレーズに、これでもかと積み重ねられるコーラスワーク、テクニカルでダイナミックな展開の間を縫って、ここぞというところで気持ち良く炸裂する盛り上がり十分のギターソロ、そしてそれらが総動員して押し寄せる感動的な大団円と、大曲でありながらキラーチューンと呼んでも差し支えないほどにオイシイところが盛り沢山で、長い尺をよどみなく聴かせるバンドの力量が十二分に伺えるのはもちろん、持てる全てを惜しげなく投入するその姿勢に天晴れです。



 アカペラコーラスで魅せるアコースティックな小品「Southern Belle」や、サビで伸び伸びと歌い上げる「The World's Best Dreamers」はこのバンドのスイートな魅力が凝縮された歌物曲。とことんポジティヴなキーボード/シンセソロがまたいい味わい。「New York City Summer Girl」は、KESTRELやSTACKRIDGEといった往年のブリティッシュ・ポップ・バンドに通じるヒネリのある趣も感じる1曲。そしてキーボードを存分にフィーチャーした躍動感たっぷりのプログレ・ポップス「Heartland」は、加速度的なテンションの高さと抜けの良い展開が耳を惹きつけてやまない1曲。コーラスをふんだんに盛り込み、バンドの素材の持ち味を活かした贅沢な長尺曲「Crossed The Rubicon」と合わせて、本作第二のハイライトたる内容です。最後は「Lover's End,Pt.II」でさっぱりとシメ。ここまで聴き終えた頃には、骨の髄まで満足感に浸っていることでしょう。

 敢えて難点を挙げるとするならば、このアルバムジャケット。過去作もB級感溢れる地味なものでしたが、今回は一段と地味。楽曲は煌びやかな作風なだけに、凄くもったいない気がします。とはいえ、アルバムの内容は神懸かり的と言っても過言ではない素晴らしさであることは念を押して言いたいです。本年度のプログレ作品でもトップクラスの1枚。個人的には本年度のマイベスト1位に挙げたいウルトラ大傑作アルバム。この冬一番のヘヴィ・ローテーション作品。眩し過ぎるほどに突き抜けた爽やかさと多幸感に溢れた内容に、ただただ脱帽です。



MOON SAFARI:myspace
MOON SAFARI:公式
MOON SAFARI:Prog Archives

2010年12月15日水曜日

Rick Wakeman「マイクロコズム」(1993 - SEGA MEGA CD)

名作レーシングゲーム「WIPEOUT」の開発元であるPsygnosis社(現:SCE Studio Liverpool)による、93年に発表された3Dシューティング・ゲーム「マイクロコズム」(FM-TOWNS、PC(Amiga)、後にメガCD、3DOにも移植)。ライバル企業の工作によって社長に埋め込まれたマインドコントロールシステムを除去するため、ミクロになって体内に侵入し大脳を目指すというコンセプトの作品で、フラクタルエンジンなる画期的な技術を導入しての美麗なグラフィックを売りのひとつにしていたそうですが、ヴィジュアル/設定ばかりが先行してゲーム性が皆無だったこともあって、あえなく不評に終わってしまったそうな。その作品のメガCD版の楽曲に、かのリック・ウェイクマンが作曲者の一人として参加(その他のコンポーザーは、Kevin Colier、Tim Wright、Mike Clarke、Phil Morrisの4名)しています。いかにもウェイクマンらしいクラシカルな節回しが光るスペースSF的な仕上がりの楽曲は、ゲームミュージックとしてはかなり理想的なモノではないかと。ただ、ゲーム本編には殆ど使われなかったようで、それらはサウンドルームやメガCDをプレイヤーで再生することで聴くことができます。また、一連の楽曲は、ウェイクマンの楽曲をまとめたBOXセット『Treasure Chest』の中の未発表音源集『Medium Rare』に、「The Microcosm Suite」として組曲形式で収録されております。


【追記】
Psygnosis社のこのロゴマーク。いかにもなデザインだなあと思ったら、ロジャー・ディーンご本人が手がけられたものでした。




Microcosm (video game):Wikipedia
ボンクラ360魂:
【マイクロコズム】シグノシスの伝統芸
SCE Studio Liverpool:Wikipedia

2010年12月1日水曜日

川井憲次『i-wish you were here~あなたがここにいてほしい~ OST 1&2』(2002)

i~wish you were here~ ― オリジナル・サウンドトラック
TVサントラ en avant
日本コロムビア (2002-02-21)
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 2001年に発表されたGONZO制作によるアニメ作品「i-wish you were here あなたがここにいてほしい」(監督:水島精二)。アニメ本編は未視聴なのですが、初のインターネットストリーミング放送を試みた作品だったそうです。かのPINK FLOYDの名盤『I WISH YOU WERE HERE(炎~あなたがここにいてほしい)』を真っ向から意識したタイトルとあってか、楽曲もプログレッシヴ・ロックな方向性を押し出しており、ハモンド・オルガンを主体にしたプログレ・ハード/シンフォニック・ロックがたっぷりと展開されております…このアニメの企画者はよっぽどプログレに対して思い入れがあったんでしょうね。

 本作の劇判を担当された川井憲次氏は、押井守監督作品の劇判を初め、数多くのアニメ、ゲーム、映画、CMの作曲で八面六臂の活躍を見せている、言うまでもなく超大御所コンポーザー。「吸血姫美夕」「AVALON」「イノセンス」などで、重厚壮大な空間系/雰囲気重視の楽曲作りをする方なのかというイメージが自分の中であったのですが、ミュージシャンとしての一面(元々川井氏はフュージョン・バンドのギタリストだったそうですね)を垣間見せる本作のゴリゴリなプログレ・ハード・サウンドを聴いてその印象がガラっと変わりました。熱を帯びて疾走するハモンド・オルガンサウンドと、キレのあるリフ&唸りと泣きのギターソロが織り成す白熱のインスト。劇判として成立させなければいけないということもあってか、派手な展開は幾分か抑え目になっているとは感じるものの、溢れ出さんばかりのパッションを炸裂させています。それが存分に堪能できるのが、Part.0からPart.5までの6つのパートで構成された組曲。トータルで聴くと40分近いというまさに一大組曲で、力の入り具合も伺えようというもの。静謐な雰囲気から一転して鋭く畳み掛ける序破急のカタルシスに満ちた序盤~中盤、これまで抑えていたものを一気に放出するかのようにドラマティックな情念の迸りを見せる終盤、最初から最後まで印象深くまとめあげられています。難を挙げるとすれば、Vol.1にはPart0~4、Vol.2にはPart5と、アルバム2枚をまたいで組曲が収録されているところ。そもそも組曲と他の曲合わせてもアルバム1枚で十分に収まる楽曲ヴォリュームなのに、何故2枚に分ける必要があったのだろうか…と思うのですが、そこは大人の事情というヤツが絡んでいるのでしょう。「Part.5」が非常にドラマティックな盛り上がりを見せる楽曲だけに、少々残念に思います。

i~wish you were here~あなたがここにいてほしい ― オリジナル・サウンドトラック 2
TVサントラ en avant
日本コロムビア (2002-04-20)
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 また、『Vol.2』は短めな楽曲をいくつか繋げた「Short Pieces」というタイトルのトラックが3つあり、ピアノやアコースティック・ギターを中心とした小品から、広がりのあるアンビエント・シンフォニックまで、「静」の側面を見せるものになっております。また、川井氏は関わっていないのですが、エンディング曲の「Lunatic Trance ~静かなる絶叫~」(作詞/作曲:円谷一美(又紀仁美)、編曲/歌:an evant)の内容も見逃せません。このan evantというユニットについては詳しいことはあまりよくわかっていないのですが、楽曲はキレのあるギターとオルガンをフィーチャーした、テクニカルなインスト・パートも聴き応えのあるメランコリックな歌ものプログレ。OCEANSIZEやPINEAPPLE THIEFといった昨今のオルタナ・プログレ・バンドにも通じるものがあると思うのですが、いかがでしょうか。

 川井氏の作品の中でも、ここまでストレートにプログレ路線が貫かれた作品は本作をおいて他にはないと思います。川井氏のファンのみならず、プログレッシャーにも是非一度は聴いて欲しい逸品。オススメです。




GONZO公式:i-wish you were here
i-wish you were here- あなたがここにいてほしい:Wikipedia
川井憲次:Wikipedia
川井憲次:公式
試聴