2007年12月26日水曜日

二ノ瀬泰徳『魔女の騎士~ヘクセン=リッター~』(2007)

魔女の騎士―ヘクセン=リッター (チャンピオンREDコミックス)魔女の騎士―ヘクセン=リッター (チャンピオンREDコミックス)
(2007/11)
二ノ瀬 泰徳

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 「5歳で触手に目覚めた」「中学のときに触手や拷問イラスト100枚描いてドン引きされた」「私は仮面ライダーで言うショッカーのような存在ですから」「現実の女性には感情移入できない…性的な意味で」といった、妄想力と潜在能力の高さを伺わせる(ぶっちゃけ過ぎて色々かなぐり捨ててる)数々の言動と、「触手に関しては譲れない」と豪語するほどの触手フェチぶりで注目を集めた二ノ瀬泰徳(ペンネームではなく本名)センセイのデビュー作、全1巻。触手と聞いていてもたってもいられなかったので読んでみました。濃い匂いがプンプンする上にエロエロでもなんともないのは流石チャンピオンREDだぜ。内容を簡単に説明すると、魔女の従士になった女装ショタキャラが恥ずかしい恰好をさせられたり触手に絡めとられてグチョグチョになったりして女性キャラ以上に辱められてしまう、というもの。知らない人が見たらエロマンガと勘違いされること必至な触手で衣服ビリビリ半裸寸前の表紙や、主人公が鎖でがんじがらめにされた扉絵とか、おっぱいにしか興味のない触手とか、妙にフェティシズムを刺激させられるところが多いです。流石にエロマンガではないんで本番一歩手前の段階で済んでることが多いですが、それでもけしからんと思うほどにエロいです。ショタキャラなのにっ!ショタキャラなのにっ!!……特に、全身敏感な状態でキスされて涙ぐみながらビクンビクンと悶える第四話の内容は読んでて「作者は読み手にどこまで性的倒錯を強いるのか…っ!」と思ってしまいました、ハイ。絵柄はかなり垢抜けないんですが、前述したような濃い妄想の産物とも言えるネタでカヴァーされているし、緻密な描き込みのコマで大文字がドドンと派手に躍るあたりに何というか岡田芽武テイストに近いテンションとアツさを感じさせるので、読んでて結構ビンビン(いや、局部的な意味ではないっすよ?)来るものがあります。ヴィジュアルとエロネタのインパクトのせいでストーリーがどうでもよく感じてしまいますが、作者の半ば怨念にも近い情熱(触手愛)はしっかりと堪能させてもらいました。この人にはいつか妄想力の赴くままにガチな触手エロマンガ描いて欲しいなあとマジで思います…そう思うのはきっと俺だけじゃないはず。

参考:おふらいんver2 チャンピオンREDの『魔女の騎士』作者のインタビュー凄すぎ
魔女の騎士:Wikipedia
二ノ瀬泰徳:Wikipedia

2007年12月25日火曜日

JON ANDERSON『Olias Of Sunhillow』(1976)

Olias of SunhillowOlias of Sunhillow
(2006/02/28)
Jon Anderson

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 YESのヴォーカリスト(今はバンドを離れていますが)にしてヴェルヴェット・ヴォイスの持ち主であるジョン・アンダーソンが76年に発表した1stソロアルバム。ギリシャの才人シンセサイザー奏者であるヴァンゲリス・パパサナシューとの共同制作作品。バンドのしがらみからも浮世のしがらみからも離れたところに位置するのが本作。降り立った大地もとろも宇宙の彼方へと旅立っていくという幻想的・極楽的なコンセプトをもとに、シンセサイザーやシタール、ハープ等の各種楽器、オリエンタルやエスニックなテイストが織り交ぜられたサウンドは、まさに桃源郷のごとき夢心地の空間を形成しております。ここに、浮世離れしたジョンのヴォーカル/コーラスがたっぷりと入ってくるのですから、聴き手はトリップさせられること必至。聴けば聴くほどだんだんトロトロと身がほぐれていくかのような感覚がたまらなく心地良くて、今じゃすっかりお気に入りの1枚です。この頃はYESメンバーがバンドの活動を脇においてこぞってソロアルバムをリリースしていた時期だったのですが、ジョンのアルバムはその中でも一番異色であったというのもなるほどうなづける内容だなあと。ジョンの中にあるイマジネーションの広がりを存分に味わえる昇天モノの名作であり、是非全編通して聴いて欲しいアルバムです。



JON ANDERSON:Wikipedia

2007年12月23日日曜日

2007年ベストアルバム十選 + α

今年もそんな時期になりました。特に気の利いた前置きなんてものは思いつかないのでさっさと本題突入。今年はこんな感じでございます。

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●CIRCUS MAXIMUS「Isolate」
Isolate
Isolate
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Circus Maximus
Sensory Records (2007-09-04)
売り上げランキング: 7,110

ネット界隈を見てみるとSYMPHONY XやDREAM THEATHERやTNTを髣髴とさせられる、メロディセンス/構築共にズバ抜けている、完成度が高い、といった感じで高評価を下しているところが多く見受けられましたが、思わずコブシを握りたくなる楽曲のドラマ性やアルバムに一貫して漂う濃密なムードについて踏み込んで言及しているとこは少なかったように思います。「オメエの感情移入が過ぎているだけじゃねーか!」と言われることを承知で言いますけども、本作はそんなみみっちい品質チェック的な手法で評価してしまうのはあまりにも勿体無い、そう声を大にして、いやむしろ腹の底から絶叫して言いたいです。有無を言わさず聴き手に直球でガツンと訴えかけてくるものがある、いくら言葉を尽くしても語り尽くせないほど語り甲斐があるというアルバムってのはそうそうあるもんではありません。時にねじ伏せ、時に泣かせ、時に昂ぶらせる絶品の高揚感、お先真っ暗な状況に一筋の光明が射し込むような見せ方、重厚なフィナーレへの布石、明確な起承転結、部分的ではなくトータルで真っ向からぶちかましてくる本作はまさにそれでした。圧倒的な世界観やバンドの逞しさ、頼もしさがありありと目に浮かんでくるので、聴くたびに感極まってしまいます。今年一番骨の髄まで堪能させてもらったアルバムですよホント。



●THRESHOLD「Dead Reckoning」
Dead Reckoning
Dead Reckoning
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Threshold
Nuclear Blast Americ (2007-04-24)
売り上げランキング: 611,076

●AXXIS「Doom Of Destiny」
Dooms of Destiny
Dooms of Destiny
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Axxis
Afm Records Germany (2007-11-19)
売り上げランキング: 460,425

前者はイギリスのプログレメタルバンドで、後者はドイツのメロパワバンド。双方共に音楽性は王道、そしてキャリア20年目前にして最高傑作と断言できる作品を放った、ということでなかなかに感慨深いものがあります。この漢気とアツさはルーキーには出せないでしょう、健闘を見せたHELLOWEENやGAMMA RAYのアルバムもそうでしたが、今年はヴェテランの強固な意地を見ました。



●kamomekamome「LUGER SEAGULL」
ルガーシーガル
ルガーシーガル
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kamomekamome
SPACE SHOWER MUSIC (2007-11-07)
売り上げランキング: 105,175

1stよりもコンパクトに手堅くまとまった楽曲が多くなった反面、歌詞がダイレクトに耳にススーっと入り込んでくるようになってついつい何度もプレーヤーのボタンに手が伸びる。覚醒状態にも近い歌いまわしと詞の持つ魔力を再認識させられました。「言葉では上手く説明できない見えない何かと戦っている」って表現するのはチィト語弊があるかもしれませんが、随所に見られる突発性とか獰猛さとかを聴くとついついそう形容したくなってきます。



●COALTAR OF THE DEEPERS「Yukari Telepath」
Yukari Telepath
Yukari Telepath
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Musicmine (2015-03-06)
売り上げランキング: 3,133


流線型の構成、ハイブリッドな音楽性、バランス感覚、オイシイところ詰まってます。



●MOSAIC.WAV「Future Fiction AKIBA-POP!!」
Future-Fiction:AKIBA-POP!!
Future-Fiction:AKIBA-POP!!
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MOSAIC.WAV (2007-08-31)
売り上げランキング: 1,169


気づけばPerfumeを完全無視してこっちばっかり聴いてました。べ、別にブームに乗り遅れたのが悔しいわけじゃないんだからねっ!精度の高さでは断然シングル曲に軍配が上がりますが、アルバム楽曲も過去作と比べるとかなり焦点定まってきた感がします。



●メトロノーム「サイクルリサイクル」
サイクルリサイクル(限定盤Aタイプ)(DVD付)
メトロノーム
インディーズ・メーカー (2007-01-11)
売り上げランキング: 259,940

POLYSICSの新作と同じくらい本作は聴きまくったのですが、「絶望さん」を初めとした楽曲の印象度でこっちを選びました。ヴィジュアル系ということで今後音楽性が大幅に変わっていくという可能性も無きにしも非ずでしょうが、有頂天にも通ずるユーモアセンスは捨て去らないで欲しいなあと思います。



●茅原実里「Contact」
Contact
Contact
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茅原実里
Lantis(K)(M) (2007-10-24)
売り上げランキング: 48,707

散々言ってますが、冒頭2曲で全て持っていかれました。あまりにもスキがなさ過ぎる。各種アレンジャー陣の職人ぶりといい、やたらサマになってる本人歌唱といい、狙いどころのハッキリした濃い内容で楽しめました。



●New Trolls「Concerto Grosso The Seven Seasons」
The Seven Seasons (Concerto Grosso 3)
New Trolls
Edel Europe (2007-08-14)
売り上げランキング: 464,847


30年ぶりのシリーズ最新作。古くからのファンには印象は今ひとつのようですが、クラシックとロックの融合手法に今だブレを感じさせないのは流石、手堅いながら年季をしっかり味あわせてくれる良い作品だったと思います。再結成のジンクスもこの人達には無縁ですね。何度でも聴きたいと思わせてくれる逸品だと素直に思います。



●筋肉少女帯「新人」
新人
新人
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筋肉少女帯
トイズファクトリー (2007-09-05)
売り上げランキング: 29,475


新旧のファンに十分アピールできる地に足の着いた内容でした。次は太田さんを迎えての完全復活でしょうかね。




【番外】

・米米CLUB「www.komedia.jp」
komedia.jp
komedia.jp
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米米CLUB
ソニー・ミュージックレコーズ (2007-09-05)
売り上げランキング: 317,882


・高梨康治&水谷広実「地獄少女 二籠 オリジナルサウンドトラック1&2」
地獄少女 二籠 オリジナルサウンドトラック
高梨康治 水谷広実 能登麻美子 TVサントラ
アニプレックス (2007-01-24)
売り上げランキング: 58,142


・斉藤恒芳「電脳コイル サントラ音楽集」
電脳コイル サントラ音楽集
TVサントラ 池田綾子 斉藤恒芳
徳間ジャパンコミュニケーションズ (2007-05-23)
売り上げランキング: 56,859


米米CLUBはアルバムに追加ボーナストラックについては賛否両論あったようですが、メンバー全員の相変わらず自重しないサービス精神に笑わせていただきました。地獄少女とコイルのサントラは楽曲単体でも十分聴かせてくれるシロモノなんですが、特に元クライズラー&カンパニーの斉藤さんによるコイルの楽曲は凄く良かった。サントラでは今年一番の収穫でした。


曲単位で選ぶとすればこんな感じになりそう。自家発電コンピ。


    1:地獄少女二籠 OST I(高梨康治&水谷広実) 「地獄メタル」
    2:AXXIS 「Doom Of Destiny(Arabia)」
    3:CIRCUS MAXIMUS 「Abyss」
    4:THRESHOLD 「This Is Your Life」
    5:9mm Parabellum Bullet 「Punishment」
    6:kamomekamome 「スキンシップ編」
    7:筋肉少女帯 「愛を撃ち殺せ!」
    8:メトロノーム 「雨」
    9:GOATBED 「Vogue Man」
    10:電脳コイルOST II(斉藤恒芳) 「疾走」
    11:COALTAR OF THE DEEPERS 「Aquarian Age」
    12:虫姫さまふたり OST(並木学&阿部公弘) 「狂おしいほどに」
    13:茅原実里 「Contact」
    14:MOSAIC WAV. 「Look At Me Tendency(New Take)」
    15:ジギタリス 「青い樹」
    16:ZABADAK 「Hello Hello!」
    17:New Trolls 「The Ray Of White Light」


1~7曲目はメタル、8~14曲目はテクノポップ/ニューウェーヴ多し。9mmはこの曲だけ何だか某最速任天堂メタルバンドばりに暴走していて爆笑したので、GOATBEDは音の強度はそのままに色気というか艶っぽさが増したのが印象的だったので、ジギタリスはギターロック+ケイト・ブッシュな音楽性が今後どう化けるか楽しみなので、虫姫さまふたりのサントラは「並木さん相変わらず良い仕事ぶりです」ということで、ZABADAKは個人的に大好きなので、それぞれ選出した次第。あと、ディーパーズの楽曲が虫姫さまの楽曲と親和性が高いのはちょっと面白かった。他にもメトロノーム「絶望さん」と大槻ケンヂと絶望少女達「人として軸がぶれている」の絶望コンボとか、米米CLUBと赤犬による【まんこUNCOコンボ】とかも考えていたのですが、イロモノ楽曲ツープラトンは存在感が強烈過ぎて他の曲喰いまくるので組み込むのは無理と判断。バカ曲オンリーでコンピ作るのも面白そう。

2007年12月17日月曜日

ゴージャス宝田『キャノン先生トばしすぎ』(2007)

キャノン先生トばしすぎ (OKS COMIX)キャノン先生トばしすぎ (OKS COMIX)
(2008/01/01)
ゴージャス宝田

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 売れない三十路エロマンガ家兼副業アシスタントのルンペン貧太が、ひょんなことから売れっ子エロマンガ家(しかしその正体は12歳ロリ少女)である巨砲キャノンのアシスタントを務めることになるドタバタ淫乱ストーリー。とにかくヒロインであるキャノン先生のスイッチ入ってからの淫乱描写がポイントでしょう、赤ちゃん生まれるのセリフと共にケツからぬいぐるみひり出したりセロハンテープの粘着部分で失神するまでマメこすったり、しょんべんのみで射精するのがおしっこ射です、など、この人がエロ描くと一味も二味も変態的になってしまってどうしようもない(※誉め言葉です)のに、そこに更にやたら勢いある加速度的演出も加わっていて思わず鼻水吹き散らしそうになります。迸るザーメン描写以上の勢いと濃厚さでもってページを埋め尽くす長尺淫語セリフとエロ擬音の嵐は常軌逸しすぎてエロ描いてるというより淫乱空間をコーディネイトしてるんじゃないかと言いたくなるほどに圧巻の一言。宝田センセイのただならぬ妄想力のスパーキングと雪崩のような淫乱語彙力の大暴走は必見でございます。ミチミチと奥の奥の奥のおへその下の部分まで一気に無慈悲に情け容赦なくネジ込まれ(以下割愛)や、亀頭の先っちょの割れ目の部分でネトネトしたガマン汁をなすりつけるみたいにディープキスされながらガッチリ腰をホールドされ(以下割愛)なんて書かれた日にゃあ読んでるこっちがあひぃもうらめぇチンポキ●ガイになって狂うああああ(以下自粛)、です…おわかりいただけましたでしょうか?というかスミマセンわかってくださいお願いします。

 一方で独自の強固なエロマンガ哲学を持ってる脇キャラの海乃みるくがやたら良い味出してたり、ストーリーとしてもバシっとキメどころをキメているところも見逃せない。編集長との衝突、エロマンガを描くことへの葛藤、エロマンガとの出会いフラッシュバックを詰め込んだラスト2話の魂のこもった内容はもがいてもがいてひたすら前へと突き進む王道なアツさがあってやたらグッときました。ああそうだ、俺らもあの頃は公園の茂みに落ちてたヨレヨレのエロマンガで胸が張り裂けそうになるほどドキドキしたんだっけあ…あの頃のむやみやたらにワクワクした感覚が懐かしくなりました。年も押し迫ったところでこのようなエロマンガ作品に出会えたことを嬉しく思います。近頃もうどうしようもなくなってきた感のあるワタクシの変態嗜好に正面切ってタメ張れる方々にもそうでない方々にも超オススメ、もう粉が出るくらいに。ロリマンガだからって手を出さないのは勿体無いです。ちなみに、本作の初回限定版にはエロマンガ誌であるコミックヒロインの小雑誌付き。凝った構成もさることながら、宝田センセイの生い立ちから同人作品/商業単行本作品照覧に加え、作中に登場する4人のエロマンガ家名義のエロマンガと、RIKI、東雲龍、あ~る・こが、金平守人、四万十曜太ectectcといった豪華ゲストのマンガ/イラストも拝めるという超充実仕様。朝起きたら兄ちゃんが3万本のチンポになっていたという巨砲キャノン名義の「30000」と、父親の報復に建設中のトイレの壁に肉便器として塗り込められてしまう娘っ子を描いた海乃みるく名義の鬼畜作品「カベノウタ」には唖然としました、どちらもわずか数ページの構成ですが、最初からクライマックスです。読んだ後の余韻があまりにも大きかったのでガラにもなくウザいくらいの長文を書きトばしてきましたが、最後に作中の印象的なセリフで締めさせて頂きたいと思います。「皆はバレるのが恐いんです 本当は 何よりも大切なことですっ Hなことはっ」

2007年12月7日金曜日

STEVEN SEAGAL『Songs From the Crystal Cave』(2005)

Songs from the...Songs from the...
(2008/02/04)
Steven Seagal

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 強靭無敵最強男 スティーヴン・セガール。彼は少し前にミュージック・アルバムを出していたんですよ。本作は2005年に発表された1stソロアルバム。仏教と精神主義に基づく詞や、ブルース/カントリー/ワールドミュージックを織り込んだ、実にアダルティーなロック/ポップスアルバムに仕上がっております。もちろんヴァイオレンスとは無縁。お世辞抜きで良い雰囲気を醸し出しており、ビックリしました。また、ヴォーカルの他にギターやドラムスも彼が担当しており、しかもこれがなかなかの腕前です。アルバムのレコーディングにはスティーヴィー・ワンダーや、レゲエシンガー/DJであるレディ・ソウも関わっているとのこと。映像作品における獅子奮迅ぶりとは全く対照的な彼の姿にはとにかくビックリしっぱなしですが、何にしても興味深い内容だと思います。可もなく不可もないアルバムという一言で片付けることもできましょうが、最強の漢セガールに思い入れのある人なら何かしら感慨深いものを感じるのではないでしょうか。ちなみに、2006年にはSTEVEN SEAGAL&Thunderbox名義で2ndアルバム『Mojo Priest』を発表しているのですが、そちらは全編泥臭いブルース/カントリー色の濃い渋めの内容になっております。



STEVEN SEAGAL - Wikipedia

2007年12月5日水曜日

浅倉大介、冨田茂、丸山恵市『DAIVA イメージサウンドトラック』(1987)

ディーヴァ
ディーヴァ
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浅倉大介
EMIミュージック・ジャパン (1998-07-08)
売り上げランキング: 337,648


 T&E SOFTが80年代後半にシリーズとして発表していたシミュレーションゲームソフト「ディーヴァ」のアレンジサウンドトラック。全7部作で、各タイトルを別々のハード(PC-8801、FM77AV、MSX、FC etc...)で発表していったり、ストーリーに関連性を持たせたりなど、なかなかに斬新なアイデアが盛り込まれた作品だったそうで、今でもコアなファンが多いそうな。そんな本作のサントラは、一部作曲&アレンジで浅倉大介氏が携わっていることで密かに知られている逸品。当時若干19歳、YAMAHAの契約社員としてシンセ開発に携わっていた頃で、小室哲哉の指名でTMNのツアーサポートメンバーに抜擢されるちょっと前の話。小室先生の影響を受ける前とあってか後の活動で見せる作風とはかなり異なり、歌謡曲っぽいムードもあるアレンジには古臭さを感じてしまいますが、「ディーヴァ1」や「ナーサティア・ドライヴ2」など、ダイナミックに魅せるアレンジは流石で、これを19歳でやってのけたという事実に驚かされますし、後のACCESSでの浅倉節に繋がる部分も少なからず見出せるのが興味深くもあります。また、アレンジには浅倉氏自らも制作に携わったYAMAHA DX7をメインに使用しているのですが、柔らかみのあるFM音源の音色はやはり凄く惹かれるものがあるなあと聴いててつくづく感じます。



 余談ですが、浅倉氏はT&E SOFT創立5周年記念の非売品カセットのアレンジも手掛けております。ディーヴァシリーズに加え、ハイドライドシリーズやスパーレイドックのテーマなどをやたらカッコイイシンセアレンジで仕上げており、こちらもまた興味深い逸品なのではないかと。




DAIVA:Wikipedia
浅倉大介:Wikipedia

2007年12月3日月曜日

掘骨砕三『おにくやさん』(2001)  『下水街』(2002)  『夜に虚就く』『はえてる女の子』(2006)

読み手は選ぶが、読めば読むほどに愛おしい。
それが、掘骨砕三作品。


下水街   SANWA COMICS
下水街 SANWA COMICS
(2002/05)
ほりほね さいぞう

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夜に虚就く (SANWA COMICS No.)夜に虚就く (SANWA COMICS No.)
(2006/02/10)
ほりほね さいぞう、掘骨 砕三 他

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 三部作となる予定である「下水街汚物譚」の一・二作目。下水街を舞台にした異形奇形のキャラクター達によるスカムでハートフルなエログロアブノーマルストーリー。一作目『下水街』は初期に描かれたもの。絵柄に垢抜けない印象こそすれ、この頃からキャラは一生懸命のほほんと愉快に動いており、また、ストーリーを展開する上で重要な役割を担うキャラや設定(薬屋の"鐚屋"など)が作品世界の下地をしっかり固めております。キャラの造形は蝙蝠、百足、ヤスデ、回虫、ナメクジ、芋虫、蛾と、いずれも一筋縄ではいかないものばかり。また、ラストの「疣」においてヴジュルヴジュルと汁を垂れ流す吹き出物(掘骨氏曰く「いわばチンコ」)の描写には衝撃を受けました。長いインターバルを経て刊行された二作目『夜に虚就く(よるにうろつく)』では絵柄が洗練されてきたことも手伝ってより下水街の生活感が描かれるようになっていて、さらに惹き込まれます。上の世界のキャラが下の生活に巻き込まれ次第に馴染んでいくという切り口の「泥魚」「夜に虚就く」。徐々に彼女が糞蟲になってゆく展開とラストの子沢山オチ(生むのは男の方)が素晴らしい「便所虫」。一クセある複乳、複根ボディを持つ5人の売り子が世話係に日ごろの恩返しにとエロエロな奉仕をする「陰間の春」など、どのエピソードも魅力的で、掘骨作品を読むならばまずこれからオススメしたい。一作目から読んでいる人には、"鐚屋"が世代交代していたり、キャラが成長していたりといったあたりにしみじみとさせられるのではないかと。



おにくやさん (SANWA COMICS No.)おにくやさん (SANWA COMICS No.)
(2001/08)
掘骨 砕三

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 掘骨砕三名義での初単行本。表紙イラストが強烈で、思わずスプラッタなグロを想像してしまいそうですが、グロはないです。お隣さん同士で糞やらザーメンに塗れまくる「ぎんだま」のようなまっとうな人間キャラによる変態エロ作品も割かし多いですが、ひとたびアブノーマル作品に踏み込めばそこはもう「突っ込んだら負け」な世界。二人の女学生が駅前の石に願い事をしたらそれぞれシャレにならんほどの巨チン巨乳になってずんずん拡大していく中でレズセックスに及ぶ「願い石」(後に姉妹作品も登場する)。チンコが生えてくる女性が捨てたチンコが擬人化してわらわらと身体に絡み付き増殖する「ちんこむし」。そして本作の極めつけと言える作品なのが、フラミンゴ漫画大賞を受賞した「むしさん」。『下水街』にも通ずる蟲モノ作品で、蟲の巣穴に落ちた少女が快楽に堕ちた挙句に自らも蟲と化す様がグロテスクながらも淫靡でキュートで堪らない。今よりさらにファンシーな絵柄であった2000年以前の作品も数編収められており、それらの内容はいずれも異種姦、ボーイズラブ。擬人化率10%のキャラが互いにちちくりあったり家畜と交配したりする「ユッケちゃんの種付け日!!」が良かったのであります。



はえてる女の子 (SANWA COMICS No. 84)はえてる女の子 (SANWA COMICS No. 84)
(2006/07/18)
堀骨 砕三

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 下水街のネタ作りに難航していたために息抜きとして描いた、または急ごしらえで描いた作品が本作の中心。カレーに下剤としびれ薬仕込んで糞まみれふたなりレズプレイへとシャレ込むスカム・スカマー・スカメストな冒頭の「ダイスキナニオイ」は、"ほりほねさいぞう"名義の作品の作風に慣れていればこれはジャブ程度にしか感じないことでしょう(ホントか?)が、妹の欲望によりチンポのカタチをしたザーメンが街中を埋め尽くす「ぞろぞろどろどろ」はある種SFだし、両方の器官を備えた姉弟が性欲の赴くままにグズグズととろけ絡み合う「ぼくのおねえちゃん」は淡々としながらも印象深い。トイレに住まう妖怪"シキさん"にうんこ喰わせてチンコつけてもらってその上穴にハメさせてもらう「シキさん」や、チンコ売りから安値で買った稚魚のような大きさのチンコを自らの身体に付けてオナニーの繰り返しでビッグに育てる「卸値」(育ったデカマラを風呂場でしごかれるシーンが実にエロい、エロ過ぎる!)のほのぼのとした雰囲気も捨てがたいものがある。コタツの中で姉弟同士セクロスする「コタツ」。酒を飲むと性格反転するふたなり姐さんにショタが逆レイプされる「いとしのヨッパライ」といった、掘骨作品としてはストレートでパンチの弱いものも収録されていますが、これはこれでショタ好きにアピールできる内容になっていて、ショタ好きには堪らんのものではないかと思いますの。膣付大型陰茎やら生体バイブ&オナホなど、作品に登場する「商品としての陰茎」設定について記した巻末の「ちんちんをめぐる経済」もとても面白いです。ちなみに陰茎本体45万円(税別)、手術費80万円(保険無し、入院費別)だそうな。


★「OHP」 - 掘骨砕三 / ほりほねさいぞう / 小瀬秋葉 / 鉈川鉱
http://picnic.to/~ohp/review/horihone/index.html
★えろまんがかんそうぶん -「夜に虚就く」 掘骨砕三
http://stack-style.org/2006-02-21-08.html

掘骨砕三:Wikipedia

2007年11月9日金曜日

DRUID『Toward The Sun』(1975) 『Fluid』(1976)

Toward The Sun / Fluid DruidToward The Sun / Fluid Druid
(2002/03/08)
Druid

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 イギリスのシンフォニック・ロック・バンド、ドルイドの1stアルバムと2ndアルバム。紙ジャケットで日本盤も出ております。それなりに歌心のあるヴォーカルの声質、厚みを持たせたコーラス・ワークが特徴的なためかYESがよく引き合いに出されるのですが、儚げに舞うメロトロンやキーボードのメロディラインや、キュっとハードに締まったプレイを聴かせるギターを聴くと、中期GENESISやCAMELっぽいなあと感じるところも(1stアルバムに収録されている「Remembering」「Theme」あたりの楽曲はモロにGENESIS『FOXTROT』の小品曲に通じる趣)。いずれにしても、それらのバンドのシンフォニックな要素をちょいちょいと抽出して巧みにまとめ上げた、という印象。牧歌的でフォーキーな部分が多く、楽曲展開に締りがないせいか今ひとつ垢抜けないのがタマにキズですが、アンサンブルの音作りや空間演出はなかなか凝っていて、ゆったりと聴いているとマイナス点も何だか許せてしまう。なだらかでハートウォーミングなバンドアンサンブルがアルバムジャケットに描かれた情景をドンピシャリにイメージさせてくれる1stアルバムが評価が高く、2ndは空間的な演出が薄味になったためかさほど良い評価ではないようですが、個人的にはこちらも好み。こぢんまりした曲作りから生み出されるちょっとした味わいが、ふと琴線に触れます。レゲエ調のスカしたコミカルな楽曲や、シンセがバキバキに尖がってる楽曲もあったりして、幅の広さでは1st以上で面白いです。古き良きブリティッシュ・プログレ作品。ちなみに、バンドのキーボーディストであったアンドリュー・マクローリー・シャンド氏は、後にイギリスBBCの人気番組「テレタビーズ」のオープニングテーマの作曲者としてその名を知られる存在となります。



DRUID:Wikipedia

2007年10月27日土曜日

function code(); 『リカーシヴ・コール』(2006)



リカーシヴ・コールリカーシヴ・コール
(2006/01/25)
Function Code();、森永理科 他

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 蒼星石の中の人 森永理科嬢の在籍するバンドのインディーズ1stアルバム。ALI PROJECTやJ・A・シーザーからの影響を感じさせる耽美ゴシックな雰囲気の楽曲と、エモーショナルなギターロック/ポップスが半々で収まった構成の作品です。月蝕歌劇団のメンバーでもある森永嬢のシアトリカルなアングラ嗜好と、ギタリスト兼プロデューサーであるH.L.EURO氏の構想するGARBAGE系統のオルタナロックサウンド、この両方を盛り込むのはなかなか面白いと思うんですが、チグハグしててまだ発展途上といった印象なのは否めません。とはいえアレンジはそれなりに凝っており、とりわけ終盤「The Existence Of Love」「行方」の2曲は良い感じに仄暗くミステリアスな雰囲気を醸していて秀逸でした。先月メジャーデビューしたそうなので、今後のアルバム発表でバンドの作風をどのように展開していくのか期待したいところ。J・A・シーザーの作風を標榜するならもっとエキセントリックでもいいんじゃないかなと個人的には思います。

function code();:Myspace
function code();:Wikipedia
function code();:公式
森永理科:Wikipedia
森永理科:公式

2007年10月24日水曜日

HELLOWEEN『Gambling With The Devil』(2007)

Gambling With the DevilGambling With the Devil
(2008/10/07)
Helloween

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 80年代後半から90年代にかけてのジャーマン・メタルシーンを牽引してきたハロウィンの通産12作目。もうそろそろこのバンドを追っかけるのも潮時かなと思い始めるようになっていたのですが、今作聴いてその考えを保留しました。バンドサウンドと楽曲のアグレッションはここ数作を凌ぐほどに強烈で刺激的。かの「Push」を髣髴とさせるアンディのハイテンションシャウトとサビの「Kill It!」コールがガツンとキメる「Kill It」、長尺ギターソロ&長尺キラーチューンという恒例のヴァイキー様式ナンバー「The Saints」、ピアノをアクセントにしつつサビでスカっと開けるシングルカット曲「As Long As I Fall」と、序盤は相変わらずテンプレ通りとも言えるキラーな流れですが、今作ではそのガツガツした勢いが終盤まで途切れることなく維持されており、近作にはなかったその思い切りの良さが今作のヴィジョンの定まったパワフルな印象作りに大きく貢献しています。中でも中盤は良曲揃いで、「The Beels Of The Seven Hells」「Fallen To Pieces」「I.M.E」といった山あり谷ありの劇的トリロジーは本作の目玉。良い具合に力が抜け過ぎて明らかに浮いてるポジティヴなポップメタル「Can Do It」でようやく一息ついたかと思えば、続く様式美ナンバー「Dreambound」で再び勢いを取り戻す。ラストは怒涛のイントロでいきなりクライマックス状態な「Heaven Tells No Lies」で手堅く締め。「Final Fortune」然り、今回のマーカス曲はドラマティックなフレーズが際立っててアンディ曲と何ら遜色ない仕上がりなのが素晴らしい。気がつけば今作、バラードナンバーがないんですね、これもバンドの状態が相当充実しているということの表れなんでしょうか。発売日を急遽一週間早めたのも十分うなづける快作だと思います。


波動拳を撃ち合うPV。

2007年10月4日木曜日

菅野よう子 他『マクロスプラス オリジナルサウンドトラック I & II & For Fans Only』『The Cream P.U.F』(1994・1995)

 初めてマクロスプラスを観たのが確か7年前。あの時は劇場版とOVA版、共に熱に浮かされたように画面に釘付けになって観てました、リアルタイムで観たかったと何度思ったことか。アニメ本編もさることながら、魅力的な楽曲群も未だに印象に残っています。本作は菅野よう子さんにとって初のアニメ劇判作品となったわけですが、見事なスコアを作り上げています。


『マクロスプラス オリジナルサウンドトラック I』

MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK
MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK
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YOKO KANNO with MEMBERS OF ISRAEL PHILHARMONIC ORCHESTRA GABRIELA ROBIN MAI YAMANE AKINO ARAI
flying DOG (2013-06-21)
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 イスラエル現地録音を敢行し、イスラエル・フィルハーモニック・オーケストラによる重厚な演奏をフィーチャーした楽曲をメインに構成された第一弾サントラ。張り詰めた緊迫感や雄大に飛翔する爽快感など、様々なニュアンスを見せるオーケストレーションは迫力の一言。「Fly Up To The Air~Tension」「Break Out~Cantabile」を聴いていると心なしか故.羽田健太郎氏による初代マクロスのスコアを彷彿させられます。また、本編に登場するヴァーチャルアイドル シャロンアップル名義のヴォーカル曲である「After In The Dark~Torch Song」(歌 - 山根麻衣/Gabriela Robin) 「SANTI-U」(歌 - Gabriela Robin)は、双方ともミステリアスかつドラッギーな雰囲気を漂わせる大作志向の楽曲。後者はダウナーなコーラスが覆い尽くす序盤、めくるめるサウンドコラージュがカオティックな中盤、そして四つ打ちシーケンスと、美狂乱やadi、ヒカシューのメンバーとしても知られる佐藤正治氏によるヴォイス・パーカッションが奇妙な対比を見せる終盤という独特の構成が不気味でありながら一際印象的なインパクトを放つ名曲。そして本作のもう一つのハイライトと呼べるのが、作中でミュンも歌っている主題歌「Voices」(歌 - 新居昭乃)。シャロンの楽曲とは対照的にシンプルな構成でありながら、とことんまで澄み切った新居嬢の歌声が心を打ちます。






『マクロスプラス オリジナルサウンドトラック II』

MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK II
菅野よう子 Raiche Coutev Sisters AKINO ARAI Wu yun ta na
flying DOG (2013-06-21)
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 「Voices」とは対照的に新居嬢がコケティッシュなヴォーカルを聴かせるエレクトロポップス「Idol Talk」。トロピカルなアコースティック・ギター・サウンドがまどろむアコースティック・ブルース「Welcome to Sparefish」。バルカン・トラッドのようなニュアンスを感じるサックスとジャンベが躍動する「Nomad Soul」。アフリカン、ラテン、オリエンタルと様々な要素が入り混じり独特のカラーを生み出す「Go Ri A Te」。遥か雄大な自然を想起させるアジアンポップス「Pulse」(歌:Wu Yun Ta Na)。ブルガリアンヴォイスが神秘的な「A Sai en」。「SANTI-U」にも登場した佐藤正治氏によるヴォイス・パーカッションがシンセサイザーのバッキングとアグレッシヴに絡む迫真の1曲「Bad Dog」。艶やかな琴の調べによる小品「Child MYUNG」など、2枚目は民族色豊かな楽曲が並んだヴァラエティに富んだ構成で、ただならぬ懐の広さを誇る菅野さんの本領発揮といったところでしょうか、1枚目よりもこちらの方が自由奔放な印象が強いです。……ところで、サントラIとIIにそれぞれ収録されているピアノ曲「More than 3cm」「3cm」は、彼女がかつて在籍していたファンク・ロック・バンド「てつ100%」の2ndアルバム『あと3cm』にちなんでいるのでしょうか。






『マクロスプラス ザ・クリーム・パフ』

MACROSS PLUS The Cream P・U・F
MACROSS PLUS The Cream P・U・F
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SHARON APPLE
flying DOG (2013-06-21)
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 ヴァーチャルシンガー シャロン・アップル名義での4曲入りシングル。「SANTI-U」「Idol Talk」の2曲はサントラで既発。サントラ未収録の「The Borderline」(歌 - 新居昭乃)は、ベースが太くうねり、蟲惑的なウィスパーヴォイスが空間を舞うアンニュイなジャズ・ナンバー。他のシャロンのヴォーカルナンバーと同様、こちらもトリップしそうな内容です。しかし、本シングルの目玉は、本編の大気圏突入シーンで使われた、CMJK作曲による「Information High」でしょう。8分間の中に起承転結の全てがあり、抜けるような爽快感もたまらない、血中のアドレナリンが沸き立つこのハイテンションなアッパーチューンは、本編でのシンクロ含めて素晴らしい仕上がりで、マクロスプラスの楽曲の中でも1・2を争うほどファンからの人気も高い1曲。「何故サントラに収録しなかったのか」という声も多いのですが、曲単体の存在感がとにかくズバ抜けているので、これはもうシングルカットで正解です。






『マクロスプラス オリジナルサウンドトラック Plus for fans only』

MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK PLUS~for fans only
菅野よう子 Gabriela Robin AKINO ARAI
flying DOG (2013-06-21)
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 既発表曲数曲に、サントラ未収録曲、アレンジヴァージョン、劇場版用に用意された新曲を加えて構成されたアルバム。ファンサービス的な1枚でありながら、劇場版マクロスプラスのサントラとも、ベスト盤的サントラともとれる内容。へっぽこなノリとズレのあるチンドン的アンサンブルが妙味な「Tepee」は菅野さんらしい遊びが伺えて微笑ましい。シャロンのヴォーカル曲はショートヴァージョンになっていますが、「SANTI-U」「Torch Song」の2曲はシームレスに繋がっており、サントラとはまた違う印象を与えています。シンプルな美しさの極みが味わえる「Voices」のアカペラヴァージョン、原曲のトラッド色や粘っこさがサラリと料理された「Nomad Soul」のピアノヴァージョンもなかなかですが、当時、菅野さんの旦那さんであった溝口肇氏によるチェロをフィーチュアした「MYUNG Theme」は本作におけるアレンジ・ヴァージョンでダントツではないでしょうか。チェロの物悲しさがしみじみとした余韻を誘います。劇場版のみの挿入歌「WANNA BE AN ANGEL」(歌 - 新居昭乃)と、本編終盤のイサムVSガルドのバトルで使用された「Dog Fight」の2曲は本作のハイライト。前者は浄化されんばかりの神々しさを放つヴォーカル&アレンジがあまりにも眩しく、後者はチェコ・フィルによる勇ましくダイナミックなアンサンブルがバトルのフィナーレを演出します。





2007年9月21日金曜日

Ian McDonald、根岸貴幸、末村謙之輔、宮下智、伊師正好『バッケンローダー サウンドトラック』(1998)

wachenroderOST.jpg


 '98年にセガより発売されたセガサターン用ソフト、バッケンローダーのサウンドトラック。キャラクターデザインに村田蓮爾、メカニックデザインに竹谷隆之、イメージイラストに安倍吉俊を起用し、ヴィジュアル面やゲーム設定に力を入れていたシュミレーションRPG作品であります(ゲーム本編の内容の評価は高くないようですが…)。また、オープニング、エンディング曲のサウンドコンポーザーに元KING CRIMSON~FOREIGHER~21st Century Schizoid Bandの大御所イアン・マクドナルドを起用(ブックレットには彼のプロフィールと、ちょっとした一問一答が載っております)。彼の「DAY DREAM~白昼夢~」「CATASTROPHE~崩壊~」はどちらもややクセのある静的なメロディが広がりを見せる「いかにも」な楽曲です。また、ボーナス・トラックには「Blind Girl」というゲーム本編には使われなかった曲も収録されています。これもアンビエント。ちなみに、ゲーム本編におけるキャラの名前や場所の名称をまんま洋楽ロック・バンドから取っており、アートオブノイズ(Art Of Noise)、ケミカルブラザーズ(Chemical Brothers)、ファットボーイスリム(Fatboy Slim)、キングクリムゾン(King Crimson)、フランキーザッパ(Frank Zappa)、スモール・フェイシズ(Small Faces)、ブルーオイスター(Blue Oyster Cult)、なんてのはまだ良い方で、コアなモノではElectric Light Orchestraのジェフ・リンがかつて在籍していたIdol Race、イタリアン・プログレ・バンドのLe Orme、イギリスのジャズ・ロック・バンド Titas Groanなんてのもネタにしており、制作者の相当なヲタクぶりが出ています。イアン氏が本作に起用された理由もむべなるかなといったところですね。イアン氏以外の作曲者(根岸貴幸氏、末村謙之輔氏、宮下智氏、伊師正好氏)による楽曲も制作者の意向が大いに反映されており、後半に進むに従ってプログレ、ジャズ・ロック、チェンバー・ロックな傾向が強くなり、明らかにKING CRIMONやEL&Pを意識したようなものもチラホラ出てきます。こっちの方が様式的なプログレ楽曲に仕上がっているというのが、なんともはやといったところ。とにもかくにも、制作者が筋金入りのプログレ好きであるということはよーくわかりました。ところで、サントラの帯にはデカデカと「イアン・マクドナルド(元キングクリムゾン)参加アルバム!」と書かれているのですが、正直なところこのサントラはどれだけのファンの目に届いたのでしょうか?流通した枚数も少なそうなだけに、ちょっと気になります(笑)








※本編未使用曲

vgmdb - Wachenroder Original Soundtrack
「バッケンローダー」全台詞集
Ian McDonald:Wikipedia

2007年9月18日火曜日

MOTOCOMPO『Desktop Romancer』(1999)

DESKTOP ROMANCERDESKTOP ROMANCER
(2001/09/19)
MOTOCOMPO

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 HONDAの原付をユニット名に拝借した、chihoとDr.USUI(薄井ノブヤ)によるテクノ・ポップ・ユニット、モトコンポの1stミニアルバム。インディーズ時代に発表した2本のカセット音源をリミックスして廉価盤でリリースしたのが本作、7曲入り。ミックスはYMOや戸川純、SOFT BALLET等を手がけたエンジニアであり、スクーデリアエレクトロのメンバーでもあった寺田康彦氏によるもの。ノーテンキでチープなピコピコサウンドがユニークにヌーっと抜けるテクノポップ/ニューウェーヴ・サウンドは、テクノポップ御三家バンドのひとつPLASTICSの素っ頓狂&ナンセンスなスタイルを、キュートな渋谷系エレポップサウンドに取り込んで現代風にモデルチェンジしたような感じ。特に「24Hours Online」「Coming Age」ではそれが顕著に感じられます。「SKI」も可愛らしくてGOOD。80'sと90'sのセンスを同時に感じるようなサウンドがなかなか面白いです。今年に入って6年ぶりとなるアルバムを発表したそうですが、試聴した限りではプラスチックスの影響は薄れて、より渋谷系エレポップの比重を強めた印象かなと。


MOTOCOMPO:Myspace
MOTOCOMPO:公式
MOTOCOMPO:MUSICSHELF

2007年9月9日日曜日

今井寿&藤井麻輝、異端者二人のインダストリアル・ユニット ― SCHAFT『SWITCHBLADE』(1994)

SWITCHBLADESWITCHBLADE
(1994/09/21)
SCHAFT

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 BUCK-TICKの今井寿、SOFT BALLETの藤井麻輝、一筋縄ではいかない異端者二人がタッグを組んだインダストリアル・ユニット、シャフトが'94年に発表した、現時点での唯一のオリジナルアルバム。PIGのレイモンド・ワッツがヴォーカル/プログラミング/ノイズで、MAD CAPSULE MARKETSのCRA¥(UEDA TAKESHI)とMOTOKATSUが一部リズム隊で参加しております。レイモンドはアルバム制作にも関わっており、実質3人目のメンバーのような存在だった模様。その他、Meat Beat Manifestoをはじめとしたインダストリアル界隈の人脈が多数名を連ねています。澱んだアンビエントから強烈に叩きつけるインダストリアル、捻くれたボディビート、異空間的ノイズ、無機的なヒップホップまで楽曲は多種多様に及んだ全13曲78分。非常にクセがあるアルバム構成なので何度聴いても把握に困るシロモノですが、「異端者同士が悪巧みすると輪をかけて一筋縄ではいかないものが出来上がる」ということの好例(?)でありましょう。


 藤井氏作曲によるアンビエントナンバー「Olive」は奥方である濱田マリ嬢に捧げられた曲だそうですが、美しい情景が目に浮かぶと言うよりは得体の知れない波の中をたゆたっているというような印象で、この人にとって美という観念はどう映っているのだろうかと、何だかとても氏の脳内ヴィジョンが気になってきます。「The Hero Inside」 「Arbor Vitate」 「Cold Light」といった咆哮するインダストリアル系ナンバーも十分カッコ良いですが、それ以上に衝撃的だったのはAll About Eveのジュリアンヌ・リーガンをゲスト・ヴォーカルに迎えての、マリアンヌ・フェイスフル「Broken English」のカヴァー。演説のサンプリング、高揚を煽るバッキングのストリングスや妖しく淡々とうねるマシン・ビートの効いたメタリックなアレンジが極右的なカッコ良さを持つ孤高のナンバーで、とにかく痺れました。この曲が聴けただけでも手を出した甲斐はあったというもの。異物感と攻撃性と悪意の混濁で聴き手を翻弄してくるので万人に薦められるモノとは言えませんが、御両人の強烈な個性を垣間見たい人は是非一聴をば。ちなみに、このユニットが契機となって今井氏とレイモンドとの関係はこの後も続くこととなり、'01年にSCHWEINの結成に至ることとなります(藤井氏はこのプロジェクトには参加していませんが、櫻井敦司氏やKMFDMのサシャ・コニエツコが参加しております)。


「Broken English」は、OVA版HELLSINGの海外用トレーラー映像に使用(後にOVA第五巻の挿入歌にも)されました。これ以上ない見事な選曲、そして見事なハマりっぷりです。




SCHAFT:Wikipedia
藤井麻輝:Wikipedia
今井寿:Wikipedia

2007年9月8日土曜日

米米CLUB『www.komedia.jp』(2007)

komedia.jp(初回生産限定盤)(DVD付)komedia.jp(初回生産限定盤)(DVD付)
(2007/09/05)
米米CLUB

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 めでたく再結成した米米CLUB。実に10年ぶりとなるオリジナルアルバムでございます。いやはや、どれだけヴェテランになってもやっぱりお馬鹿なノリはやめられないようで(笑)、メンバーの方々は相変わらず良い感じに弾けていて何よりでございます。あまりにそっけないジャケットですが、内容はシングル曲5曲含んだ全16曲全77分という限界ギリギリのヴォリューム。しっとりと落ち着いたアレンジでさらに味を見せるようになったかつての名曲のリメイク「浪漫飛行'07」を皮切りに、「君を離さない」「ひとりじゃないだろう」といった往年を思わせる甘口の正統派ラブバラードや、ホーンセクションや石井氏の歌声の伸びやかなハリが映える「We Are Music!」「WELL COME 2 ~Album Mix~」「MATA(C)TANA」などのイキのいい歌謡ファンクロックの健在ぶりも何よりですが、やはり米米の魅力と言えばおふざけたっぷりのSORRYミュージック(通称うんこ曲)テイスト。何だかわからんけどとにかくイーヨイーヨなノリでゆる~く愉快に押し通す「E-ヨ」、ふざけた歌い回しやカマっぽいコーラス、「くされ縁 くされ縁 くっさ~」のフレーズでシメる石井&ジェームス小野田のデュエット曲「くされ縁」、ドサクサまぎれにま○こ(締まる)のことを歌ってる「この宇宙で」、ロシア人のルームメイトというこれまたわけのわからんテーマを、巻き舌がかった歌唱と若干007のテーマを意識してるようなフシが伺える歯切れの良い演奏でとびっきりカッコ良く聴かせる「ロシアン・ルームメイト」、ひたすら『スゴクおいしい』を連呼して、日清とのタイアップを狙ってるのかそれともケンカ売ってるのかどっちつかずなラーメン・ファンク「スゴクおいしい」、と、中盤からはスイッチ入って本領発揮。ってか、結構SORRYテイスト多めですね。米米らしいクール&ユーモアなエンターテインメント精神、ごちそうさまでした。


米米CLUB:Wikipedia
米米CLUB:公式

筋肉少女帯『新人』(2007)

新人
新人
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筋肉少女帯
トイズファクトリー (2007-09-05)
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 1999年の解散から実に8年の歳月を経て再結成を果たした筋肉少女帯の、1997年発表の『最後の聖戦』以来10年ぶりとなる、通産13作目のオリジナルアルバム。浅田弘幸氏によるジャケのゴスロリ少女はオーケンの小説「ロッキン・ホース・バレリーナ」に登場する七曲町子嬢。太田明氏(ds)は事情により今回参加が見送られたため、UNDERGROUND SEARCHLIE(以下UGS)や、橘高文彦&EUPHORIAにも参加されていたセッションドラマーの湊雅史氏、THE ALFEE~ExhiVisionの長谷川浩二氏、THE MOONBEAMの矢野一成氏の3名がサポートメンバーとして叩いております。初期メンバーの三柴理氏(pf)もサポートメンバー扱いですが、正式メンバーの一人と言って良いほどの活躍ぶりを見せており、何だか嬉しい限り。その他、オーケンのアンプラグドセッションより朝倉真司氏(perc)、長井千恵嬢(cho)、EUPHORIAより泰野猛行氏(kbd)が参加。

 メンバーもオーケンも随分丸くなった印象はありますが、やっぱりこの人たちは良い意味でどこまでもB級路線。オーケンが数々の活動(ソロ~UGS~特撮)を経たことで個性の幅もグッと広がったなと思います。三柴氏のピアノ独奏による「Period」から、本作の重要キーワード「仲直り」をテーマにしたストレートなナンバー「仲直りのテーマ」(作詞・作曲はもちろんオーケン)でまず一発景気よくかましてくれます。3曲のリメイクのうち、「イワンのばか'07」はオリジナルの身を削るような荒々しさが減退し、若干明るめになったかなと言う印象。実験プロジェクト UGSが生み出した屈指の名曲のリメイク「Guru 最終形」は、オリジナルの終盤で聴けた壮絶な語りの部分はなくなっていたのが残念ですが、ほろほろと崩れるように繊細で切なげなメロディラインは依然として白眉。雪崩れ込みプログレッシヴ・パンク「モーレツア太郎'07」はアルバム『仏陀L』と同様、イントロダクションの「黎明」としっかりセットになっており、古くからのファンには嬉しい趣向。絞り出すようなテンションの高さも頑張って再現しており、今回のリメイク曲では一番の好印象でした。詞の内容は今聴いてもトンがってるなあと再認識。





 しかしやはりこれらはあくまでファンサービス、語るべきはやっぱり久々となるオリジナル曲でしょう。ジョン・ウィンダムの破滅SF小説『トリフィド時代―食人植物の恐怖』をモチーフにしたセカイ系の詞が何ともオーケンらしい「トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く」は、かつての「小さな恋のメロディ」「機械」「僕の歌を全て君にやる」といった後期筋少の流れを受け継ぐ劇的なスピードメタルチューン。筋少史上最速とも言える気合の入ったハイスピードな演奏を繰り広げる「ヘドバン発電所」と共に、筋少の新しいキラーチューンとなるにふさわしいナンバーではないでしょうか。また、「生きてあげようかな」を思わせる、本城氏作曲の「その後 or 続き」は、再編を果たした今だからこそより味わいを感じるナンバーだなあと。威勢のいいコーラスが飛び交う特撮テイストに溢れた「未使用引換券」。サビが一際キャッチーに決まる「愛を撃ち殺せ!」。チープに抜けるオルガンサウンドにベンチャーズ風のフレーズが乗る、「俺の罪」を思い起こさせる内田氏らしいユルいナンバー「抜け忍」。KISSの「Love Gun」風のリフに淡いピアノのアクセントが交錯する「交渉人とロザリア」など、捨て曲は一切なし。発売前の不安が全て杞憂に終わるほどの大健闘ぶりを見せてくれました。最後はバンド再結成を自虐ネタにした「新人バンドのテーマ」で和気藹々とした雰囲気で幕。目の付け所とオチをしっかりつけるあたりは流石オーケンだなと(笑)。再結成一発目としてはこれ以上ないほどの充実した作品に仕上がっています。




2007年9月7日金曜日

PSY・S『SIGNAL』(1990)

SIGNAL
SIGNAL
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PSY・S
ソニー・ミュージックレコーズ (1990-07-01)
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松浦雅也氏とCHAKA嬢によるポップス・ユニット サイズの6thアルバム。再びわかりやすいポップ路線に戻りましたが、以前までのアルバムとどこか毛色が異なっているなという印象があります、見えない線引きがされているというか。良くも悪くもまとまりが出てきたということなんでしょうが、それでもプロフェッショナルな仕事ぶりであることには変わりなく、ブレのない楽曲構築のセンスは依然としてしっかり発揮されています。ヴァラエティに富んだ前作とは対照的に、本作は「コンパクトなエネルギーの躍動感」に重点を置いた楽曲が散りばめられた仕上がり。サウンドは打ち込み色がさらに薄れバンド体制でのレコーディングになっており、新居昭乃(Chorus)、保刈久明(Gr)、小泉信彦(Key)、いまみちともたか(Gr / BARBEE BOYS)といった【LIVE PSY・S】の面々を起用。松浦氏もこれまで多用していたフェアライトに変わってモーグ等のアナログシンセ類にシフト、ストリングス系の音色を中心に押し出すようになりました。軽快なアップテンポナンバーが多い本作ですが、中でも「GIMMICK」は一度聴いたら忘れられないほど強烈な異彩を放ったまさにキラーチューンと言えましょう。松浦氏の奥底に秘められたプログレ志向が垣間見えるような楽曲で、ハモンド/モーグが勢いよく交錯するバッキングに加え、ストリングスサウンドが、そしてギターソロが隙間を埋め尽くすように躍るハイスピードなプログレ・ハード・チューン。ドワーっと一気に押し流すかのようなこの派手なサウンドメイキングは今聴いても十分通用すると思います。




PSY・S:Wikipedia
松浦雅也:Wikipedia

2007年9月6日木曜日

PSY・S『ATLAS』(1989)

ATLASATLAS
(1998/05/21)
PSY・S

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 テクノ・ポップ・ユニット サイズの5thアルバム。アート志向なジャケットや、アルバムタイトルでもあるATLAS(地図)にまつわる雑感をつらつらと綴ったブックレットを見るに、前作までのPSY・Sが持っていたPOPな雰囲気とは明らかに異なった冒険的なものを感じますが、それは音楽面でも同様。小ぶりな主張を効かせるベース、有機的な息遣いを感じさせるドラム、そして歯切れの良さが前に出るようになったギター、と、アンサンブルは生音の感触を重視するようになり、更にレズリースピーカーでのレコーディングを敢行したことでサウンドはレトロなニュアンスを強め、ぼんやりと柔らかい味わいを滲ませています。これまで以上にグッと大人びた姿を見せながら、これまでのPSY・Sの流れをしっかり汲んだポップスナンバー「Wondering Up And Down~水のマージナル」「ファジィな痛み」は鉄板ですが、それぞれレゲエ/ダブアレンジで異なった表情を見せる「WARS」「WARS~Reprise」、チャカ嬢のそっけない歌い回しとエスニックなバッキングの組み合わせが味な「STAMP」、円を描いて吸い込まれるかのようにゆるやかな空間音響的趣向が気持ち良い「引力の虹」などの新しい方向性を見せる多彩な楽曲や、アコギの躍動感が膨らんでいく「遠い空」、さりげないハモンドのバッキングが彩を添える「See-SawでSEE」といった、フレッシュなバンドサウンドを押し出したナンバーも同等の魅力を持ち合わせています。程良いバランスの上に成り立ち、かつ聴き手にある種の幻想性やセンチメンタリズムを抱かせる楽曲が多く、アルバムのトータル感においては本作はズバ抜けていると言っても過言ではないでしょう。松浦氏曰く、ユニットの目指していた目的はこの時点で果たされたそうで、そのため1stアルバムから続いてきたフェアライトをフル活用しての作品作りは本作が最後になり、ユニットにとっても松浦氏にとっても本作は一つの節目となりました。


PSY・S:Wikipedia
松浦雅也:Wikipedia
フェアライトCMI:Wikipedia

2007年9月5日水曜日

PSY・S『Non-Fiction』(1988)

NON-FICTION(紙ジャケット仕様)NON-FICTION(紙ジャケット仕様)
(2007/10/24)
PSY・S

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 サウンド&プログラミング担当の松浦雅也と、ヴォーカル担当のチャカによるユニット サイズの4thアルバム。当時1200万ほどした超高価なシンセであるフェアライトCMIを関西圏でいち早く導入し、アナログからデジタルへと移行していく過渡期の最中、最新のテクノロジーを駆使してのポップス作りに果敢に挑戦していったのが松浦氏。サンプリングと打ち込み主体ながらそれを感じさせない緻密かつ重厚な、そしてバンドサウンドに近い楽曲作りを行っていました。そこにチャカ嬢のパワフル&ソウルフルな歌声が加わって、とことんまでにエネルギッシュなポスト・テクノポップスの出来上がり。あまりに眩しすぎて、超高品質のポップソングを作ることにかけてはこの人たちの右に出るユニットは当時そうそういなかったのでは?と思いたくもなります。同年のみんなのうたに採用された「3-D天国」(オリジナルアルバム/ベスト盤未収録曲)と若干モチーフが似ている「(Shooting Down)The Fiction」が個人的には興味深かったりしますが、やはり本作の注目はシティハンター2のOPに採用され、ヒットを記録した「ANGEL NIGHT~天使のいる場所~」じゃないでしょうか。期待を膨らませるイントロから印象的なストリングスのメロディが颯爽と流れ込む、単体でも十分カッコ良いアップテンポの疾走曲ですが、アルバムでは盛り上がりを押さえた序盤の楽曲構成、バラードナンバー「Earth~木の上の方舟」のからの繋がりもあってよりインパクトのある壮大な流れとなっています、お膳立てがキッチリ整ったところにキラーチューンが決まると気持ちが良いですよね。そしてもう一つの代表曲である「Roses And Non-Fiction~薔薇とノンフィクション」、隅々まで浸透した瑞々しいフレーズの数々が堪らない佳曲です。とにもかくにも一切スキなしの構成で仕上げられた文句なしのポップスアルバム。ちょっとやそっとじゃ色褪せるような作品ではないのであります。




PSY・S:Wikipedia
松浦雅也:Wikipedia
フェアライトCMI:Wikipedia

2007年9月4日火曜日

おかげ様ブラザーズ『おかげ様ブラザーズ』(1988)

おかげ様ブラザーズおかげ様ブラザーズ
(1988/08/21)
おかげ様ブラザーズ

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 関西のコミックバンド おかげ様ブラザーズの2ndアルバム。楽曲「すもうとりゃ裸で風邪ひかん」がNHKで放送禁止を喰らったり、デビューアルバム『ばつぐん』がお笑いコンビ「X-GUN」のコンビ名の由来となったり、吉本新喜劇をネタに1曲作ったり、という数々のエピソードがなんとも関西のバンドらしい。楽曲タイトルや歌詞の内容は近親相姦だとか金縛りだとか大阪崩壊だとかセックステレフォンだとかいったアレな方向にバラエティに富んだものばかりですが、各人の技量は確かなモノがあり、ホーンセクションを交えた演奏はタイトかつスタイリッシュでたまらなくカッコ良いのです。やはりコミックバンドは一朝一夕にして務まるものではないのです。米米CLUBのカールスモーキー石井氏は彼らをリスペクトしていたそうで、ユーモラスな歌謡ファンク「原色人種」「禁断の妖精」を聴いていると、なるほど納得出来るものがあります。布団の上にババアが座り、お菊人形の髪の毛が伸びるなど、真夜中の金縛りにおける怪奇現象をひたすら羅列し続ける「カナシバリ」、スターウォーズ風の壮大なイントロからクールなファンク・ロックに突入という導入で痛快に予想を裏切ってくれる「大阪崩壊」は抱腹絶倒。また、DEEP PURPLE、EUROPEのパロディみたいな「HARD ROCK DE Let's go!」「NEW RELIGION」、さだまさし「北の国から」のパロディみたいな「ホ・ン・ト・ウ・ノ・キ・モ・チ」など、頭から尻まで面白おかしくエンターテインメントな歌謡ロックしてます。バンドは劇団☆新感線とのコラボレーションも行っていたようですが、96年に活動休止を宣言(【追記】その後、2007年に活動再開します)。メンバーは実家に帰ったりセッション・ミュージシャンになったりと、各々別々の道を歩んでいくことになります。ちなみに、おかげ様ブラザーズのギタリストであるスマイリー司こと岡崎司氏と、ドラマーであるブラッキー岡部こと岡部亘氏は劇団☆新感線の音楽担当/楽器隊として現在も活躍中。


おかげ様ブラザーズ - 公式サイト
おかげ様ブラザーズ - Wikipedia
岡部亘 - Wikipedia

2007年8月26日日曜日

BP.『ゴールデンBP.』(1997)

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 COALTAR OF THE DEEPERSの元メンバーであり、アルバム『COME OVER TO THE DEEPEND』『No Thank You』に参加していたイチマキ嬢が、ディーパーズ加入前に在籍していた4人組バンド BP.。本作はバンドがZK RECORDSから97年に発表したミニアルバム。イチマキ嬢のフワフワぼんやりと浮かんだキュートなヴォーカルと、ヘヴィ・ロック&シューゲイザーの轟音ミクスチャーサウンドが交錯する音楽性は、強烈な第一印象。硬軟併せ持った独特の雰囲気にディーパーズと共通するものを感じます。ぶっきらぼうなまでにささくれ立った予測不可能のストップ&ゴーな展開は、混沌としていながらもスウィートでポップであり、どこか人懐っこさを感じさせるのが何とも魅力的です。中でも、爽やかな轟音を疾走感もろとも叩きつける「ES」や、バンドの黒一点イマニシの激烈なシャウトがイチマキ嬢の浮遊ヴォーカルと絡み合う、感傷と激情、静と動ない交ぜのハードコアチューン「Diving Death Drive」は抜群の歯ごたえ。これからというところでバンドが「冬眠」してしまったのは残念ですが、十分インパクトを残しています。音質の悪さや演奏の荒さも、また味。



【後記】
 2011年12月になんとバンドは再結成ライヴを行っていたようで、翌年には7インチ・アナログ『GIANT.ep』、ミニ『ゴールデンBP』、そして90年代に録音されたデモ音源を1枚にまとめたコンプリート・アルバムもリリースされています。そして2013年1月には待望の新作EP『THE NEW BP.』がリリース。見事に第二の出発を果たしたバンドの今後の活動にますます期待がかかります。

GOLDEN BP. PLATINUM COMPLETE 93-97GOLDEN BP. PLATINUM COMPLETE 93-97
(2012/01/25)
BP.

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THE NEW BP.THE NEW BP.
(2013/01/30)
BP.

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2007年8月25日土曜日

凛として時雨『Inspiration Is Dead』(2007)

Inspiration is DEADInspiration is DEAD
(2007/08/22)
凛として時雨

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狂乱カミソリ3ピース・ロック・バンド 凛として時雨の2ndアルバム。サウンドは荒々しさをそのままにしつつも、一段グッと力強く踏み込んだようになりましたが、基本的路線は1stアルバム、EPと同じ。ギャリギャリとした金属的感触を兼ね備え、バツグンの鋭さを誇る変則的オルタナサウンドと、一触即発上等な絶叫ツイン・ヴォーカルの組み合わせによる瞬間的爆発力は依然破滅的かつ刹那的。さすがにインパクトは薄れたとはいったものの、聴き手の鼓膜を執拗にすり減らしにかかる序盤4曲「Nakano Kill You」「Cool J」「Disco Flight」「Knife Vacation」のハイテンションな流れは刺激たっぷりで痺れざるを得ませんでした。ですが、それ以降はミドルまたはスロウテンポでじっくりと展開される楽曲が続き、せっかくの上がりきったボルテージが徐々に削がれていってしまったのが残念。ここで「もう一山」となる楽曲があれば良かったんですが、来ないまま終わってしまったので今ひとつ煮え切らなかったです。楽曲は練り込みの跡が伺える上、黄昏たイメージを聴き手に抱かせる仕上がりになってて決して悪いものではないですし、またバンドとしてもそろそろ刹那的な面以外の要素も押し出そうという狙いがあって後半を落ち着いた構成にしたんでしょうが、やっぱりこのバンドはあえて崖っぷちに立つ切迫したスタイルを曝け出す楽曲が一番輝いていると思います。とにかく生き急いで暴れ狂ってズタボロになって砕け散ってこそナンボじゃないかなと。

2007年8月18日土曜日

Doctor Nerve『SKIN』(1995)

SkinSkin
(1998/07/23)
Doctor Nerve

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 フレッド・フリス率いるギターカルテットにも参加歴のあるギタリスト/コンポーザーのニック・ディドコフスキ率いる、アメリカはニューヨーク出身のアヴァンギャルド/プログレッシヴ・ロック・バンド ドクター・ナーヴの5thアルバム。ディドコフスキによる楽曲には「HMSL」なる独自の音楽記述言語を駆使しての構築的でポリリズミックなモノもありますが、メインとなっているのはメタリックにザクザクと食い込む轟音ギターをバッキングに、鼓膜を鋭く貫通するかのような絶叫ブラスセクションを上モノにした、神経を逆撫でし徹底的にアジる超攻撃的ジャズ・ロックです。バンド名は「神経医」ですが、その正体は聴き手の神経を執拗にいじくりまわすマッドサイエンティスト。中指を突き立てたファッキンなぶっ放しっぷりはとてもハードコアに近いものを感じます。ギターの殺傷性とブラスの痙攣性が混線し凌ぎを削る「Preaching To The Converted」「Dead Silence」など、強烈な刺激に次ぐ刺激に満ちた1枚。


DOCTOR NERVE - CUNEIFORM RECORDS

2007年8月17日金曜日

UNIVERS ZERO『Ceux Du Dehors』(1981)

Ceux De DehorsCeux De Dehors
(1998/08/17)
Univers Zero

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 フランスのART ZOYDと共にチェンバー・ロックを代表するバンドとして筆頭に挙げられる、ベルギーのユニヴェル・ゼロの3rdアルバム。邦題「祝祭の時」。妖艶優美なる室内楽と力強く躍動的なロックの暗黒の異種姦が生み出すもの、それがチェンバー・ロックであり、中でも重量感と共にただならぬ雰囲気を醸しだす彼らのサウンドは、スタイリッシュにしてストイック。邪悪なイマジネーションをこの上なく掻き立てられ、お先真っ暗な洞窟の奥底で触手達によるエロティックな狂宴というような爛れたイメージも目に見えて浮かんできそうです。室内楽寄りかつダーク・ゴシックな大曲志向であった前作『Heresie』とは打って変わって、本作は大曲・小曲がバランスよく配された構成で、ロック度も増しております。粘液をしたたらせながらのたうつかのような変拍子のめまぐるしい展開と、腹の中で蠢くエイリアンが今にも腹を喰い破って出てきそうな緊張感を漲らせた冷淡な展開が表裏一体となった「Dense(濃厚)」。ヘヴィな唸りを上げるベースとオーボエ、鋭くも張りと艶のあるヴァイオリン、加速度と重量感を増してゆくアンサンブルが聴き手にゆるやかに興奮を促しつつも一抹の不安を抱かせる、美しくも危険な「Combat(戦闘)」。この2つの長曲は名状し難いほどに不気味なたたずまいで、本作のハイライトといえる楽曲の役割を担っています。もちろんその他の楽曲も容赦なく黒い瘴気を撒き散らしており、木管楽器が生み出すゴシックなムードがズルズルと楽曲を引き摺る「La Corne du Bois des Pendus(コルヌ・ドゥ・ボア・デ・ペンドゥス村)」。躁状態なアンサンブルがひっちゃかめっちゃかにかき回し、短いながらも強いインパクトを与える「Bonjour Chez Vous(こんにちは、諸君)」。H.P.ラヴクラフトの同名作品をテーマにし、最初は生理的嫌悪感を催すだけだった軋む様なヴィオラの音が、次第に巨大な戦慄へと変貌を遂げて文字通り聴き手に襲い掛かってくる、冒涜的にして狂気の極み「La Musique D'enrich Zann(エーリッヒ・ツァンの音楽)」……などの楽曲が、徹底的に得体の知れない闇の恐怖を味わわせてくれます。気を抜けば即喰われかねない、禍々しさたっぷりの作品。異形を孕む音楽。


UNIVERS ZERO:公式

2007年8月15日水曜日

西村雅彦『DECO』(1996)

DECODECO
(1996/10/18)
西村雅彦、伊藤俊人 他

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 俳優 西村雅彦が1996年に発表した唯一のアルバム。"古畑任三郎"の今泉慎太郎役がヒットした頃にアルバム出してましたこの人。1曲目と8曲目はKING CRIMSON「21st Century Schizoid Man」のカヴァーです。いきなりヴォーカルの入り方を間違えてますが、歌いっぷりを聴くにつけ恐らく本気です。2曲目「泣いてたまるか」はチープな童謡風のシーケンスに哀愁の詞が乗っかるもの。3曲目「いつも忘れてはいないから」は玉置浩二作曲による、アダルトな歌謡ナンバー、西村氏のヴォーカルもまともなので、本作唯一の良心ともいえる曲でしょう。4曲目「下り坂」は"王様のレストラン"でちょっとだけ歌われたらしい曲、粘着的な歌い方が気持ち悪すぎる。5曲目「無縁仏」は のほほんとしたナンバー、間奏でのたまわれる「人間の身体にある仏、のどぼとけ」は秀逸。ちなみに4・5曲目の作詞作曲はは三谷幸喜氏であります。6曲目「今泉君を讃える歌~ミュージカル・ヴァージョン」は古畑任三郎のあのテーマに合わせてのコント(というかひたすら続く今泉賛歌)。白井晃・伊藤俊人参加。7曲目「おおきな古時計」は あのポピュラーソングのカヴァーですが、途中で何の前触れもなしにメタルアレンジに転調し、また何事もなかったかのように元に戻ったり、終盤では朗読モードに入ったりとただでは転ばない。ラストはムカつくノロケソング「幸せの・こんちくしょう」でシメ。水野真紀とのデュエット曲となっております。そんな感じで終始苦笑いな内容でしたが、結構面白かったですよ、ウン。




西村雅彦 - Wikipedia

2007年8月7日火曜日

New Trolls『Concerto Grosso The Seven Seasons』(2007)

The Seven Seasons (Concerto Grosso 3)The Seven Seasons (Concerto Grosso 3)
(2007/07/03)
New Trolls

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 半身不随の重傷を負う大事故から復帰したオリジナルメンバーのニコ・ディ・パーロを加え、今年4月に新作のワールド・プレミアも兼ねての二度目の来日公演を行った、ヴィットリオ・デ・スカルツィ率いるイタリアのシンフォニック・ロック・バンド ニュー・トロルスの通産18作目となるアルバム。76年発表の『Concerto Grosso N2』から実に30年ぶりとなる、「Concerto Grosso」シリーズの新作です。バンドの代表作とも言えるアルバムの続編ということで期待も不安もありましたが、率直に言って本作は素直に「良い」と呼べる作品に仕上がっていると思います。サウンド・プロダクションはやはり現代的であり、各曲とも小奇麗にまとまっているので、70年代の頃とは異なる毛色を感じざるを得ませんし(当然と言えば当然ですが)、シリーズ前二作でのオーケストラ・アレンジを手がけた映画音楽の巨匠 ルイス・エンリケス・バカロフも本作には参加しておりません。それでも、クラシック、プログレッシヴ・ロック、ハード・ロックが自然に調和した不変不朽のニュー・トロルス・サウンドは、しっかりと息づいています。哀愁と優雅さを背負い込んだストリングスと、ソフトからハードまで、ニュアンスに富んだバンドアンサンブルのストレートかつダイナミックな絡み合いには、滲み出てくる渋さと、まだまだ若手には負けぬという意欲的な若々しさが同居しております。実に感慨深い。とりわけ、バラード・ナンバーのドラマ性の演出においては尋常ならざるものがあり、終盤の「The Ray Of White Light」「To Love The Land」のこれでもかと言うほどに胸を打つ展開の流れは、個人的にハイライトに推したいくらい気に入りました。アコースティック・パートの比重も多く、ゆったりと味わいたい熟成品のようなアルバムに仕上がっています。


New Trolls:Wikipedia

2007年7月24日火曜日

SxOxB 『Gate Of Doom』(1993)

Gate of Doom
Gate of Doom
posted with amazlet at 15.12.09
Sob
Blackend (2004-03-08)
売り上げランキング: 1,093,913


 イノヴェイターとしてグラインドコアシーンにその名を刻むバンド SxOxBの3rdアルバム。当時NAPALM DEATHやCARCASS、BRUTAL TRUTHなどとの仕事で知られていたコリン・リチャードソンをミキシング&マスタリングエンジニアに迎え、これまでのパンク色の濃いファストコアから一転し、メタル色の濃いグラインドコアへと移行したのが本作。ついでにSxOxBファンが真っ二つに分かれる契機となったのも本作からです。早口でハイテンションにまくし立てるトッツァンの日本語ヴォーカルと、どこまでもスピード重視の一寸刻みなハードコアパンクサウンドが共に初期衝動で玉砕せんばかりの勢いで展開され、「速い・五月蝿い・鋭い」以上に言葉を尽くす必要もないヒッチャカメッチャカぶりだった初期の作風を考えると、重厚重圧になった上、整合性も出てきたというこの変貌振りは強烈な新陳代謝という印象を感じるので、初期のファンが難色を示すのもやむなしといったところですが、一方で問答無用の重圧殺ぶりがヘヴィメタル/デスメタル方面に強烈にアピールすることとなり、そっち方面から新たなファンを獲得することに成功。かく言う自分も、重いドスが効いててかつわかりやすくグネグネしている髭剃りのようなジョリジョリしたリフまみれの本作の作風の方が好みです。次作『Vicious World』ではもう一段スピードを落としたことでより整合性を強めたサウンドを展開しましたが、その翌年バンドの核を成していたトッツァンの突然の死によりバンドは未曾有の危機に直面。YASUE氏によりなんとか建て直しは図られ、99年にはダブ要素を取り入れた5th『Dub Grind』、03年には新ヴォーカリストを迎えてセルフカヴァーベスト盤である『Still Grind Attitude』が発表され、現在も活動を続けているものの、やはりカリスマ不在の穴は大きく、かつての勢いを取り戻すには厳しいものがあるというのが何とも寂しく思えます。

2007年7月20日金曜日

ASHADA『Circulation』(2006)

CirculationCirculation
(2006/09/12)
Ashada

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 妙(vo.p.mandolin)、(p.accordion)の二人の女性を中心としたファンタジックなポップス・ユニット アシャダの1stアルバム。数名のサポート・ミュージシャンを迎えてレコーディングされ、その中にはKBBの壺井彰久氏(vln)とDani氏(b)の名前も見られます。妙嬢、緑嬢の二人は大きな影響を受けたアーティストとしてZABADAK(と新居昭乃)を挙げており、ユニットのサウンドにも色濃く反映されております。若干翳りのある妙嬢のヴォーカルと、トラディショナルな要素を取り入れたシンフォニックな趣の楽曲は、繊細で透明感のある仕上がり。ときにプログレ的な構築も見られますが、あくまでスパイス的といったところで、そこまで深入りはしていません。メロディーの際立ちや展開の複雑性よりも淡い雰囲気に重点を置いた楽曲が多いので、もう一押し何かが欲しいなと感じる場面もなきにしもあらずですが、6曲目の「Neji」はアルバムの楽曲の中でも出色の出来だと思います。仄暗くゆったりとした雰囲気から熱のこもったギターソロの盛り上がりへと繋がる終盤の展開は力強く、印象付けられました。


【後記】
 残念ながらASHADAは2007年の夏に解散してしまいましたが、翌年、妙嬢は新たなバンド taikaを結成し、現在も活動を行っております。



2007年7月9日月曜日

COALTAR OF THE DEEPERS『Yukari Telepath』(2007)

YUKARI TELEPATHYUKARI TELEPATH
(2007/07/04)
コールター・オブ・ザ・ディーパーズ

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 オーケン率いる特撮でも重要な役割を担っているNARASAKI率いるシューゲイザーメタルポップスエレクトロミクスチャーバンド コールター・オブ・ザ・ディーパーズの5年ぶりとなる5thフルアルバム。アルバムを重ねるごとに闇鍋式に新要素をポンポン投入しておきながら、ゲテモノにならないところへ必ず落ち着くというバランス感覚の冴えはやはりこのバンドならではの強烈な個性。前々作『No Thank You』はヘヴィネスの渦で痛快に巻き上げ、前作『Newave』はエレクトロの緩やかな波にたゆたう作品だったのですが、本作はエレクトロとヘヴィネスのバランスが取れていることから、過去二作のちょうど中間に位置しているのではないかと思います。さらに楽曲にはニューウェイヴ的なシーケンスがフィーチュアされ、展開にクッキリとした筋を通されているためか、有り余るほどの物量となんでもアリの多彩さで勝負を仕掛けてことごとく優勢に持っていくバンドのスタンスとの噛み合せもすこぶる良好。「Ribbon No Kishi」「Deepless」と繋がるエンディングへの程よい流れもいいですが、中盤における流線型に煌くデジロックナンバー「Aquarian Age」(ちなみにこの曲は03年に発表されたOVA「アクエリアンエイジ Saga II」のエンディング曲のリメイクです)、「Automation Structures」の近未来的なスピード感を持った展開には胸がときめかざるを得ませんでした。曲調がめまぐるしく移り変わるので聴き通すと幾度となくアップダウンを味わうことになりますが、トータルのバランスは絶品。ブレやぼやけたところが今までより少ない分、印象は強く残るのではないかと。




「アクエリアンエイジ Saga II」のサントラに収録されているリミックス版。聴き比べてみるのも面白いのではないかと。

COALTAR OF THE DEEPERS:Wikipedia
NARASAKI:Wikipedia

qwerty(NARASAKI/百々政幸)「アクエリアンエイジSaga II Don't forget me... オリジナルサウンドトラック」(2003)
Sadesper Record(WATCHMAN/NARASAKI)他「はなまる幼稚園ベストアルバム Childhood Memories」(2010)

2007年7月6日金曜日

Clive Nolan&Oliver Wakeman『Jabberwocky』(1999)

JabberwockyJabberwocky
(2003/01/01)
Clive Nolan、Oliver Wakeman's 他

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 PENDRAGONのクライヴ・ノーランと、リック・ウェイクマンの息子 オリヴァー・ウェイクマンのコンビによる、ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」に登場する化け物ジャバーウォッキーをモチーフにしたストーリー・コンセプトアルバム。いわゆるロックオペラプロジェクトということで、ピーター・バンクス(Gr/YES)、ボブ・カトレイ(Vo/MAGNUM)、ピート・ギー(B/PENDRAGON)、トレイシー・ヒッチング(Vo/LANDMARQ)、ジョン・ジャーリー(Gr/THRESHOLD)、イアン・サルモン(Gr&Ba/SHADOWLAND)と、両者とゆかりのあるミュージシャンが多数ゲスト参加。オリヴァーの親父であるリック・ウェイクマンもナレーターとしてクレジットされています。楽曲についてはそれなりに壮大で品の良いポンプロックという以外に語りドコロがないので、良い意味でも悪い意味でもソツがなく、ゲストの面子でしかゲタを履かせようがないというありがちなロックオペラプロジェクト作品の域を出てませんが、ビックリするほど親父譲りなクラシカルぶりを見せるオリヴァーのキーボードフレージングと、クライヴのソングライティングの安定感を伺うアルバムということでまあとりあえずひとつ。ASIAやMAGNUMのアルバムジャケでお馴染みのロドニー・マシューズによるファンタジックなジャケットに見合う内容に仕上がっています。