2007年10月24日水曜日

HELLOWEEN『Gambling With The Devil』(2007)

Gambling With the DevilGambling With the Devil
(2008/10/07)
Helloween

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 80年代後半から90年代にかけてのジャーマン・メタルシーンを牽引してきたハロウィンの通産12作目。もうそろそろこのバンドを追っかけるのも潮時かなと思い始めるようになっていたのですが、今作聴いてその考えを保留しました。バンドサウンドと楽曲のアグレッションはここ数作を凌ぐほどに強烈で刺激的。かの「Push」を髣髴とさせるアンディのハイテンションシャウトとサビの「Kill It!」コールがガツンとキメる「Kill It」、長尺ギターソロ&長尺キラーチューンという恒例のヴァイキー様式ナンバー「The Saints」、ピアノをアクセントにしつつサビでスカっと開けるシングルカット曲「As Long As I Fall」と、序盤は相変わらずテンプレ通りとも言えるキラーな流れですが、今作ではそのガツガツした勢いが終盤まで途切れることなく維持されており、近作にはなかったその思い切りの良さが今作のヴィジョンの定まったパワフルな印象作りに大きく貢献しています。中でも中盤は良曲揃いで、「The Beels Of The Seven Hells」「Fallen To Pieces」「I.M.E」といった山あり谷ありの劇的トリロジーは本作の目玉。良い具合に力が抜け過ぎて明らかに浮いてるポジティヴなポップメタル「Can Do It」でようやく一息ついたかと思えば、続く様式美ナンバー「Dreambound」で再び勢いを取り戻す。ラストは怒涛のイントロでいきなりクライマックス状態な「Heaven Tells No Lies」で手堅く締め。「Final Fortune」然り、今回のマーカス曲はドラマティックなフレーズが際立っててアンディ曲と何ら遜色ない仕上がりなのが素晴らしい。気がつけば今作、バラードナンバーがないんですね、これもバンドの状態が相当充実しているということの表れなんでしょうか。発売日を急遽一週間早めたのも十分うなづける快作だと思います。


波動拳を撃ち合うPV。