2009年7月6日月曜日

THE ALFEE『夢幻の果てに』『LIVE IN PROGRESS』(1995)

 70年代半ばにALFIEでデビュー。フォークから出発し、時代の流れと共にニュー・ロック、ハード・ロック、プログレッシヴ・ロック、デジロック、テクノ、AOR、パンク、ビート・ポップと、多様な音楽性を血肉として取り入れ、今なお変化し続けているTHE ALFEE。坂崎幸之助氏のアコースティック/フォークのエッセンスと高見沢俊彦氏のハードロック/プログレ的なエッセンスが混ざり合った音楽性はプログレ的な視点から見ても興味深いものがあります。80年代中盤からのアルバムには叙情的で大作志向な曲が1~2曲は入っているのですが、90年代に発表された『ARCADIA』『夢幻の果てに…』『LIVE IN PROGRESS』『Nouvelle Vague』の4枚のアルバムは、ALFEEのプログレ的な方向性が非常に高まっていた時期の作品であり、アルフィーのプログレ的側面を語る上ではいずれも外すことの出来ないものです。今年、デビュー35周年記念で彼らの全カタログが再発されましたし、この機会に是非とも聴いてみてはいかがでしょうか。

ポニーキャニオン|THE ALFEE 35周年記念完全限定生産!!
http://www.ponycanyon.co.jp/alfee/alfee.htm

夢幻の果てに夢幻の果てに
(2009/03/18)
THE ALFEE

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『夢幻の果てに』は通産15枚目となるオリジナルアルバムであり、『ARCADIA』と双璧を成すプログレ/メタル色の濃厚な作品です。トータルアルバムとしては『ARCADIA』に軍配が上がりますが、テクニカルな要素や、個々の楽曲の強烈なインパクトではこちらに軍配が上がります。楽曲もよりパワフルにグレードアップしており、80年代後期からアルフィーの4人目・5人目のメンバーとして参加してきた長谷川浩二氏(ds)、菊地圭介氏(kbd)が、それぞれ派手なドラミングと味のあるオルガン&キーボードプレイで貢献されています。しっかり地を踏みしめるように堂々たる展開が力強いシンフォニック・ロック「孤独の影」、一転してスリリングな変拍子でゴリゴリと押し込んでいくプログレッシヴ・メタル「幻夜祭」、得意の厚いコーラスワークとこれでもかとキャッチーな曲調でグイグイ引っ張っていくプログレ・ハード「LIBERTY BELL」「罪人たちの舟」(イントロがBOSTONの「More Than a Feeling」ぽい)、ジャパメタバンド顔負けのヘヴィや疾走感さを歌謡曲的キャッチーさと共に遺憾なく押し出した「殉愛」「悲劇受胎」と、怒涛の流れが続きます。特に「幻夜祭」はハイテンションに極まったコーラスワークや国産プログレ特有の垢抜けないカッコ良さも含めて秀逸な楽曲ですし(高見沢氏主導の楽曲展開ながら、やはりドラマティックなアコギパートがしっかり入るあたりは坂崎氏の面目躍如といったところ)、「悲劇受胎」での高見沢氏のヴォーカルのテンションは楽曲の疾走感と相まって非常に極まっております。後半にはタイアップ曲3曲を含むクセの少ないポップな曲が中心、前半と比べると若干散漫な印象はあるものの、「冒険者たち」「まだ見ぬ君への愛の詩」「WILD BAHN!」など、花のある楽曲が揃っています。






LIVE IN PROGRESSLIVE IN PROGRESS
(2009/03/18)
THE ALFEE

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『夢幻の果てに…』リリース後に行われたNHKホールでのライヴを収録した2枚組ライヴ盤。『LIVE IN PROGRESS』というタイトルの通り、セットリストは『夢幻の果てに…』からの曲を中心としたプログレ系の選曲となっており、澱みない曲の流れや2枚組のヴォリュームもあって非常に聴き応えのある作品。名曲「メリーアン」シングルのB面曲「ラジカル・ティーンエイジャー」や、横浜フリューゲルスのオフィシャルソング「Victory」のシングルB面曲「Time Spirit」、'88年のドラマ挿入歌だった「見つめていたい」といったマイナーな曲も収録。10分にも及ぶ「哀愁は黄昏の果てに…」、そして「トラベリング・バンド」への繋ぎ、「Saved By The Love Song」における壮大なアレンジ等、アルフィーのプログレ的側面を味わうならまずこれから聴くのがいいと思います。2枚目ラストに収録されている「JUMP'95」はふくしま国体テーマソング「JUMP!」の別アレンジヴァージョン(この曲のみスタジオ音源)。カラっとした明快なロックナンバーであります。