2010年7月11日日曜日

NERV『Ragam』(2005)



 インドネシアのフュージョン/プログレバンド ネルヴの1stアルバム。インドネシアのプログレを代表するバンドのひとつであるDISCUSと同じ Indonesian Progressive Societyレーベル所属の6人組。クンダン(ガムランに使用される民族楽器のひとつ)やパーカッションの紡ぎ出す躍動的ビートやエキゾチックなメロディなどのインドネシア土着の民族的要素と、ケルティック・トラッド風の旋律がない交ぜになった中をヴィオラとディストーションのかかったツインギターがそれぞれ拮抗・応酬するかのように前に出てくるという、フュージョン&プログレッシヴ/シンフォニックな要素が垣間見えるワールドミュージックサウンドが非常に魅力的であります。こう説明するとバンドのアンサンブルはなんだかゴチャゴチャしているのかしらと思われそうですけれども、ハードな面はギターが、エキゾシチズムはヴィオラがキッチリ住み分けして担っているため、わりかしスッキリしていて、結構敷居低めのたたずまいをしております。

 楽曲は6分~12分と長めなんですが、聴き心地の良さとじわじわとした楽曲展開で難なく聴き通させてくれますし、リズム隊もグネグネ動きつつも土台を固めているので安心感も十分。情熱的/祝祭的ムードに満ち満ちたタイトル曲「Ragam」や、12分を超える「Karuhum」の終盤におけるケチャを大々的にフィーチャーしてのダイナミックな盛り上がりは非常に聴きモノです。単なるあっさり系イージーリスニングに堕さない強度がある作風は非常に好感が持てますし、光田康典や葉加瀬太郎にも通じる趣も感じるので、その辺りが好きならなおのこと琴線に触れるものがあるのではないでしょうか。



Indonesian Progressive Society:NERV「Ragam」
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