2010年11月17日水曜日

DEC BURKE『Destroy All Monsters』(2010)

Destroy All Monsters

 DARWIN'S RADIO、FROST*といったUKモダン・プログレ・バンドでギタリスト/ヴォーカルを務めている、デック・バークの1stソロアルバム。ヴォーカル、ギター、キーボードは殆どがデック氏自らによるプレイで、ゲストでリズムセクション(IT BITESのネイザン・キング(Ba)や、DARWIN'S RADIOのティム・チャーチマン(dr)が参加)迎えてレコーディングされたというもので、いかにもソロアルバムらしい制作体制。音楽性はFROST*のモダンでシャープな側面を思わせる部分もあれば、DARWIN'S RADIOのハードでありながら軽やかな技巧性を思わせる部分もありということで、デック氏がそれぞれのバンドへもたらしているものが伺えるという意味でも興味深い内容と言えます。

 3~4分、長くても7分というコンパクトな楽曲は、いずれもキャッチーな落としどころもキチっと設けてあります。また、本職がギタリストということもあって、やはりギターをメインに押し出したつくり。オープニングの「The Last Time」や、「Signs Of Life」は、「もしFROST*がキーボードではなくギターを押し出したバンドだったらこうなるんじゃないか?」 という印象を抱かせますし、「Secret Lives」はギターワークが堪能できるプログレ・ハード・チューン。また、近年のIT BITESやKINOにも通じるキャッチーなUKロック然とした「Sometimes」など、UKプログレ/ポンプ・ロックに通底するメランコリック/ウェットな面もしっかり継承しております。アルバム後半はコーラスワークを生かしたポップス寄りの楽曲が続くのですが、ポジティヴなメロディと中盤からの盛り上がりが胸に迫る「Small Hours」や、哀愁たっぷりの展開と余韻を残すラストの7分のタイトル曲は秀逸な仕上がり。氏が在籍している2バンドと比べると楽曲の主張が弱いと感じる部分もありますが、総じてバランスの良い内容。何より持ち味をしっかり生かしたソロアルバムです。

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